無人販売店のラーメンが「家で食べるおいしいラーメン」の選択肢になると「日本ラーメン科学研究所」の試食会でわかった
「家でおいしいラーメンを食べたい」と思った時、皆さんはどうしてるだろうか?
近年はカップ麺やインスタントだけでなく、チルドラーメンや専門店の冷凍タイプなど、いろいろな選択肢が増えてきた。
そうした状況で、新たな選択肢として注目されているのが「日本ラーメン科学研究所」という無人販売店だ。

「日本ラーメン科学研究所」は「餃子の雪松」の運営会社が手掛けているサービスで、無人販売店や自動販売機で展開中。
2022年11月25日の第1号店を開業して以来、2023年8月末時点で全国に468店舗をオープン。残す都道府県は沖縄のみと、爆速で店舗を拡大中だ。
しかし、本当の勝負は商品となるラーメンの味。今回、運営会社による「日本ラーメン科学研究所」の試食会に参加したので、その様子をレポートしたい。
コンセプトは「家庭でおいしいラーメンを手早く食べられる」
今回のラーメン試食会は、「日本ラーメン科学研究所」のラーメンを「実際に参加者がつくる」スタイル。
「日本ラーメン科学研究所」のラーメンの味を知ってもらいたいという目的もあって、参加者たちの前にコンロが置かれた状態で、まずは商品企画の説明からスタートした。
1人目の登壇者は「日本ラーメン科学研究所」を運営する株式会社YESで、マーケティング部部長を務める高野内謙伍さん。

ラーメンの開発コンセプトを要約すると、「自宅でおいしいラーメンを、しかも手早く簡単に作って食べられる」ことがポイントだそう。
たしかにカップ麺やインスタントはおいしいが、いわゆる専門店のラーメンとは別ジャンルと言えなくもない。
また、最近は専門店のラーメンを冷凍して家庭向けに販売するサービスもあるが、解凍などの調理に少し手間がかかるし、専門店と同価格帯なところがネック。
「日本ラーメン科学研究所」のラーメンは、ちょうどその中間あたりの需要に目を付けた商品と言えそうだ。
6種類の小麦粉を配合した麺
続いて、「日本一の穀物取扱量」を誇る昭和産業株式会社で麺・パスタの研究を行う黒川健二さんが、麺の開発秘話を教えてくれた。
家庭で麺を茹でる時、「たっぷりのお湯で茹でる」「湯切りをする」ことがおいしく作るセオリーと言われ、麺類商品にもそのような作り方の記載が多い。

しかし「日本ラーメン科学研究所」では、「少量のお湯で茹でる」「湯切りをしない」という真逆のコンセプトで、おいしい本格的な麺の開発が行われたそうだ。
湯量やスープの塩分による浸透圧、小麦粉に含まれるタンパク質の量など、科学的なデータに基づいて開発を続け、最終的には6種類の小麦粉を配合。さらに熟成することで、コンセプトに合った麺にたどり着いたとか。

鶏・豚・あさりのトリプルスープ
最後に気になるのは、やはりスープ。開発を担当したアリアケジャパン株式会社の石渡裕二さんによる、スープ開発秘話が披露された。
アリアケジャパンは畜産系天然調味料のリーディングカンパニー。アリアケジャパンは業務用商品をメインに展開しているが、身近な例で言うとセブン-イレブンの「金のビーフシチュー」の開発などを手掛けている。

スープも麺と同じく、従来のセオリーを覆した商品開発が行われた模様。
市販のラーメンスープは「常温保存」「高濃縮の小袋スープ」「低コスト」が一般的なところ、今回は「冷凍保存」「3倍希釈」「従来の3~5倍のコスト投入」というコンセプトで開発している。
たとえば醤油ラーメンなら、鶏・豚の動物系のWスープに、約40種類の醤油の中から試作を30回以上繰り返し、最終的に濃厚醤油・淡口醤油・たまり醤油・生醤油の4種類を配合。
しかしそれでもOKが出ず、コストをかけてあさりを加えることで、バランスの取れたトリプルスープに仕上げたそうだ。

