『八戸浦”くじら事件”と漁民』に見る、漁民から見た捕鯨

いまでは水産業界のヒエラルキーのトップに君臨し、水産庁からも全漁連からもマスコミからも別格扱いされている捕鯨産業だが、歴史を紐解くと日本の近代捕鯨が沿岸漁民から一種の”NINBY”とみなされてきた事実が浮かび上がる。 八戸市の郷土史『八戸浦”くじら事件”と漁民』をテキストに、もんもんさん(@hydehydesan )が解説。 * 給食ひろば(@KyushokuJP)さんによる八戸訪問レポートを追加
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給食ひろば @KyushokuJP

湊、白銀の漁師たちは明治44年11月1日に決起しました。資料を読むとそれまでに装束を揃えているなど綿密に計画が練られていたようです。また湊にあった酒蔵では蔵元が漁師たちに賛同し襲撃直前に酒を振る舞い、その後この蔵元も被告として裁判にかけられていたこともわかりました。 pic.twitter.com/CQauhnNssp

2017-03-20 12:52:27
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"他の一隊は近江屋へ寄り、一杯ひっかけたあげく四斗樽を馬車に積んだ。(略)これを全員が集合した鮫岳であおりつけた。昔から「男山」は浜の銘酒で、漁師にはよく効く気付薬である。" そんな証言記録もありました。湊を出発した漁師たちは三派に分かれ、鮫の捕鯨会社を目指しました。

2017-03-20 12:57:35
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湊から鮫までのルート上にあった白銀の警察派出所も漁師たちに襲撃されました。捕鯨基地誘致派に利する取り締まりをしていたためです。 pic.twitter.com/bLEIEoM3ez

2017-03-20 13:03:25
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また、鮫の捕鯨会社の手前に位置する、捕鯨会社や誘致派の拠点であった石田屋旅館も襲われました。 その後も営業は続きましたが、東日本大震災の津波被害で取り壊されてしまい現在は更地になっています。 pic.twitter.com/85jRmy59LG

2017-03-20 13:14:36
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漁師たちは捕鯨会社に着くと鯨油に火をつけ解体場を焼いてしまいます。その後、漁師たちは裁判にかけられ有罪となりますが、間もなく明治天皇の崩御により大赦が下されます。その後の協議により捕鯨会社からは焼討ちに加わった漁業組合に対して補償が出たそうです。 pic.twitter.com/86fh4WYez8

2017-03-20 13:22:58
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この事件の要因は捕鯨事業による海の汚染と語られている一方で、八戸市が1976年にまとめた八戸港史では、倉庫にあった揚繰網が引き出され燃やされていることから、この事件の本質は、揚繰網漁業発展による湊漁民の長谷川藤二郎への反発が一挙に爆発したものだとしています。 pic.twitter.com/YIydfFU06t

2017-03-20 13:37:06
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国策に乗る形で捕鯨会社を誘致し、それを足掛かりとして八戸の築港を進めた結果として特定第3種漁港までになった八戸漁業の影には、この事件のような莫大なエネルギーを費やしていたのだということを知りました。 pic.twitter.com/UBeaLbIdO1

2017-03-20 13:55:58
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ところで今回の旅行で捕鯨会社の解体場を特定しようと思い現場を散策してみましたが、確証を得ていません。書籍によると、水産研究・教育機構開発調査センター・東北区水産研究所がその跡地に建っているようなのです。驚きました。 pic.twitter.com/sJTAS5oEZj

2017-03-20 15:12:34
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給食ひろば @KyushokuJP

こちらの東北区水産研究所に人の気配がしたので捕鯨会社があった場所を尋ねたのですがわからずじまいだったのです。 築港のための埋立てが進み、なかなか難しい課題になってしまいました。鮫の観光協会の方にも伺いましたが、だいたいの場所がわかるだけでした。 pic.twitter.com/G42LFxlxA9

2017-03-20 15:25:01
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給食ひろば @KyushokuJP

しかし、恵比寿浜漁港で小さい頃まだ解体場があったという漁師さんにお会いして尋ねると研究所の近くではありますが、現在の八戸水産高校漁業実習棟のあたりだとおっしゃるのです。この課題は持ち越します。 pic.twitter.com/rfEht7oHLt

