子育てをするカニ!? 〜植物に住み、子供を守るブロメリアガニ〜
- kinoboriyagi
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ブロメリアの根は体を保持するだけで、栄養を吸い取ることはない。有機物は別に集める必要がある。通常ブロメリアの葉腋は熱帯雨林から降ってくる葉で覆われている。葉腋にはたくさんの生き物が生息しており、葉を分解して有機物から酸にする。このため、葉腋の水質は非常に悪い。フミン酸を生成する
2016-05-22 15:16:14ブロメリアの根は体を保持するだけで、栄養を吸い取ることはない。有機物は別に集める必要がある。通常ブロメリアの葉腋は熱帯雨林から降ってくる葉で覆われている。葉腋には微生物が生息しており、葉を分解して有機物から酸にする。このため、葉腋の水質は非常に悪い。フミン酸を生成する。
2016-05-23 12:37:30フミン酸
植物などが微生物による分解を経て形成された最終生成物である
フミン質(腐植物質)のうち、酸性の無定形高分子有機物。
バクテリアによりフミン酸が生じ、また酸素が消費され二酸化酸素にされる。きつい酸性だし、酸素も少ない。カニにとっては好ましくない状況。特に稚ガニには致命的になりうる。
2016-05-22 15:17:31カルシウムイオン濃度も検査した。通常薄いにはカルシウムが全く含まれているが、脱皮するカニにとってカルシウムは必須。脱皮後の甲羅の強化。
2016-05-22 15:19:01カルシウムイオン濃度も調査した。通常雨水にはカルシウムが全く含まれていないが、脱皮するカニにとってカルシウムは必須。脱皮後の甲羅の強化。
2016-05-23 12:38:34研究室で得られたデータ。幼生が必要な酸素濃度を示す。夜になると幼生にとって非常に危険な酸素濃度に下がってしまう。 カニのいる場所・いない場所のphの比較。幼生はphが 5.2を下回ると死ぬ。実測では4.8。
2016-05-22 15:21:39研究室で幼生に必要な酸素濃度を調べた。夜になると幼生にとって非常に危険な酸素濃度に下がってしまう。 さらにカニのすむ場所・いない場所でのpHの比較。幼生はpHが5.2を下回ると死ぬ。実測ではカニのいない株のpHは4.8。
2016-05-23 12:27:34カルシウム濃度のデータ。通常状態でのカルシウム濃度は必要濃度を大幅に下回っている。この環境では幼生は脱皮できない。
2016-05-22 15:22:48カニの動画。新居にやってきたメスが、重い葉っぱを一生懸命運び出している。母ガニは有機物が比較的少ない葉腋を選ぶ。バクテリアがより少なく、水質が良いところ。
2016-05-22 15:24:33体のなかのエラを使って、金魚のブクブクのように酸素濃度を上げることができる。この結果、pHは6.8まで上がり、完璧なコンディションになる。甲殻類にとって脱皮に最適なpH。
2016-05-22 15:26:16カルシウム量の測定。葉腋内に幼生が必要な量のカルシウムが十分に含まれている。でもどうやってカルシウムを手に入れるのか?
2016-05-23 12:40:48葉を捨てて掃除するだけでなく、カタツムリの殻を持ち込むことで、pHとカルシウム濃度をコントロールしている。炭酸カルシウムでできており、酸性の水にいれればカルシウム濃度を上げられるうえ、酸性の緩和剤としても働く。
2016-05-22 15:29:19母ガニはカタツムリを餌にもするが、水質改善のために殻だけを集めたりもする。こうやって水質をコントロールするというのは驚くべき行動。
2016-05-22 15:30:05カルシウム濃度が低ければ母ガニはより多くの殻を集めてくる。 イトトンボの仲間はブロメリアの葉に卵を産む。これが雨で葉腋に落ち、幼生は共食いをして最後の一匹が生き残る。
2016-05-22 15:31:31イトトンボの幼生とカニの幼生の画像。カニの方が小さくて、食べられてしまう。母ガニは捕食者から幼生を守る。母ガニ・幼生・イトトンボの組合せを変えて飼い、幼生の生存率を示した実験結果。
2016-05-22 15:34:04母ガニがいるとカニ幼生の生存率が顕著に高い。母ガニがいない場合はほぼ食べられてしまう。つまり、母ガニはイトトンボ幼生を殺して食べている。 幼生が発達して水から出られる稚ガニになると、問題になるのはpHのみで水質はあまり関係なくなる。
2016-05-22 15:35:35食べ物が重要になってくる。ブロメリアでは十分な食べ物が得られない。そこで母ガニは住んでいるブロメリアをめぐって狩りに出る。時には自分の体より大きいカエルを狩ってきたりする。
2016-05-22 15:37:07ブロメリアのうえにはヤスダがたくさん。葉を分解して食べる。母ガニはヤスデをちょんぎって子ガニに与える。ヤスデのぶつ切りに群がる子ガニたち。野外でこんな子育てが観察できたのは非常にすばらしい。
2016-05-22 15:38:50誰だよヤスダって……
稚ガニの捕食者の代表格はクモ。捕食者は餌目当てにブロメリアを訪れて、稚ガニを食べようとする。大きな稚ガニを襲おうとしているクモの写真に。
2016-05-22 15:40:05稚ガニの捕食者の代表格はクモ。捕食者らは餌目当てにブロメリアを訪れて、稚ガニを食べようとする。大きめの稚ガニを襲おうとしているクモの写真。
2016-05-23 12:42:06ここでも母ガニの活躍。母ガニがいる・いない状態にしての野外実験。6日程度の短期間の実験だったが、それだけでも子供の生存に母ガニの存在が影響していることがわかった。 体重増加。母ガニがいると増え方も体重も重い。母親のケアがとても大切。母ガニが餌を与えるおかげ。
2016-05-22 15:43:03