いざ実食(の前に調理)
開発に関わった方々のお話をうかがった後で、いよいよ調理することに。
といっても、作り方はいたって簡単で、鍋ひとつで手早く作ることができる。インスタントラーメンの作り方とほぼ同じだ。
①スープを沸騰させる
スープに水(360ml)を加え、沸騰。②スープで麺をゆでる
麺を投入し、30秒動かさずに待つ。その後はほぐして、中火でゆでれば完成。※醤油は3分、豚骨は2分、味噌は4分30秒
今回つくるラーメンは具材セットのタイプで、焼豚・玉子・海苔・メンマ・胡椒がついて2食1,000円(税込)。これまでは具なしで3食1,000円(税込)だったが、順に移行していく模様だ。

さっそく調理を開始しよう。まずは小鍋に水360mlとスープを入れて火にかける。
スープの油もおいしさを決める大切な要素なので、できれば「残さず入れたほうが良い」とのこと。

水の量が少ないこともあって、スープはすぐに沸騰してきた。
次に入れるのは麺だが、ここで1つだけポイント。「麺を鍋に入れたら30秒間はほぐさずそのままにしてください」とのこと。無理やりほぐそうとして麺が千切れるのを防ぐ目的があるのかもしれない。
醤油ラーメンの場合、麺の茹で時間はトータルで3分間。30秒経つと自然と麺がほぐれてくるので、箸で少しまぜるだけで十分だ。


3分経って麺が茹で上がったら、どんぶりに注いで具をのせて…完成!! ものすごく簡単に作ることができた。

こちらで用意したのはネギだけ。それ以外の具材はすべて商品に含まれているのだから非常にありがたい。玉子が半熟タイプと「わかってる」感があって、とても好感が持てる。
今度こそ実食!
さて、実食してみよう。
結論から言うと、とてもおいしかった。正直、調理がカンタンすぎるので半信半疑だったが、想像以上に本格的な味わいで驚いたくらいだ。

麺はストレートな中太タイプで、つるりとなめらかな喉越し。麺をスープで茹でているので、一口目からスープとよくマッチしている。
撮影に手間取って麺が少しのびてしまいコシを感じる余裕まではなかったが、もっと手早く調理すれば、さらにおいしく味わえるだろう。
次にスープだが、醤油がしっかりと立っている。だしも負けじと主張している分、見た目以上に濃厚な味わいだ。小鍋で調理している時は「量が少ないのでは?」と思っていたが、いざ実食してみるとしっかりと満足感があった。
トッピングも充実。焼豚が3枚も入っていて食べごたえがある。2食1,000円なら「家庭でおいしいラーメンを食べたい」という需要に応える、十分な選択肢になるのではないだろうか。
豚骨ラーメンも実食(2杯目)
試食会ではもう1食、豚骨ラーメンも実食することができた。

醤油ラーメンを完食した直後だったので胃袋はもう限界だったが、醤油ラーメンとはまったくテイストが違い、こちらも魅力的だった。スープはマイルドで甘みを感じる味わいで、醤油ラーメンより細い麺がよく合う(調理時間も2分と短い)。
あと、醤油も豚骨もどちらの商品にも言えることだが、スープが最後までめちゃくちゃ熱い。実はスープの熱さはおいしさに関係する要素だそうで、油の量などを調整して70℃を超える熱いスープを維持しているようだ。

試食会では醤油と豚骨の2種類のみを試食したが、実際の店舗では「味噌」と「魚介だし醤油」を加えた全4種類をラインナップしている。いずれも2食1,000円(税込)なので、いろいろと食べ比べても面白そうだ。
こうして試食会は終了。「日本ラーメン科学研究所」の販売店は今後さらに拡大していく予定なので、近くにオープンしたらぜひ一度試してもらいたい。