「高学歴アイドル」のビームを学位記で防ぐ!話題の旧帝大卒アイドル「学歴の暴力」ライブに行ってきた
こんにちは、愛知県出身ライターの米田梅子です。専門卒です。
高学歴なアイドルたちがライブ中に「学歴ビーム」を放ち、高学歴なファンは自身の「学位記」を盾に防ぐ…。
そんな尖ったパフォ―マンスで注目を集めているアイドルグループがある。その名もずばり、「学歴の暴力」だ。
メンバーは、なつぴ なつ(東京大学 工学部卒)さん、あろえ あろ(京都大学 文学部卒 )さん、あずき あず (名古屋大学 情報文化学部卒)さん、りりり かり(九州大学 工学部卒 )さんの4名。
ユニット名の通り全員が旧帝大出身の超高学歴という、偏差値つよつよアイドルだ。
彼女たちは平日は各々社会人として働き、休日は名古屋・東京を拠点にアイドル活動を行うセルフプロデュースユニットとして活動している。
学歴の暴力の元メンバーであり、グループ立ち上げの発起人でもある、えもり えも(@emofairystar1)さんが「学歴ビーム」のパフォーマンスについてX(Twitter)に投稿すると、「楽しそうで何より」「なにそれすごい好き (なお、私の学位記は貫かれる)」「低学歴だと防ぎきれないな」といった反応とともに拡散された。
何から何までいろんな意味で気になるポイント満載の「学歴の暴力」。結成に至った経緯が気になったので、詳しくお話を聞いてみた。
あわせて、2023年8月に東京の会場にて行われたライブにも参加し、生身で「学歴ビーム」を受けてきたのでライブレポートもお届けする。
魅力は「高学歴に裏打ちされたメンバーの面白さ」
「学歴の暴力」結成の経緯を教えてください
初期メンバーの京大卒のえもり えも(@emofairystar1)が東大卒のなつぴ なつ(@natsupikkk)に、X(Twitter)のDMで「私と一緒に、『学歴の暴力』というアイドルをやりませんか?」と誘ったことがきっかけで生まれました。
2人は元々フォローフォロワーの関係だったのですが、当日なつぴが病んだ投稿をしており、それを見たえもりが「なにか気晴らしに楽しい活動が出来たらいいな」と思い誘った流れです。
東大・京大卒という2人のステータスを活かした活動をしたいと思い「学歴の暴力」と名付けました。
その後、新メンバーを迎えるにあたっても当初のコンセプトを守りたく、メンバーの条件として「学歴フィルターあり。旧帝大卒の女子求む。」と明記し募集したため、旧帝大卒のメンバーで構成されることになりました。
【学歴の暴力 プロフィール更新】 東大・京大・名大・九大の旧帝国大学卒メンバーのみで構成されたセルフプロデュースアイドルユニット「学歴の暴力」です! 推してください! https://t.co/QUeoaGlPSq
— 学歴の暴力 (@violenceofgkrk) 2023年8月15日
アイドル活動に「学歴、学力」が活きているなと実感する瞬間は?
直接的に学歴・学力が活きているというよりは、「勉強で培った思考力が活きているな」と感じることが多いです。
例えば、私たちはセルフプロデュースで活動しているのですが、特に仕事の分担などはしていません。各々が自分の得意分野を活かしつつ、カバーし合いながら運営業務を行っています。これはメンバー全員が、「ゴールまでに何をしなければならないのか」という物事の組み立てができているからこそできることだと考えています。
また直接的に学歴が役に立つのは、やはりアイドルとして注目してもらえる点だと思っています。
今までアイドルに興味がなかったというお客様にもライブに足を運んでもらえることが多く、「学歴」が「アイドル」の世界を身近に感じてもらえる要素となっているのかなと考えています。
アイドルとして、特に注目して欲しいポイントや魅力を教えてください
高学歴であることに裏打ちされる「メンバーの面白さ」が魅力だと思います。
どのメンバーも語彙力や言語センスがあるため、日常生活や好きなことを発信するX(Twitter)も面白いですし、メンバーが作詞してパフォーマンスをするオリジナル曲でのライブも個性が出ていて楽しいです。「学歴マウントをとるが、好きな人は結局かわいい私文女子に夢中」といったストーリーや「フーリエ展開※できないくせして邪魔をするな」という歌詞があったりと、オリジナル楽曲の内容も特徴的です。
もちろんライブでのMCのエピソードトークなども興味深く、リアルでもオンラインでも楽しめるアイドルだと思います。
※フーリエ展開…数学の三角関数に関する専門用語みたいだが、ググっても筆者には全く理解できなかったので詳しく知りたい人は己の知力で調べてみて欲しい
「学歴の暴力」ならではのライブの楽しみ方を知りたいです!
