- tasobussharima1
- 1069
- 3
- 0
- 0
ただ、記憶という名の、幾重にも重ねられた十二単衣が如き衣が一枚一枚剥ぎ取られていく。 徳カリプス後の記憶。ヤオとの出会い。それ以前の研究生活。嘲笑の記憶。顔の半分が機械に覆われた、あの男の顔。死を選んだ時の光景。徳エネルギーに自らの根源を求めるよりも以前の記憶。怨嗟。畏怖。怨嗟。
2016-05-18 21:34:14マロ氏の希望を叩き潰した田中ブッダ氏……。しかし彼自身はマロ氏を嘲笑したりはしなかったんだろうな。ただ自分の理論を証明したら結果としてマロ氏の理論を否定することになっただけで #徳パンク
2016-05-18 21:38:13不死者の生の大半は、惨めなものだった。世を儚み、人に隠れながら生きてきた。人がまだ、今程ですら豊かではなかった時代。死は生のずっと近くにあった。 彼女が生まれたのは、そんな時代だった。そんな時代を、彼女は死なぬまま見続けてきた。 (……こんな記憶は、知らんでおじゃる)
2016-05-18 21:41:08『彼女』は、無限に転生する者ではなく、只の不死者だった。『彼女』は、平凡な漁師の娘だった。ただ、強いていうならば貴族のような生活に憧れていた。 仏門に入り、800年を生き、肉の器が塵に還って尚、不死の呪いは続いた。『彼女』は、『記憶』を受け継ぐ不死者となった。
2016-05-18 21:47:28ヤオの名前の元ネタは八百比丘尼かとか八百比丘尼の生き方とマロ氏自身を重ねてるんじゃないかとか予想はしてたけどまさかマロ氏が本人だとは思わなんだわ…… #徳パンク twitter.com/sazanami_alpha…
2016-05-18 21:51:57そして本質的に死ねない自身の救いとして最後にたどり着く可能性はやはり徳エネルギー兵器による強制解脱。となるとやはりヤオの名は人魚の肉を食べて不死となったのち死を求めて諸国を行脚したという八百比丘尼にちなんだものか。ボージソワカ! #徳パンク
2016-04-17 16:24:00「……違う。で、おじゃる」 これは、己の過去ではない。『マロ』はそう否定する。これは、徳エネルギーフィールドの見せた幻だ。そう己に言い聞かせ、意識を保つ。 功徳が記憶を蓄えるならば、徳エネルギーフィールドによる功徳の解放は記憶の解放だ。
2016-05-18 21:53:55それは……記憶を暴き、自我を丸裸にする『攻撃』に他ならない。だが、過去とは己の形を成す一部でもある。己が、己の一部を否定するならば、待っているのは只の泥沼だ。 実時間にして、僅か重数秒。その間に、彼の心は折れかけていた。徳エネルギーフィールド中和器のスイッチを握る手が、緩む。
2016-05-18 21:58:05その手を、誰かが支えた。 「……『マロ』さん、大丈夫?どうしたの?」 振り返るとそこには、何も知らぬ少女が居た。 「……ああ、そうでおじゃった」 過去がどうあろうとも。今成すべきことに、変わりはないのだ。この肩にあるのは、己の生だけではない。
2016-05-18 22:04:07「……麿は、『マロ』でおじゃるよ」 「あれ……?」 ヤオは、『マロ』の言葉に首を傾げる。 「どうしたでおじゃるか?」 「いつもなら、『マロ』じゃないって」 「ああ……あれは、もういいでおじゃるよ」 彼は、笑ってそう返す。今は、それでいい。いや、それがいいのだ。
2016-05-18 22:08:14