140ssログ6月

Twitterで書いてた雑多ssのログです。刀です。男同士です。
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やまたに @mw_snc

夏とは暑いものだねぇ。初めての夏に髭切が呟く。そうだな、腕の中で弟が同意した。刀の身では昨今温度管理をされているものだから余計に堪える、と。しかたのないひとたちですね。今剣は廊下から肩を竦める。はなれれば、ちょっとはすずしいですよ。返事は沈黙だ。(髭膝)

2016-06-24 06:56:14
やまたに @mw_snc

ほらほら、どいておくれ。寝転がる大太刀を爪先でつつく。最近は暑いばかりでへばっているのだ。青江、暑いよ。僕に言ってもどうしようもないよ。情けない、思っていると遠くから足音がして、気付けば彼は座っていて。だから、甘やかしてしまうのだ。だらしない姿を見せるのは僕だけだから。(石かり)

2016-06-24 07:01:34
やまたに @mw_snc

からん、足元で氷が揺れる。盥に足をつける宗三はほうと息を吐いた。これだけでも涼しいものだ。とん、と爪先に触れるのは薬研のそれで。戯れに濡れた足先で脛をなぞれば、こら、と怒られて。駄目ですか。まだ昼だ。僕は遊んでいるだけですのに。悔しがる顔は、夜に覚えてろと書いてあった。(薬宗)

2016-06-24 07:16:12
やまたに @mw_snc

暑い、と距離を取る。触れたい、と近付いてくる。暑い。触らせて。暑い。うん、ごめんね。背丈のある腕の中は暑くて仕方がない。光忠、暑い。うん、もうちょっと。嫌ならちゃんと逃げて、とこの男はずるいことを言うのだ。最初からこちらは、暑いとしか言ってないのを見透かして。(みつくりみつ)

2016-06-24 07:22:03
やまたに @mw_snc

かわいい。髭切が呟く。お前は可愛いね。見た目より柔らかな髪をかき混ぜると、不服そうな顔をして。俺は犬ではないぞ。尖らせた唇すら可愛くて、可愛くて。お前の全部を食べてしまいたいくらい可愛いね。言えば差し出される体が、ああもう、可愛い。やっぱり食べるのは勿体ないや。(髭膝)

2016-06-25 17:53:16
やまたに @mw_snc

君が好きだって言うから、青江は目を細めた。すっぽり納まってしまう腕の中は、元大太刀としては悔しくて、脇差としては心地いい。好きだよ。降り注ぐ声はどこまでも優しくて、駄目だなぁ、と思う。言われる度に、人の真似事が、人そのものに近くなっていく。でも、嫌じゃない。(石かり)

2016-06-25 22:54:55

本能寺

やまたに @mw_snc

やげん、掠れた声で呼ぶ。やげん、焦げた腕を伸ばした。その腕が力つきる前に握られる。ここにいる。同じように焼けた喉で優しい声がしたから、宗三はおぼろげな視界で声の方へと微笑んだ。あなたとなら、怖くない。その言葉に、彼はいつもより随分と優しい手つきで髪を撫でた。(薬宗+)

2016-06-02 06:55:01
やまたに @mw_snc

@mw_snc 傍らに物言わぬ短刀がある。その横に今にも消えそうな打刀がたったひとりの名を呼び続けていた。どうしよう。どうしたら。行光は悩んで、悩む時間はないと差し出された手を取った。あんたの目が見えなくなってよかった。俺の声が焼けてよかった。せめて幸せな夢を、どうか。(薬宗+)

2016-06-02 07:00:36
やまたに @mw_snc

酒盛りするぞ、と言い出したのは長谷部だった。いいから飲め。食え。押し付けられた優しさに、宗三と薬研は顔を見合わせて笑う。こんな日に飲んだって、そう呟いた行光の口には焼酎を押し込んで。いつまでお付き合いいただけるんです。宗三の問いに長谷部は答える。夜がすっかり明けきるまで。(織田)

2016-06-02 07:11:53
やまたに @mw_snc

夜が明けるまで手を握って。そんな願いは容易いと、薬研は布団の中でその手を取った。暖かい手だ。言うと、薬研が冷たいのだと返されるのだけど。怖いか。あなたがここにいてくだされば。願いは甘く、それでいて必死で。ああ、いるさ。夜が明けてもここにいる。彼はようやく目を閉じた。(薬宗)

