【４月２６日　狭間とハイジ　死を知る】

狭間 駿 @c_yu_n

狭間】……いままでは、時間をかけてでも、取り戻せた。……きっとこんな、取り返しのつけようがない、どうにもならない大きな挫折の経験は、この相手には、はじめてなんじゃないかと、思う。

狭間 駿 @c_yu_n

狭間】助けたいと思って、何もできなかった。しなかった。…たぶん同じ挫折を、自分もこの相手も、感じているんだろうなと思うから、自分にできることは、ただ黙ってここにいて、てのひらをくっつけていることしかない。互いの嘆きを分かち合って持つことは、きっとできない。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「シュン、」顔を上げてそこにいる。「ビョーインで…？」死んだの？まで声に出せずにただ訊ねる。「ビョーインいんの？」

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「……、…？　…、」一瞬意味が掴みきれないが、少し考えて理解する。「……ううん、いない」首を横に振る。死んだから、いない、というわけじゃなく、「…いないよ」彼女は警視庁の建物のどこかで死んだはずだ。だからそう言う。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「…フーカが、いた場所にいきてえよ」ぎゅと彼を掴む。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「………ごめん。できない」首を横に振る。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「……」黙って彼を見る。「……なんで」

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「見に行くのもダメなわけ」ぽつと力なく訊ねる。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「………ケーサツの、場所だから」ぼそ、と答える。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「なんとかなんねえの、…いきてえよ」

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「…………、」黙ってしまう。さすがに少し、泣きたいような気持ちになる。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「……会いてえよ」望みを言う。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「……………。…、」少し躊躇う、けれど、「………もう、会えない…、……、」言う。

狭間 駿 @c_yu_n

狭間】…言う自分に、喉元を引き毟りたいような気持ちになる。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】じわ、と目頭が熱くなる。「ヤダ、…会いてえよ、」助けてえよとしょうもないだろうことを言う。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「………ハイジ、」打ちひしがれる気持ちで、眉を歪める。ぽつ、と、呼ぶしかできない。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「あいつに、なんかしてやりてえよ」きゅうと、相手の袖を掴んで項垂れる。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「……………、……。」何も言えない、できない。彼女に何かしてあげたい、と思う心を、優しい、彼女に向ける想いだ、と…、思いはするけれど…同時に、…今さら、何も、できはしない、とも、…思ってしまう…

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「………なにを？」ぽつ、と、呟いてしまう。

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「…、あいつを送ってやりてえよ」

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「………。」黙る。黙って考える。それはいい。いいと思う、とても。大事なことだ…ただ時期と場所が自分にとって、とても悪い。「……いいと、思う。…でも、どうしたらいい？　おまえの思う、送る、って、あの子…の、最期の場所、いかなきゃ、できない？…行きたい…？」

ーーー @HaKo_723

@c_yu_n ハイジ】「わかんねえ、…わかんねえから、行きてえって…」ぐすと鼻を鳴らす。実際に自分が何をしたいかも、何ができるかもわからない。最後…最期…と頭のなかでぐるぐるとまわる。

狭間 駿 @c_yu_n

@HaKo_723 狭間】「……なあ、」困ってしまって、くしゃりと崩れるような表情で見おろす。暗闇と涙で見えはしないだろう。「…俺は、連れてけないよ。……それに、具体的にどこだったのかも、知らないんだ」事実そうなので、そう言う。

狭間 駿 @c_yu_n

狭間】桐生トウヤに聞けば、分かるだろう。けれど別件で、津田異心、という存在が自分にはある。この相手を警視庁に関わる場所に連れていったりしたら、どこでどうマイナスの事態につながるか、分からない。

狭間 駿 @c_yu_n

狭間】…彼女を送ってやりたいというまっとうな望みを前にして、自分は、そこに行きたいという彼の望みさえ、叶えてやれない。