魂命を継ぐ幽朧の境界:三日目昼

* 揺らぎ、あって、尚。 *
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【刃】エクスィ @hexi_6_AO

──きらめきをあとにして。 龍と眠る少女が。 目覚めれば、そこはまた、いちめんの白。白。白。 白い、部屋。 「……おはよ、う?」 静かだ。 とても、とても静かだ。 少し前に、この場所を訪れたときよりもずっとずっと。

2015-06-26 13:37:55
【刃】エクスィ @hexi_6_AO

否。それだけではない。静かなだけではない。 ──なにかが、違う。 少女の感覚では捉えきれない、なにかが。 「……」 不安になる。 ぎゅ、と胸の前で両手を握り締めた。

2015-06-26 13:39:28
【刃】エクスィ @hexi_6_AO

「──だれか、いる、の?」

2015-06-26 13:39:46
【鞘】ル・レクタ @R_l_eqta

少女の声にぼんやりと瞼を開いて。 見渡す景色が、知らぬ間に移り変わっていることに気づく。 どうやらまた昼が、訪れたらしい。そう思い。 そこで。奇妙な静けさにも、気づく。

2015-06-26 16:16:20
【鞘】ル・レクタ @R_l_eqta

静かで、穏やかで。賑やかなあの落ち着きのなさはどこへ消えたのか━━あの?落ち着きのなさ? 何の記憶かと、これは。はたと龍の胸の内に、惑いが過る。 いや、確かにここに、居た者たちがあって。 「けれど。今…?」 今、彼らは。

2015-06-26 16:22:27
【鞘】ル・レクタ @R_l_eqta

戸惑いに黙り込んで、それでも。 目の前で不安に瞳を揺らす少女がいるなら。 龍は歩みを進める。

2015-06-26 16:25:20
【刃】ペンデ @pende_AO

朝だ。 瞼を通り抜けて少し明るい。 目をこすり、欠伸をこぼして伸びをする。 人の気配が少ない気がして身体を起こして辺りを見渡した。

2015-06-26 17:39:46
【刃】ペンデ @pende_AO

「おはよう、エクスィ、レクタ。」 とりあえず、見えた姿に声を投げ、首を傾いだ。 昨日の昼が終わった時と同じような、違和感。 心はざわめく。

2015-06-26 17:40:00
【鞘】ル・レクタ @R_l_eqta

ふ、と。慣れた気配を感じて目を遣ると、青い瞳の少年の姿が飛び込んでくる。 少年のくれた言葉に、おはよう、と返して。 龍はぱちりとひとつ、瞬きをする。

2015-06-26 18:11:43
【刃】ズィオ @Obtener_Dio

「ううん」 瞼を閉じていても分かる光の気配に、薄く目を開ける。広がるのは白い世界。初めてこの場に訪れた時と同じその様子に、ああ朝が来たのだと男は理解して。 「みんな、おはよう」 目を擦りながら上体を起こす。寝台は塔に置きざられる事なく、この場でもしっかりと男を支えていた。

2015-06-26 18:40:14
【刃】ズィオ @Obtener_Dio

ぐるりとこの場を見渡し、大分目の覚めてきたと見える男は、 「あれ」 とひとつ訝しげな声を上げた。初めの時と同じと思えたこの場にある違和に。 「……みんなは?」 真白の中にぽつぽつと見える色は明らかに少ない。まだ揃わないのだろうかとも思うが、昨日はそんなこともなかったのに。

2015-06-26 18:40:29
【鞘】大賢者タマゴ・ボーロ @tamagobo_ro_AO

眠らぬことには、慣れていた。 自らの肉体に流れる時間を掌握した、その時から、賢者の肉体は、眠りを必要としない。 よほど肉体か精神を酷使しない限りは、賢者にとって、『眠り』とは、夢を嗜むための、嗜好であった。 二人を見送った後は、遠い過去……彼が未だ弟子であった頃に、想いを馳せて。

2015-06-26 18:51:43
【鞘】大賢者タマゴ・ボーロ @tamagobo_ro_AO

そうしているうちに、何層にも重なる魔法の本棚に埋め尽くされた書庫の壁は、滲むように、白へと変わり。 「……朝か」 ぽつり、零す呟き。 見渡せば、昨晩を共に過ごした二人がそこにいて。 「……ぬ……?」 ーー足りない。……頭数が、明らかに。