2016-06-02 07:17:04
やまたに @mw_snc

@mw_snc 歴史修正者が暴れてる限りは、大将が必要としてくれる限りは、ここにいる。愛しいひとの手を包む幼い手は、あの日のように消えていない。

2016-06-02 07:19:28

恋いと呼ぶには

やまたに @mw_snc

恋と呼ぶには、と石切丸はその髪を掬う。毛先に口付けるとびくりと震える肩。泳ぐ視線と赤い頬を誤魔化して平静を装おうとしているのをわかっていて、もう一度。なにしてるんだい。そう強がるそぶりすら胸をざわつかせることを彼は知らない。この思いは、恋と呼ぶには狂暴だった。(石かり)

2016-06-06 18:08:59
やまたに @mw_snc

恋と呼ぶには、と青江は目を伏せた。先程まで視界を占めていたのは、一振りの御神刀。自分のかつての刀種、大太刀。羨ましいんだ。憧れてるんだ。普段の自分を出せないほど、その手に触れることすらできないほど。隣にいられるだけで幸せなほど。この思いは、恋と呼ぶには幼かった。(石かり)

2016-06-06 18:03:59
やまたに @mw_snc

恋と呼ぶには、と薬研は乾いた笑い声をあげた。薄い体の背中から腹に回した腕は、抱きつく、抱き締める、すがりつく、どれが近いのだろうと思いながら。宗三、好きだ。その言葉で地獄の底まで縛り付ける。好きだ、好きだ、傍にいてくれ、離さない。この思いは、恋と呼ぶには身勝手だった。(薬宗)

2016-06-06 20:03:42
やまたに @mw_snc

恋と呼ぶには、と宗三は膝で眠る薬研の頬を撫でる。唇に親指を当てると吐息が触れる。ほうっとすると同時に、どうせなら自分だけのいる前で呼吸が止まればいいのに、なんて物騒なことを思った。首元に這わせそうになる手を、なんとか甘い誘いを、回避して。この思いは、恋と呼ぶには苦かった。(薬宗)

2016-06-08 09:35:17
やまたに @mw_snc

恋と呼ぶには、と三日月はその手を取った。次は唇で触れてもよいか。許可が出るまで待っていると、こくりと小さく頷くから、ではと手の甲に触れる。宝物のように恭しく。俺にこうさせるなんてお前くらいだ。矜持もなにも投げ捨てさせて。この思いは、恋と呼ぶには余裕がなかった。(じじしし)

2016-06-08 09:46:58
やまたに @mw_snc

恋と呼ぶには、と髭切は隣を見る。半歩後ろは弟の定位置だ。視線にすぐ、どうした兄者と尋ねる弟を引き寄せて口を吸う。弟は抵抗しない。なんなら、触れるだけで離せば物足りなさそうに舌が覗くから、次は深く絡ませて、ふたり気持ちよくなって。この思いは、恋と呼ぶには単純だった。(髭膝)

2016-06-08 09:57:55
やまたに @mw_snc

恋と呼ぶには、と膝丸は褥で悩む。我儘を聞かせて。我慢しないで。痛かったら言うんだよ。どんな苦痛もその優しさだけで充分なのに、兄はただ頷くだけのようで嫌だと言う。それは従順なだけだと言う。果たしてそれだけか、境目が俺にもわからないのだ。この思いは、恋と呼ぶには難解すぎた。(髭膝)

2016-06-08 20:16:06
やまたに @mw_snc

恋と呼ぶには、と倶利伽羅は視線を逸らす。誰かと笑うあの男を見たくないと。そのくせ、こちらに来ると逃げたくなるのだから馬鹿らしい。ずっと傍にいて、あの時に言えればよかったのか。ずっとが存在すると思った頃に、約束すれば。この思いは、恋と呼ぶには遅かった。(みつくりみつ)

2016-06-08 20:36:33
やまたに @mw_snc

恋と呼ぶには、と光忠は布団に突っ伏した。君が笑えば、それだけで心臓はどきどきして。君が泣けば慌てて。君が怪我すれば息が止まって。君が頬を染めればむらむらして。君にどこまで振り回されてしまうのか、自分でもわからないのに。けど、嫌じゃない。この思いは、恋と呼ぶには格好悪かった。

2016-06-08 20:54:19
やまたに @mw_snc

@mw_snc (みつくりみつ)っていれ忘れた

2016-06-08 20:54:37

のろいをかけられた

やまたに @mw_snc

山谷の青江がかけられたのは、魚になる呪いです。 思い出話で呪いが解けます。 山谷の青江に呪いをかけた本人だけが呪いを解くことが出来ますが、その人は呪いを解かない方がいいと思っています。 #のろいをかけられた shindanmaker.com/628920

2016-06-17 15:43:24