メンバーによる「学歴ビーム」とファンと一緒に行う「旧帝MIX(※)」が、「学歴の暴力」ならではのものかなと思います。
「学歴ビーム」は『学歴の暴力』という曲の中で「学歴の暴力くらえ~!」といいながらメンバーが発するビームです。「学歴ビーム」を防御するため、ファンが学位記を盾として掲げることもあります。「旧帝MIX」は独自のコールで、旧七帝大学の大学名を順にコールする慣例があります。高学歴をモチーフとした歌詞と、それに呼応するお客様のコール&レスポンスや一体感が、「学歴の暴力」のライブの見どころです。
※MIX:前奏や間奏でファンが入れる掛け声のこと。
アイドルとしての今後の目標や新たな展望について
学歴の暴力は、「メンバー全員が高学歴であることをコンセプトとしたアイドルユニット」であるだけでなく、「高学歴女子の救済の場」でもありたいという思いがあります。
学歴があることで「もっと世の中のためになることをしろ」と求められることがあります。
しかし、高学歴だからと言って自分のやりたいことをやっていけないわけではない、と思います。高学歴女子がアイドル活動をすることによって、世の中の高学歴女子に「もっと自由にやりたいことをやっていいんだ」という勇気を与えることができたらと思います。
また、旧帝大7大学出身のメンバーをそろえて「最大出力の学歴ビーム」を出してみたいです。7大学出身者がそろうことで、それぞれの大学の雰囲気がわかったり、面白い企画ができると考えています。
今後もライブパフォーマンスだけでなく、「学歴の暴力」ならではのコンテンツ(過去にはショートコント・プレゼンなども実施)を増やしていきたいと思います。
誕生の経緯や明確なコンセプトの裏にある思いを知り、実際のライブに参加するのがますます楽しみになってきた。高学歴な皆さんがステージ上でいったいどんなパフォーマンスを見せるのか!
1曲目から盛り上がり急上昇「旧帝大MIX」
さっそく、8月6日に新宿のライブハウスで行われた『最高アイドルフェスティバル』にお邪魔してきた。
会場には続々とファンが集い、パフォーマンス前からすでにバッグの端から学位記と思われるアイテムも見えたりして、ライブへの高まりが伝わってくる。
そわそわしながら待っていると、合唱曲「仰げば尊し」のBGMが会場内に流れ始めた。言われなくても分かる、ステージが始まる合図だ!
最初の曲は、旧七帝大をかわいく紹介する『令和大学合戦』だ。前奏が始まってすぐ、ファンの皆さんからのコール「旧帝大MIX」がさく裂する!
叫んでいるのは大学名なのに、掛け声としてしっかり成立しているのがおもしろい。ユニットのコンセプトに沿ったオリジナルのコールで、より一体感を持って盛り上がれるという訳ですな。
突如始まる高学歴コント
大盛り上がりのパフォーマンスが終わり、MCタイムが始まるか、と思いきや、なつぴ なつさんが一言
「ショートコント、飛行機」
と言い放った。ショートコント!?このタイミングで!?
すると、メンバーのりりり かりさんとあろえ あろさんが「うっ、おなかが痛い…」とお腹を抱えてうずくまった。なつぴ なつさんが、すかさず
「大変だ!この中にお医者様はいらっしゃいませんか~?」
と観客席に向かって呼びかける。もちろん、都合よくお医者さんなどいるはずもない(※実は正確には何人か手を挙げていたのだが、いなかったことにする)。
医療従事者以外で彼女たちの体調不良を治すことができる人がいるとすれば誰だろうか。そう、高学歴の人間である。
「では、この中に旧帝大出身者はいませんか~!?」
「冷静に考えても考えなくても急病人救助と学歴との間に直接的な因果関係はないのでは」というツッコミは野暮というもの。高学歴な彼女たちが高学歴な人を探すというマウント要素満載のコントだが、いっそここまで開き直って学歴を振りかざされると清々しい!
