堕胎罪廃止運動の是非(「ピルとのつきあい方」氏との議論)

中絶・堕胎の倫理的是非については、別の論点として保留しています。
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ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 堕胎罪廃止論について議論したいとのことだったと思います。私の立場は堕胎罪廃止反対で明確です。ねこさんが堕胎罪廃止賛成でなければ議論になりませんよね。

2015-11-24 19:00:33
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 堕胎罪廃止賛成の立場から発言するならば、①堕胎罪の問題点や廃止が必要な理由を示す責任はねこさんにあるわけです。

2015-11-24 19:00:50
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 自己堕胎する女性が罰せられるという問題点の指摘に対しては、ブログで見解を示しています。ねこさんが堕胎罪廃止賛成論を展開するためには、新たな観点の提示が必要かと思います。

2015-11-24 19:01:25

まず、一般論として、両者が堕胎罪廃止賛成/反対という立場でないと議論ができないということは全くありません。私が①②で『確認』したように、ルリコ氏が一定の主張をしており、私がそれに反対、ないしは同意を保留していれば、そこに論点が生じます。

(1)『自己堕胎する女性が罰せられるという問題点の指摘に対しては、ブログで見解を示しています。』
その『見解』というのは、「安価に安全に中絶ができるようになれば、現在非合法な中絶・堕胎をする必要はなくなり、処罰規定も意味を失する。それまでは、堕胎罪はあったほうが(権利運動のためにも、女性の健康のためにも)良いのだから、それまでに非合法な中絶・堕胎をして罰せられる女性は切り捨てよう」ということですよね?違いますか?私はそれに疑問を呈しています。

(追記:後に掲載してあるまとめ内のツイートによれば、ルリコ氏は、自己堕胎罪のみを廃止し「堕胎幇助罪」を新設、(結局自己堕胎はできないように)という立場のようです。しかし、『堕胎罪は自己堕胎・同意堕胎・業務上堕胎・不同意堕胎を包括した概念で、一部を残し一部を廃止する事には技術的な難しさがある。』とも書いています。
また、『不同意堕胎罪だけを残すという案の難点は、同意不同意の区分けがつきにくい事』とも述べていますが、同意/不同意の区別が(法・裁判の領域上)しにくいというのはその他の罪にも言えることです(例えば、同意の上の性交と強姦との区別)。それは、不同意堕胎罪のみを残すことの困難さとは別の問題でしょう。)

ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 ②その上で、堕胎罪の必要性に対する反論を提示すべきです。私は厚労省通達の出るまで経口中絶薬が頻繁に個人輸入されていた実態を踏まえ、堕胎罪がなくなれば個人輸入が復活し、身命を害する女性が出ると論じています。

2015-11-24 19:01:57
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 ねこさんは、この点について自己堕胎/「闇医者」が「廃止前より増えるでしょうか?その理由は?」と書いています。個人輸入すれば中絶手術の1/4の費用ですみます。ねこさんは、それでも増えないと論じなければ議論になりませんよね。

2015-11-24 19:02:27
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 ねこさんは、この点について自己堕胎/「闇医者」が増えたからと言って、「産む場合の方が苦し」さを考えれば、「女性の健康・幸福が悪化したとは言えない」と指摘しています。無責任なご意見だと思いますが、堕胎罪廃止反対論の立場から反論しなくてはならない必然性はありません

2015-11-24 19:03:00

(2)『私は厚労省通達の出るまで経口中絶薬が頻繁に個人輸入されていた実態を踏まえ、堕胎罪がなくなれば個人輸入が復活し、身命を害する女性が出ると論じています。』『個人輸入すれば中絶手術の1/4の費用ですみます。』
では、実際に受ける「危険」として氏が危惧しているのは、「闇医者」でなく、主に、中絶薬の個人輸入による自己堕胎なのでしょうか?

『ねこさんは、この点について自己堕胎/「闇医者」が増えたからと言って、「産む場合の方が苦し」さを考えれば、「女性の健康・幸福が悪化したとは言えない」と指摘しています。無責任なご意見だと思いますが、堕胎罪廃止反対論の立場から反論しなくてはならない必然性はありません』
『無責任』と仰いますが、ここで私が(或いは、私を含む社会が)果たすべき「責任」とは、どういうことですか?

現在は非合法である危険な中絶・堕胎が合法になったときに、それを受けて自らを危険にさらすのはどういうことなのかということが問題なのです。現在合法である安全で高価な中絶・堕胎を余裕で受けることができるような女性は、堕胎罪があってもなくても、同じく安全なほうを選択するでしょう。そして、現在非合法であっても(貧困等の理由で)危険な中絶・堕胎をするような女性は、合法になっても同じ選択でしょう。この二つの層は変わらない。増えるとすれば以下の二つの場合。
1、危険な中絶・堕胎が非合法であったときには安全で高価な中絶・堕胎をしていたであろう女性が、より安価な方法が合法になったとき、危険な中絶・堕胎を行う場合。
2、危険な中絶・堕胎が非合法であったときには産んでいたであろう女性が、合法になったとき、危険な中絶・堕胎を選択する場合。
これらの層は二つのパターンに分かれ、A、危険性について分からずに(調べずに)行う場合と、B、危険性を知りつつも、危険性より安価性を優先させたり、産む場合の何らかのデメリットのほうが大きいと判断したりする場合。(私はBについて言及しています。Aがそんなに増えるほど女性が愚かだとは思いませんので。)

女性が持つ多様な背景を無視し、女性をパターナリスティックに「保護」することで自己堕胎の身体的危険(その危険程度の評価も立場によって分かれるでしょうが)を避けることが何よりも「女性のため・その人のため」だという価値観を押し付けることのほうが『無責任』であるように私には思えます。『堕胎罪廃止反対論の立場から反論しなくてはならない必然性はありません』と仰いますが、堕胎罪廃止反対論がそうした価値観を根拠としているのであれば、その論の正当性は(価値観の支持者に対してだけの)限定的なものであり、不同意者を「トンデモ」認定している氏は誤りであると言えると思いますが、それで良いのですか?

ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 ③刑法第213条(同意堕胎及び同致死傷)を廃止しても大きな問題は生じないとし、「『闇堕胎の時代に逆戻り』や『無法状態』などという言い回しは、現在:良い状況/廃止後:悪い状況という安直な理解に基づくラベリングに思えてなりません。」とねこさんは指摘しています。

2015-11-24 19:03:21
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 殺人罪をなくしても殺人が増えるとは思わない、と考えるのは自由ですが、法による秩序は弱者を守るためにあります。そのような法が不要と考えるのは独自思想なので論評のしようがありません。

2015-11-24 19:03:48

(3)そもそも、『刑法第213条(同意堕胎及び同致死傷)を廃止し』た場合にどのような『大きな問題』が生じるのかということについて、氏は詳細な言明をしていません。「医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者」でない者が「女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て」中絶手術をす(「堕胎させ」)ることは、医師法違反で罰せられると思いますが。

私は『殺人罪をなくしても殺人が増えるとは思わない』と一度でも述べた事はありません。『法による秩序』、『弱者を守るため』といった言葉は、同性愛を禁じたり、パターナリスティックに女性の自由を制限する「罪」を合理化するときにさえ使用できます。自分の対立者が「法の秩序」を全否定しているかのような印象操作をするのは、議論に不必要であるどころか、議論態度として不誠実と言わざるを得ません。
『そのような法が不要と考えるのは独自思想なので論評のしようがありません』というのは、完全な論点先取であり、結論ありきの考えです。というか、同意傷害や同意殺人さえ違法とすべきでないという立場を取ることは可能であり、それは「論評のしようがない『独自思想』」ではないと思いますが。

ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 ④中絶観について、中絶の合法化は「(中絶の)社会的必要」を認めたとは言えないとねこさんは主張します。一般論としてはご指摘の通りです。日本の優生保護法はまさにご指摘のように中絶の社会性という観点を伴いませんでした。

2015-11-24 19:04:10
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 欧米では中絶の権利は勝ち取られたものです。中絶は個人に属することであり、罪であるとの考えが支配的でした。それを乗り越えるには、中絶は個人的営為ではなく、社会的機能であると主張せざるを得なかったのです。

2015-11-24 19:04:31
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 社会を維持するために中絶があり、女性がその犠牲となっている。この認識なしには、中絶の合法化は実現されませんでした。

2015-11-24 19:04:59
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 中絶の合法化は社会的機能としての中絶との認識とイコールでした。社会的機能を女性が負担しているとの認識から、中絶も中絶を少なくする避妊も社会でコストを負担することになりました。

2015-11-24 19:05:17
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

@hyougen0 その辺りの事情は、「生殖にまつわる費用の社会負担を求める論理」finedayspill.blogspot.jp/2015/09/blog-p…をご覧下さい。

2015-11-24 19:05:52

(4)これらのツイートは、「なぜ、堕胎罪を廃止すると、中絶は自己責任(個人的なこと)であるということになるのか?」という問いの答えにはなっていません。

また、女性個人の身体内でなされる『個人的営為』である側面もあり、人口の再生産という『社会的機能』を持つ側面もあるという点が、妊娠・出産、そしてそれに関連する中絶・堕胎というものの特徴だと私は思います。それ故に問題が独特に複雑なのだと思います。中絶の『社会的機能』を費用の社会的負担の根拠にするとき、中絶が『個人的営為』ではないと主張する必要はありません。

*ねこの追記

ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

→日本は世界に先駆け中絶の合法化が行われた国で、各国は日本の中絶法制を参照した。堕胎罪を存続し阻却法制を整備する方式は、現在でも各国の中絶法制の基本となっている。→

2016-01-26 22:57:57
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

→堕胎罪を存続させなければ闇中絶や中絶の強制から母体を保護することができないからだ。中絶合法化により、堕胎罪は母体保護を法益とするようになった。→

2016-01-26 22:58:18
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

→どの国にも母体保護を法益とする堕胎罪の廃止を叫ぶフェミニストはただの一人もいない。日本のフェミニストだけが独自な主張を展開し、フェミニストの公論になってしまった。まなざし村と同じ構造だ。→

2016-01-26 22:58:35

『堕胎罪を存続させなければ(略)中絶の強制から母体を保護することができない』?

まとめ フェミニスト総賛成の堕胎罪廃止に異議あり、な理由 刑法にはカビの生えたような堕胎罪の規定があります。 堕胎した女は罰せられるのに男はお咎めなしってあんまりだ。 こんなに時代錯誤な規定は廃止してしまえ。 そりゃあそうだと思える主張。 でも、ちょっと待ってよというツイート。 19639 pv 158 13 users 8

ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

堕胎罪が廃止されれば、他者(相手の男)が女性に無理矢理に堕胎薬を飲ませても、罪に問われない事になります。これでは女性の性の権利は守れません。この様な問題を考えた上での堕胎罪廃止提案とは思えないのです。

2012-12-01 23:04:03
ピルとのつきあい方(公式) @ruriko_pillton

まず、フェミニズムの「堕胎罪」評価は概ね否定的です。しかし、過去にもツイートしましたが、堕胎罪の進歩的側面も評価しておく必要があります。歴史的に見ると女性は堕胎を望んだのではなく強いられてきたと考えます。堕胎罪は堕胎強要を禁止した進歩的側面を持っています。

2012-12-02 16:31:42