@KiryuTouya ヒヅメ】冷えた心は却って穏やかに凪いでいく。嵐の前の静けさ。今が自分の、本当に最後の時。そう思うと、なんでも出来るような不思議な心地になった。 「……変なことを、言っても良いですか」
2015-07-29 22:57:12@KiryuTouya ヒヅメ】「書いてもいない事なので、今の内に言っておきますね」 何に、とは言わないで。真っ直ぐに青年を見返す。 「吾は、……好きだったのだと思います、貴殿のことを」
2015-07-29 23:03:46@kankyoizon2 桐生】「…………」 隻眼を見開き、口を開きかける。 「……――」 過去完了形。目線を落とし、小さくため息を落としてから、笑みを張り付けた。 「また、幻滅されちゃいましたねえ」
2015-07-29 23:07:34@KiryuTouya ヒヅメ】「確かに、貴殿には失望してしまいました。でも悪いのはきっと吾です。吾が貴殿に、望み過ぎたのです」 フードを深くかぶり直し。 「ですからこう続きます。……『今は貴殿の存在が、ただ愛しい』」
2015-07-29 23:12:44@kankyoizon2 桐生】失望のくだりはともかく、その後の言葉にはいよいよ思考が追いつかなくなった。 「……?それは、どういう?」 好きと愛しい。何がどう違うのか、桐生には理解が及ばない。
2015-07-29 23:13:57@KiryuTouya ヒヅメ】困ったように微笑む。そして、真顔になる。 「……今から其れを、証明します。桐生さん、……絶対に自分の正義を貫いてください。絶対に敗けないでください。例え、何があったとしても、悪をのさばらせるような事は、決してしてはいけません」
2015-07-29 23:16:53@kankyoizon2 桐生】「……ええ、分かりました。此処で、全てを終わらせましょう」 分からぬまま、頷く。どの道やるべきことは変わらないからだ。 そして、最後の段を、登った。
2015-07-29 23:20:34@KiryuTouya ヒヅメ】「はい」 桐生に続いて屋上に上がる。その屋上の光景を見る前に、一度目を閉じる。そしてふたたび目を開き、レインコートのフードを、視線を隠すように深くかぶった。
2015-07-29 23:25:55