2017-03-20 15:30:37
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ハマの大事件『くじら騒動』(八戸ポータルミュージアム はっち)より

カメクジラネコ @kamekujiraneko

以下、まとめ用にポイントを引用連ツイしておきます>ハマの大事件『くじら騒動』|八戸88ストーリーズ hacchi.jp/programs2/dash…

2017-08-01 23:25:19
カメクジラネコ @kamekujiraneko

(承前)漁民たちがこの行動へ至ったのは、事件から遡ること2年前。6月下旬、湊川口(現在の新井田川河口)に広がる砂浜に、魚、ホッキ貝、蟹など多数の死骸が打ち上げられた。漁民たちは、くじら解体の影響では?と疑念をもつ。 その死骸を手に、村役場へ訴え出た。(引用)

2017-08-01 23:26:46
カメクジラネコ @kamekujiraneko

(承前)数日前、恵比須浜で長須くじらが一頭解体され、大量の鯨血、鯨油が、海に廃棄されていたからだ。 その1年前、有力商家と一部の漁業組合理事は、石田屋旅館にて、捕鯨会社と会合を持ち、くじら解体場誘致は大きな利益をもたらすと判断、捕鯨会社による陳情を積極的に後押ししていた。(引用)

2017-08-01 23:27:30
カメクジラネコ @kamekujiraneko

(承前)それは、漁民たちを無視した強引なものであり、各漁業組合連合会や周辺の村々は硬く結束、大規模な反対運動へと発展し、6月の死骸打ち上げ事件は、更に漁民たちの結束力を強固なものとしていった。 しかし、県はくじら解体場の設置を許可。(引用)

2017-08-01 23:28:17
カメクジラネコ @kamekujiraneko

(承前)設置に動いた東洋捕鯨は、恵比寿浜に解体場を建設、操業を開始した。 瞬く間に、周辺海域は、鯨血に染まり、海面に鯨油が浮かび上がる。骨や臓物は、近隣の沿岸地まで、流れ着く有様で、沿岸部に生息するあわび、昆布などに被害が出始めた。(引用)

2017-08-01 23:29:18
カメクジラネコ @kamekujiraneko

(承前)鯨の処理方法にも問題があり、周辺は悪臭が立ち込める。 「このままでは、生活の糧となるイワシまでも消えてしまう。」 当時、主力魚種のイワシの不漁が続き、その対策を考えていた漁民たち。 くじらによる汚染はイワシ絶滅に繋がっていくのではないか。(引用)

2017-08-01 23:30:25
カメクジラネコ @kamekujiraneko

(承前)漁民は不安と焦りで緊張が高まっていく。 10月、捕鯨操業期間は終了したが、東洋捕鯨は無断で操業を続け、県は黙認。  漁民たちの怒りは一気に頂点に達した。(引用)

2017-08-01 23:31:19
カメクジラネコ @kamekujiraneko

(承前)取材を行った2016年10月、八戸の湊では、近年にないマイワシの大漁が続いていた。(引用) 2017年から、漁師を救ってくれた恵比寿・オナイジを八戸はまた殺し始めてしまった・・(捕鯨業者は件の東洋捕鯨と同じく地元じゃないけれど)

2017-08-01 23:36:53
カメクジラネコ @kamekujiraneko

だいぶ時間が経ってしまいましたが、今年から突然始まった、あまりにも問題が大きすぎる八戸沖調査捕鯨について解説しました>八戸の恵比寿神:八戸太郎/オナイジを殺す捕鯨サークル──持続的な海との付き合いを変質させたヨソモノ近代捕鯨の重い罪 kkneko.sblo.jp/article/180535…

2017-08-03 19:16:46
カメクジラネコ @kamekujiraneko

記事中のリンク必読>ハマの大事件『くじら騒動』hacchi.jp/programs2/dash… 『八戸浦”くじら事件”と漁民』に見る、漁民から見た捕鯨 togetter.com/li/837408 八戸太郎|八戸妖怪巡り 8-nohe.blogspot.jp/search/label/%…

2017-08-03 19:19:01