看板職人が車の「自家用」表示を手書きする動画が美しい 希少な技術にかける想いを聞いた

手書きでこれほど緻密な字を書けるとは…!
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最近ではすっかり珍しくなった自動車の「自家用」表示。それを看板職人が手書きで仕上げる動画が、X(Twitter)で話題を呼んでいる。

自動車に筆が入る瞬間から始まる

看板屋を営むサインズシュウ(@signsshu)さんが投稿した動画には、自動車のボディにサインズシュウさんがフリーハンドで「自家用」の文字を一文字ずつ書いていく様子が映っている。

一筆目。「自」の縦線から書いていく
フリーハンドとは思えない正確さ
「手で書いた文字」と言われても信じられる気がしない

迷いのない筆運びで浮かび上がる文字は、とても手書きで書いたとは思えないほどぴしっと整っている。まさに職人芸だ。

動画を見た人からは「無言で見入った」「フリーハンドでこの出来はさすが」「手書きは味があって良い」など、技巧に圧倒されるコメントが寄せられた。

サインズシュウさんは、今ではめっきり少なくなった「看板手書き職人」として、さまざまな依頼を手掛けている。今回の依頼内容や手書き看板についてお話を聞いてみた。

依頼主は県外から自動車で駆け付けた

香川県の方から「自家用」表示の依頼を受けた時の感想を教えてください。

自分の愛車にペンキで文字を書いてもらう行為は、かなりの覚悟がいることです。

しかも、昔は表示義務で仕方なく表記していたものを、レトロなものが好きという理由で「書いてください」と依頼していただいたのです。

シールでも済ませられる物を、わざわざ香川県から自動車で駆け付けてくれた事に感動しました。文字書き職人として、これ以上嬉しいことはありません。

私自身、遠出をして、文字を書きながらいろいろな場所を周りたいという願望があります。

実際に文字を書く際の流れを教えてください。

仕事の種類によって方法は違いますが、今回の場合は以前から存在する表記の再現ですので、ネットで古い「自家用」表記の画像をいろいろ見ました。

それにもとづいて、頭に浮かぶ文字を自分なりに表現しました。

手書き看板職人として日頃から心掛けていることはありますか?

「数年書かなければ腕も筆もダメになる」と考えていますので、常に書ける環境を作っています。今なら、ほぼ毎日X(Twitter)で書かなければいけない状況やいつでも筆と塗料を使える環境を作っています。

職人としてどんな鍛練をされていたのでしょうか?

修行時代には「看板屋の書く文字を見るよりも、新聞活字を見て勉強するように」と言われていました。

腕は少しずつしか上達しないですが、見る目は手っ取り早く上達します。目さえ鍛えられれば、あとは自分の手で出力できるよう、長年努力を続ければ良いのです。

手書き看板の魅力を教えてください。

決して画一的ではない文字が並ぶ街は意外と落ち着くものであり、楽しいものです。

完成図を先に見せてその通りに作る作業が当たり前になった世の中ですが、一度は思い切って手書きの専門家に任せてみてください。割と面白い物が出来上がってくるかもしれませんよ。

サインズシュウさんは手書き看板を盛り上げるべく、自身のX(Twitter)アカウントHPを通して積極的な広報活動を続けている。手描き文字に魅了された方は、ぜひ覗いてみては。

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書いた人
ハチミツ

副業WEBライター。Twitterで初見実況ばかりやってます。