ファンの皆さんも「待ってました!」と言わんばかりの盛り上がりである。
コントのあとは流れるようにトークコーナーへ。テーマは「高校時代の夏休みの過ごし方」。
みんなもちろん勉強漬け...かと思いきや、バイトや部活や趣味に没頭していたメンバーもいたりと、それぞれのバラエティ豊かな休みの過ごし方をしていたことが分かった。
普段(個人的には)あまり聞く機会のない高学歴な人たちの会話そのものも興味深いが、話し方やしぐさから、一人ひとりのキャラクターを感じてぐっときた。メンバーの人となりが分かる時間もパフォーマンスに含まれている点もまた、「学歴の暴力の魅力」と言えよう。
ついに放たれる「学歴ビーム」
お待ちかねの「学歴ビーム」が放たれる曲は、ユニット名と同じタイトル『学歴の暴力』。
曲が始まる前に、「学歴ビーム」とファンの皆に求めるリアクションについて説明があった。説明を受けて、いそいそと各自準備を始めるファンたち。この時間もちょっとシュールだ。
そもそも「学歴ビーム」とは
彼女らの「高学歴パワー」を濃縮したもの(という設定)
だそう。
楽曲『学歴の暴力』は、高学歴の人が、片想いしている相手が、自分ではなく「私文女子」にときめいている様にもやもやしつつも、恋心を抱き続ける一途な想いをつづったラブソングである。(すごい設定だ)
「学歴ビーム」は、そんなアオハルな曲が一番盛り上がるタイミングで放たれる。
歌詞の切なさと「ビーム」の組み合わせが気になるところだが、取材班としてはこの日のメインディッシュともいえるパフォーマンス。ばっちり撮影してきたのでご覧いただきたい。
学歴の暴力くらえ〜(学歴ビーム!)
メンバーたちが笑顔いっぱいに放つ「学歴ビーム」!そして、思い思いの形で対応するファンの後ろ姿!
盾の種類、構え方、倒れ方といったリアクションがみんなそれぞれ違っていておもしろい。学位記を掲げて盛り上がる人たちなんて、大学の卒業式くらいだと思っていた。
「この光景を見たいがために後方にポジションをとる人もいるんだろうな〜」と思える光景だった。
こうして、学歴と熱気に包まれたパフォーマンスは美しく幕を閉じた。あぁ素晴らしかった。
ライブ終演後にメンバーの皆さんに話をうかがったところ、「学歴ビーム」は間奏中の場をつなぐパフォーマンスとして生まれたそうだ。しかし、「ビームを学位記で防ぐ」ムーブはファンが自発的に始めたものだそうで、なつぴ なつさんいわく
「私たちとしては学歴ビームを防がれたら困るんだけどな、と思いつつ(笑)『学歴の暴力』らしいファンとの掛け合いだなと思って受け入れています」
とのこと。
パフォーマンスだけでなく、ファンとの交流の形もまた「高学歴アイドル」の世界観にぴったりで素敵だ。
公式サイトで予習&楽しみ方をマスター!
ファンも協力してステージを盛り上げている空気があり、気がつけば自分も応援したくなる不思議な空間だった。
筆者はアイドルのライブ自体初めての参加だったが、「学歴の暴力」のステージは、慣れていない観客も置いてけぼりにならないように細かな気配りがされていると感じた。
ステージ上での「学歴ビーム」の事前説明含むパフォーマンスの先導はもちろん、公式サイトやYouTubeチャンネルではライブの楽しみ方から、「旧帝大MIX」「学歴ビーム」を含むコールについても詳しい案内があり、心配性の初心者にもやさしい。
これからライブに参戦する方は必ず予習をしていこう。盾の用意も忘れずに!