【美味しかった】初めてイタドリを知った東京の人間が実物を手に入れて食べるまで

見知らぬ山菜に出会った興奮
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このまとめを見て「イタドリ」という山菜の存在を知った。

イタドリはタデ科の植物。山の中や土手などさまざまな場所に生えており、繁殖力も高いためイギリスでは侵略的外来種として認定されているいっぽう、日本の高知県ではこれをパクパクと食べているという話だ。

一体どんな山菜なのか。イタドリを食べて初見感想を述べてみようと思う。

高知県民(1名)に聞く

タデといえば「蓼食う虫も好き好き」ということわざがあるが、高知県民にとってはソウルフードとも言われるほどの存在だという。本当なのか?話盛ってない?

Togetterには高知県出身のスタッフがいるので、イタドリについて聞いてみた。

本当に高知県民はイタドリが好きなのか?

特別好き!という感じではないし、年齢層高い人(おじいちゃんおばあちゃん)が好むもの、という印象です。ちょいちょい食卓に出てきて普通に食べてました。

スーパーで売ってるそうだけど、いくらで売ってる?

価格はわからないですが、そんなに高いものではないはずです(※)

※高知のあるスーパーでは一束6〜7本が80円前後で売られている模様。

好きなイタドリの食べ方はある?

「炒め煮」でしか食べたことないです!

サンプル数1の意見と感想ではあるが「高知県民のソウルフード」という話は大げさではなさそうだ。

だが、私の知る限り、東京のスーパーマーケットで売られているのを見たことがない(売られているスーパーがあったら教えて欲しい)。東京住まいの家庭でイタドリが上がることはかなり少ないのではないだろうか。そこで東京にいながら、できるだけ手っ取り早くイタドリを手に入れて食べる方法を考えてみた。

東京都民がイタドリを食べる方法
1・イタドリ本体を買って調理する
2・加工品を買う
3・イタドリを出す飲食店に行って食べる

川辺に行くと無限に生えているらしいが、多摩川土手あたりで引っこ抜いてくるのはさすがにいろいろな面で考えもの。手に入れるなら、やはり販売されているものを買うのがベストだろうと思った。

まずは味を知りたい

手に入れる方法はわかったので、とにかくイタドリを食べてみないことには何とも言えない。そこでイタドリの味の「正解」を知りたいと思い、銀座にある高知県のアンテナショップ「まるごと高知」に向かった。だが、もしここでイタドリが「個人的に苦手」と判明したら、この企画は終了だーー。

高知ならではの食材が集まっているなか、イタドリの醤油漬けとイタドリ入りのラー油を発見。買っておいた。

「山の辣油」580円、イタドリ漬は450円

ちょうど昼時だったので、アンテナショップに併設されているレストラン「TOSA DINING おきゃく」に行くことにした。高知といえばカツオ。せっかくなのでカツオのたたきもイタドリも食べられるメニューをチョイス。

カツオのたたきや鳥の唐揚げもあるセット。お値段は夏目漱石2枚分

これが「イタドリ」か…はじめまして…

左がイタドリの煮物。油揚げと一緒に煮てある

食べてみると、タケノコのちょっと柔らかいようなコリコリした食感…いわば薄切りのメンマか?こういうコリコリ食感嫌いじゃない。嫌いじゃないぞ。企画続行決定。

フリマアプリで大量のイタドリを買う

イタドリの味がわかったので、手に入れて自分で調理してみようと思ったが、残念ながらアンテナショップではイタドリそのものは入手できず。そこで、皆さんご存知の某フリマアプリを頼ることにした。

思ってた以上に出品されていた

イタドリ出品者の発送元を見ると、青森、新潟、和歌山、福井、そして高知とさまざまな地域から出品されていた。相場としては500gあたり700円前後といったところか。イタドリそのものだけでなく、ところどころ「塩漬け」を販売している出品者も。なんで塩漬けなんだろう。この答えはすぐ後で判明する。

私が購入した出品者は購入通知が入った時点で収穫してくれるとのこと。注文から2日程度で到着した。

収穫したてのイタドリ。余分な葉などはカットしてくれていた
直径2cm近くある

実際に触れてみると、アスパラみたいな姿の極太なフキ、といった雰囲気だ。

イタドリにはシュウ酸が多く含まれるため、食べるにはアク抜きが必須だ。このままかじってみたら、何とも言えない酸っぱさが後から湧き上がってきてたまらなかった。

アク抜きの方法はいろいろあるようだが、今回やってみた工程は次の通り。

1・皮を剥く

2・湯がく

3・水に晒す

まずは皮むき。赤い筋が入った部分が皮だ。緑色の茎が現れるまで、これを端からピリピリと剥いていく。バナナの皮を剥くような要領だ。

少し温めると、バナナの皮のようにスイスイめくれる

皮むき作業を続けていたら、力を入れすぎたのか指を痛めてしまった。ピーラーも使ってみたが、中の茎の部分まで切れて、茎が細くなってしまうのでやめた。

この作業、マジで面倒。子どもが親の手伝いでやらされてそう。あまりに大変なので「塩漬けを買えばよかった…」という気持ちになった。イタドリは塩漬けにすると長期保存が可能なのだという。塩漬けが売られている理由はやはりそこにニーズがあるからなのである。

さて、皮を剥き終え、湯がいてみた。青々としたイタドリの茎の色がみるみる変わっていく。


ここで失態。湯がいた時間が長すぎたようで、イタドリがドロドロと柔らかくなってしまった。あっという間だった。湯がく際、お湯にはサッとくぐらせる程度でいいらしい。ドロっとしてしまったものはジャムにすることにして、残しておいた他のイタドリでやり直し。

皮をむいて湯がいたあと、一晩水にさらしたものを、醤油炒めや豚肉炒めにしてみた。味付けはシンプルに、醤油と酒、みりんくらいしか使っていない。

なぜそんなシンプルな調理になったのかというと、「イタドリ レシピ」と検索してみたら、きんぴらや肉炒め、おかか和え、おひたしがほとんどだったのだ。要するに、あまり凝った味付けは合わないのかもしれない。

というわけで出来たのがこちら。


炒めてもコリコリとした食感は保たれたまま。油との相性がめちゃくちゃいいので、油揚げや豚肉と炒めて大正解だ。購入したトータル800gほどのイタドリがあっという間に消費されてしまった。

穂先は片栗粉をまぶして軽く揚げてみた。これも香ばしくて美味しかった。

湯がきすぎてドロっとさせてしまったものはジャムに。作り方はコトコトと煮詰めて、きび砂糖とレモン汁を足していくだけ。味はさっぱりしていて、まったく青臭くない。個人的にジャムの甘ったるさが苦手なのだが、これは食べられた。

瓶は煮沸消毒してから使ってます

アンテナショップで買ってきた「イタドリ漬」と「山の辣油」も実食。イタドリ漬は自分で作ったものより味がやや濃いが、食感も失われず。「山の辣油」はちょっと辛いので、ラー油好きな人ならおすすめ。

結論

日本中のあちこちでたくさん生えているのであれば、どんどん採って食べたほうがいいんじゃないだろうか。

アク抜きさえすればクセもなくコリコリとした食感が楽しめるので、メンマ的なものが嫌いでなければ多くの人に好かれる食材だと思う。

追記:上記の初回の調理を行ったあと2回、追加購入した。