- tasobussharima1
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まさか69話はロックンロールが弱点な半魚人やゾンビや金星人と戦う話で来年のエイプリルフールに公開されるのでは……? #徳パンク
2016-04-12 21:01:28ロボット牛の引く牛車に揺られながら、ヤオと白塗りの男は屋敷を目指す。 「今日も、パイプラインは無事だったよ」 「そうでおじゃるか。パイプラインさえ無事ならば、この里はしばらくは平和でおじゃるよ」 牛車の御簾越しに見える屋敷の敷地には、広大な枯山水庭園が広がっている。
2016-04-12 21:04:03わざわざ牛車なのかw ほんとにこだわるなぁ。実はその生活スタイルと不死性に何か関連があったりするんだろうか(想像もつかないけど #徳パンク
2016-04-12 21:06:41枯山水は、ある種の功徳のバロメータだ。抽象的な庭園は禅の思想を表現し、内的世界を色濃く反映する。 ならば……衛星軌道からすら視認可能な庭園を擁するこの男は、どれ程の徳を積んできたというのか。 「潮の香りがするでおじゃるな」 「ごめんなさい、シャワーちゃんと浴びる暇がなかったから」
2016-04-12 21:08:03「いや、これはこれで……風流でおじゃる」 「マロさんの言うことは、時々わからないです」 「何度も言うでおじゃるが、麿の名前はマロじゃないでおじゃる」 ヤオと、彼女が『マロさん』と呼ぶ白塗りの男。 男が少女に道を尋ねた。そこから始まった奇妙な関係は、数年を経た今もまだ続いている。
2016-04-12 21:12:05両親や友達を徳カリプスによって亡くし、塞ぎ込んでいたあの娘は、華やかな笑顔を取り戻した。そして……『マロ』。嘗ての異端の徳エネルギー技術者は、この地に文明を取り戻した。 「……ねぇ、マロさん」 「おじゃ?」 「マロさんは昔、偉い学者さんだったんでしょう?」 ヤオは、マロに尋ねる。
2016-04-12 21:16:03「……昔の、話でおじゃる」 マロはそう言って、目を細めた。遥かな過去を思い返すかのように。 「なのに、どうして今はこんなところに居るの?」 「身体が付いて行かなくなったからでおじゃるよ……研究者も、結局は体力勝負でおじゃるからな。中には、身体を機械で改造する者までおじゃった」
2016-04-12 21:20:02これまでも、幾度か交わした会話だ。その度にマロの口にする理由は違っていた。だが、マロは知っている。少女の目が、言外に訴えていることを。 徳カリプス。連鎖的強制解脱現象。徳エネルギーの暴走事故。そのプロセスには、発生から14年が経過した現在ですら謎が多い。
2016-04-12 21:24:02