科学は定義できるか

http://togetter.com/li/69786 から抽出して作成した。 ・方法論だけで科学と疑似科学を切り分けようとする企ては非現実的であると、いまの科学哲学では考えられている。査読などの制度、そして研究者の態度や伝統なども基準に取り込んで切り分けるのが現実的だという。
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早川由紀夫 @HayakawaYukio

科学の「ある程度の目安」として渡邊芳之さんが書いた「客観的なデータで仮説や理論の正誤を検証する」は、とくに目新しい定義ではないけど、落ち着いたよい定義だと思います。これは狭い意味の方法論だけで定義したものです。

2011-01-22 15:52:09
早川由紀夫 @HayakawaYukio

大辞林で引いた科学:「自然や社会など世界の特定領域に関する法則的認識を目指す合理的知識の体系または探究の営み」 これも狭い意味の方法論で記述している。狭い意味の方法論で切り分けたい問題関心は、世間では特殊だと思えない。むしろ普通のようだ。科学哲学の世界では違うのかもしれないが。

2011-01-22 15:57:45
早川由紀夫 @HayakawaYukio

広辞苑では科学をなんと書いているか 「体系的であり、経験的に実証可能な知識」 これも狭い意味の方法論だけで書いている。査読とか追試とかの社会制度にまったく言及してない。つまり、ひとりの天才だけで科学をなしうる。

2011-01-22 16:06:16
早川由紀夫 @HayakawaYukio

科学を方法論で定義するときに辞書などで使われる特徴的な語:客観的、合理的、経験的、実証可能、体系、探究、仮説、理論。このほかにやや専門的になるが、反証可能、再現可能があげられる。

2011-01-22 16:20:20
伊勢田哲治 @tiseda

@HayakawaYukio それはそれとして、査読や追試が制度だというのは確かだとしても、だからといって狭い意味での方法論と無関係なわけではありません。たとえば明らかに実験結果と矛盾する結論を主張している論文ばかりが載る「査読誌」は「査読」をしているうちに入らないでしょう。

2011-01-22 17:48:58
伊勢田哲治 @tiseda

@HayakawaYukio 「「方法論だけでは決められない。制度も加味すると決まる」と聞いて」と書いていますが、それは私が言ったことではなく私の言ったことに早川さんが解釈を加えて導いた結論ですね。そもそも「広い意味での方法論」には他の要素もいろいろ含まれます。

2011-01-22 21:23:10
伊勢田哲治 @tiseda

@HayakawaYukio 最初にこの件についてお答えしたときにクーンとラカトシュの名前を挙げましたので、そのときにわたしの本に戻ってみていただければよかったのですが、彼らはとりたてて「査読」のような制度の名前をあげてはいません。

2011-01-22 21:24:21
伊勢田哲治 @tiseda

@HayakawaYukio クーンの場合であれば「パズル解決の伝統を持つ」ことがある分野が科学であるための条件です(わたしの本をご確認ください)。この伝統があるかどうかはさまざまなものの複合ですが、その分野の「研究者」の態度がかなり大きなウェイトをしめるでしょう。

2011-01-22 21:27:04
伊勢田哲治 @tiseda

@HayakawaYukio ラカトシュの場合は同じ領域に前進的なプログラムがあるのに後退的なプログラムを使い続けるのが疑似科学的だという考え方です。これはわたしの本の記述だけからは分かりにくかったかもしれません。科学かどうかはあくまで競合する理論との関係だというのがみそです。

2011-01-22 21:29:45
伊勢田哲治 @tiseda

@HayakawaYukio クーンの場合もラカトシュの場合も、査読というシステムはパズル解決をしない論文や後退的な仕方で問題かいけつをしようとする論文をふるい落とすのに重要な役割をはたすでしょう。

2011-01-22 21:32:11
伊勢田哲治 @tiseda

@HayakawaYukio 「パズル解決の伝統」にせよ、「後退的プログラム」にせよ、本当にさまざまな要素から構成されています。狭い意味での方法論的な要素ももちろんあるし、態度の要素、インフォーマルなしくみ、フォーマルなしくみ、いろいろです。一概にどれが重要とはいえないでしょう。

2011-01-22 21:42:34
伊勢田哲治 @tiseda

@HayakawaYukio 最後にもうひとつ、「狭い方法論だけで線引きするのはむり」という否定的な言い方になったのは、ラウダンのようにそもそも線引きは無理だという人もいるからです。したがって、「制度」を「広い意味の方法論」におきかえても早川さんの言い方は不正確です。

2011-01-22 21:55:37
早川由紀夫 @HayakawaYukio

12月8日のRT 「(アドホックな仮説を次々と打ち立てて)科学者たちは一向にニュートン力学を放棄しなかった。最終的には一般相対性理論ができてニュートン力学を否定する形で水星の近日点移動を説明した。もしこの事例を方法論的反証主義を使って判断するとするなら、

2011-01-23 05:49:07
早川由紀夫 @HayakawaYukio

科学者たちは半世紀ほど疑似科学をやっていたことになる。しかし、これは本当に創造科学と同列に並べられねばならないような事例なのか」伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』(2003、p56)

2011-01-23 05:49:21
早川由紀夫 @HayakawaYukio

(アドホックな仮説を次々と打ち立てて)一向にニュートン力学を放棄しなかった科学者たちを、半世紀ほど疑似科学をやっていたとみるのはそんなにおかしなことではない。そう判断すれば、方法論的反証主義で科学を定義することの反例でなくなる。

2011-01-23 06:08:25
早川由紀夫 @HayakawaYukio

ニュートン力学ではうまく説明できない観察事実が複数出てきた科学の発達段階においては、ニュートン力学に固執することなく、それを疑う姿勢をとったひとが真の科学者だった。そしてアインシュタインが出現した。彼は特異な経歴の持ち主だったという。

2011-01-23 06:08:52
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