2015-06-26 18:51:44
【刃】エクスィ @hexi_6_AO

「あ、」 声に気付いたなら、不安げに揺らいでいた瞳がぱぁ、と輝く。 「おにいちゃん」 駆け寄り、見上げた。おはようと言葉を返して、にっこりと笑みを浮かべる。

2015-06-26 18:52:40
【刃】エクスィ @hexi_6_AO

「ズィオも、おはよう」 続いて、そちらにも振り返ったなら。 不思議そうに零された声に、少女もまた首を傾げる。 静かすぎる、と感じたそれは確かで。 なるほど彼の言うとおり、明らかに、今までよりも……少ない。 そんな気がして。

2015-06-26 18:54:17
【刃】エクスィ @hexi_6_AO

首を傾げたまま見やる。夜をともに過ごした龍の青年と、そして髪の……長い、老人。 …………長い? 長い気がする。「前に」見たときよりも明らかに。 ことり、ことり。左右に一度ずつ首を傾いで。うーん、と考え込み。 それから、助け舟を求めるように、龍の青年を振り返る。

2015-06-26 18:56:42
【刃】ペンデ @pende_AO

少ない人の数に違和感を覚えるし、身体は急成長の最中で全身痛いまま。 立ち上がれば少し伸びた背、ただ細いだけだった身体に多少なりとも筋肉がついた。 先程零した声も、以前より低くなっていて。 心にも違和感だが、身体にもだいぶ違和感。 それでも。

2015-06-26 20:28:33
【刃】ペンデ @pende_AO

エクスィが表情を明るくして駆け寄ってくるのなら、膝をついて両腕を広げた。 「無事でよかったよ。」 空間が歪んだから心配していたのだと告げる。 それからズィオに、タマゴに視線を向ければ目を細めた。 「ズィオもじーちゃんもおはよう。」

2015-06-26 20:28:39
【刃】エプタ @ept_Ao

「ほんとに、いない。」 ぽかんっとした声が響く。 視線をざっと巡らせても、教えてくれた本人はまだ来ていないようだ。 「えーと、あーと……うん。 とりあえず、おはようございます。」 ぽよん、とした体を揺らしてそう続ける。 そう、その姿は猫でも水溜まりでもなく ゼリー状の丸。

2015-06-26 21:01:54
【刃】エプタ @ept_Ao

そのまま、コロコロと転がってズィオの近くへと陣取る。 「なんか、歪みがおこって人が少なくなったってエピカは、言ってたけど……俺も詳しくは知らぬ。」

2015-06-26 21:03:34
【刃】ズィオ @Obtener_Dio

「おはよう」 かけられる声に返していく。それが終わっても、待ち人は現れる気配がない。 代わりに現れたのは見慣れぬ丸いもの。何だろうと見ているうちに、 (しゃべった) 予想外から気を取り直すまでに一呼吸、その声から推測するまでにもう一呼吸。 「エプタだ。今日、なんだかかわいいね?」

2015-06-26 21:18:50
【刃】ズィオ @Obtener_Dio

隣へ転がってくる球体を拒む訳もなく。寝台から下りて隣に座り込めば、必要のなくなったそれは煙のように消えた。 「じゃあエピカ、何か知ってるのかな」 ひとまずは話に出た彼を待ってみる決心で。それとともに、再び見回して。 「みんなは何か知ってる? その、歪みについて」 と聞いてみる。

2015-06-26 21:19:03
【鞘】大賢者タマゴ・ボーロ @tamagobo_ro_AO

「歪み、じゃと」 眉間の皺を深め、僅かな焦りを滲ませて、白一色の世界を見渡して。 「……まさか……?ーーいや、馬鹿な。そんなことがあるわけが……無い、とも、言い切れぬか……?」 ううむと、唸るように考え込んで。

2015-06-26 22:13:35
【鞘】ル・レクタ @R_l_eqta

やがて集まった面々を見回して。やはり足りないと、瞳の奥、違和感が募る。 何かが起きた。或いは今もまだ、起こっているのだろう。 ここは全く何も変わらず。 けれど昨日とは、明らかに何かが違う。 そうして見下ろした紅い瞳が、何かを訴えかけてくるのに、龍も首をひとつ傾げて。

2015-06-26 22:56:33
【鞘】ル・レクタ @R_l_eqta

つられるように顔を上げた先。に、何か。 何かが、違うと。訴えかけてくる五感に従って。龍のその金色の双眸で見つめるのは。 「あー、その。賢者殿。何と、言うか」 呼び起こされる眩しさに、僅かに眼差しを細くして。 龍はもう一度、首を傾げる。

2015-06-26 23:04:47
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