全ての素数の積が偶数なのが納得がいかない数学徒たち
@rumichang ∀x(x∈N⇒¬「xは素数の無限積」)」 と ¬∃x(x∈N∧「xは素数の無限積」) は論理的に同値です。
2014-11-24 09:18:51@piano2683 ものすごくわかりやすいありがとう。それを調べる時は、nをまずとって、それが素数の無限積に一致するかを調べる、というやり方をとる、という認識でいいですか?
2014-11-24 09:21:20@piano2683 で、nよりも大きい素数pを、素数の無限積が素因数として持っているから、nはpで割れなくて、だからnは素数の無限積にはなりえない、で合ってますか。
2014-11-24 09:25:22@rumichang 「nがpで割り切れない」は「一般に0<n<mならnはmで割り切れない」を使いました。あとの部分はその通りです。
2014-11-24 09:29:51解析接続を用いた解釈を用いるのもいいんですが、 個人的には代数的に「素数の無限積を元として含み、その偶奇が議論できるような環」を定義したいです。 で、納得いくような結論は得られてません。
2014-11-24 22:12:14書ききれなかったまとめ作者の意見等を補足しておくと、
- 「素数の無限積」を持つ環は“無限大”を含まなければならない
- さらに部分積をとる数列が何らかの位相で無限大の元に収束してほしい
ここまでで「素数の無限積」に対する定式化は2種類考えられます。
- 一つは非アルキメデス的順序環を用いて実際に順序の意味で“無限大”を実現する方法。この際は「素数の無限積」は「任意の素数で割り切れる0でない元」と解釈する。
- もう一つは順序環とは限らないが、「何らかの位相を入れて部分積をとる数列が収束先を持つ」ような環を考える方法。この場合ももちろんその収束先は任意の素数で割り切れる必要がある。
ここでこの二つが両立しない、すなわち普通の順序位相の意味では部分積の数列は収束しないことは非アルキメデス的順序環の一般論からすぐわかります。前者のアプローチについては、後の「超準解析」の項で意見を書きます。ちなみにまとめ作者は位相体について無知なので、後者の場合の位相的な議論はこれ以上しません。
代数的な部分に関してはもう少しだけコメント。整数(とその偶奇性)に関する議論は、有理数体Qの拡大体Kにおける有理整数環Zの整閉包(整数環)に関する議論に一般化できます。以上から、Qの適当な拡大体Kの整数環Aをとって、その中で素数の無限積やら偶奇やらについて議論できるのが理想なんじゃないかなぁと思います。あとは数論勢にバトンタッチしたい。
2014/11/25 02:10追加 数論勢のお出ましです
各極大イデアルの剰余体が有限体である可算Jacobson半単純環Aに対し、projlim_{S⊂Max(A),|S|<∞} A/Π_{P∈S}Pは距離化可能な完備位相環で極大イデアルの元の無限積が0に収束する。特にA=ZだとZハットの商位相環が出る。
2014-11-24 23:57:41ちなみにZの完備化で現れる任意の副有限位相環はZハットの商位相環と同相同型。さっきの手順で作るZハットの商位相環は素数の無限積の収束に対して普遍性を持ち、その任意の閉イデアル商で素数の無限積が0に収束する。しかもそのような商であってZを単射に含むものの全体の同型類は無限個ある。
2014-11-25 00:03:082014/11/26 0:05追加 さらに新たな事実が
素数の無限積の話だけど、ちゃんとスーパー(?)自然数(Supernatural number) en.wikipedia.org/wiki/Supernatu… というものがあって、そこでは素数の無限積も定義できるし、n_2が1以上か否かで偶奇が決定できるんですよね。しかも、答えは偶数になります。
2014-11-25 22:23:37@phasetr もっというとスーパー自然数に付随して作用素環の一種てあるUHF環が構成出来たりもします。そして、その分類は1970年代かそれくらいにK理論を用いて行われました。
2014-11-25 22:33:52@phasetr この分野の黄金期の結果ですし、凄まじいですよね。Murphyの本に証明込みで詳しく書かれていますよ。他にも、先述のWikiには代数的な取り扱いが書かれた本が紹介されていますね。
2014-11-25 23:43:44超準解析の人々の意見
大元のツイートに対するリプライの中に、「超準解析」を用いたトンデモな人がいました(そのツイートはこのまとめには載せません)。「超準解析」とは「無限に大きい/小さい数」というのを数学的に厳密に取り扱える理論です。普通の実数全体よりもはるかに大きな「超実数体」という無限大・無限小を含む構造を用いて、数学を展開します。
一つの超自然数cを用いて、Π_(p<c,p:prime)pとすればこれは定義できていて、かつ全ての標準的素数の積の倍数となるが、はみ出し原理によって超素数を含んでしまっている。超自然数にも同じように偶奇が定まって、これはp=2が含まれるのでいかなる超自然数cについても偶数となる。
2014-11-24 01:02:24はみだし原理 (prolongation theorem) 超自然数の内的集合 A について次は同値:
- 自然数 l が存在して、任意の自然数 n≧l に対して n∈A
- 無限大超自然数 u が存在して、任意の無限大超自然数 n≦u に対して n∈A
直観的にいえば(有限)自然数の上の方を全て含んでしまっていると、そこから無限大超自然数の下の方まではみ出てしまう。また無限大超自然数の下の方を全て含んでしまっていると、そこから(有限)自然数の上の方まではみ出てしまう。
例えば m を全ての(有限)素数で割り切れる超自然数とする。超自然数 i に対して p_i を i 番目の"超"素数とする。このとき A = {i | p_i は m を割り切る} は内的集合となる。ところで m は任意の(有限)素数で割り切れるので N⊂A が成り立つ。したがって上のはみ出し原理より、無限大超自然数 u が存在して、任意の無限大超自然数 n≦u に対して n∈A が成り立つ。つまり m は p_u, p_(u-1), … でも割り切れてしまう。したがって全ての(有限)素数を、かつそれだけを素因数に持つような超自然数は存在しない。