「3000年に一度の桃」「孫悟空も食べた」京都のお寺にお供えされた伝説の桃・蟠桃(ばんとう)とは?

形からして珍しそう…!
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京都府宇治市にある黄檗山萬福寺※(@manpukuji_X)にお供えされた「伝説の桃」がX(Twitter)で話題だ。

※おうばくさん まんぷくじ。1661年に中国の僧・隠元(いんげん)が建立した黄檗宗の本山。

風格すら漂うフォルム

桃の名前は「蟠桃(ばんとう)」という。萬福寺のX(Twitter)アカウントが投稿した写真を見てみると、一般的な桃と比べて平べったく、上から押しつぶしたような形がなんとも独特だ。

蟠桃は中国の神話を筆頭に、さまざまな伝承とともに語られる果物でもある。「3000年に一度だけ実が成る」「食べた人は不老長寿になる」といった言い伝えのほか、『西遊記』の孫悟空が食したエピソードもあり、逸話にこと欠かない。まさに伝説の桃なのだ。

ちなみに現代では世界中で広く食べられているが、日本国内では希少な品種とのこと。

蟠桃をいただいてテンションが上がっているようだ

蟠桃をお供えされた萬福寺の方々は、その喜びをアカウントに投稿。不老長寿の言い伝えになぞらえた「後継者問題も解決」というメッセージや、僧侶の方の楽しそうな姿につい和んでしまう。

伝説の桃・蟠桃を見たユーザーからは「赤ちゃんのおしり思い出した」「不思議な桃」など、蟠桃の珍しさに驚くコメントが寄せられた。「イギリスでよく見るFlat peachでは?」といった蟠桃の目撃証言も。

今回は萬福寺の方から、蟠桃がお供えされた経緯や気になる味わいについてお話を聞いてみた。

ありがたいご縁を感じました

蟠桃をお供えにいただいた時の感想を教えてください。

蟠桃をお供えいただいたのは今回が初めてです。

当初、送り主様に寺の僧侶が誰も心当たりがなく、ありがたい気持ちと少しの困惑がありました。以前ご来山された方からだとわかったのは、蟠桃をお供えいただいてから2日後でした。

送り主の方をご案内させていただいた当時、「珍しい桃があるそうですよ」と説明させていただきました。ですが、実際に珍しい桃を送っていただけるとは思ってもいませんでした。本当にありがたいご縁を感じます。

蟠桃はお寺の方たちで召し上がったのでしょうか? 味や香りはいかがでしたか?

蟠桃は送り主の方のご希望もあり、萬福寺の布袋様(弥勒菩薩)にお供えし、その後は僧侶や事務員のみんなで分けておいしく頂戴しました。想像していたよりも硬めの食感でした。

萬福寺様にも桃にまつわるものがあるのでしょうか?

桃にまつわるさまざまな言い伝えの一つに魔除けの意味があります。本堂にある「桃扉(ももど)※」は、萬福寺の特徴のひとつです。

※桃の意匠を施した門扉。

お寺の桃扉と蟠桃のツーショット

中国に源流を持つ黄檗山萬福寺が、中国の伝説に名高い蟠桃をお供えされる。この数奇な巡り合わせこそ、回答者が語った「縁」なのだろう。

日本でとても貴重な蟠桃と出会う縁に恵まれた際は、ぜひとも味わってみたいものだ。

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