漫画家の安達智さんが「古いおかもち」を落札したら、中に戦後の新聞が!時代を感じる中身に注目

銀行にギャングが押し入っていた頃の話
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ネットオークションで落札した古物の中に昭和時代の新聞が入っていたという投稿が、X(Twitter)の投稿が話題だ。

おかもち
おかもちの中に入っていた新聞

今回「おかもち」を手に入れたのは、漫画家の安達智(@Sato_adachi)さん。出前なんかでおなじみの「おかもち」は金属製のイメージが強いが、こちらは年季の入った木製。蓋をあけると、中には昭和22年(1947年)発行の朝日新聞がそのまま入っていたという。

おかもち
「都道府県ごとの鯨肉の配給量」が書かれている記事

そこには「鯨肉 特別列車で全家庭へ配給」「銀行へギャングが強盗に入った」など、当時の日本の様子が垣間見える記事が目白押し。昭和22年といえば終戦の2年後なので、この頃はまだまだ戦後の立て直しの真っ最中だったのだろう。

新聞を見た安達さんも「食糧難だし水不足だし銀行はギャングに襲われるし大変そうだ」とコメントしている。

おかもち
時代を感じるほっこりエピソードも
おかもち
時代を感じる広告にもご注目

投稿を見たユーザーからは「蔵にあったとかなんかな…」「すごいな、鯨肉列車なんてのを仕立てて運転したのか」など、新聞の内容に興味を示すコメントが寄せられている。

安達さんにおかもちを入手した理由や新聞の感想など、詳しく話を聞いた。

江戸時代の飢饉をテーマにした個展で使おうと

おかもちを落札した理由を教えてください

別名義で活動している「丁寧な暮らしをする餓鬼(@gaki_teinei)」の個展を岩手で予定しており、おかもちはその展示用に購入したものでした。

「江戸時代の飢饉」をテーマに炊き出しの様子を紹介しようと考えていたので、まさかおかもちが戦後食糧難下の配給の記事が載った新聞を令和に運んでくれるとは、何かの縁を感じてしまいました。

せっかくなので、新聞の表も裏も手に取って読んでもらえるよう、アクリル板で挟んで展示しようと思うので、ぜひ見ていただきたいです。個展の日程はまだ未定ですが(笑)。

昭和22年の新聞の中で印象に残った記事はありましたか?

やはり、戦後食糧危機の時代なだけあってパンや米など配給の記事が多く、腹を満たすことに人々の関心が集まっていたのだなと思いました。

特に印象に残ったのは、捕鯨の記事です。「多度津丸」が捕まえた1万トンの鯨は鯨肉列車で全国に運ばれ、滋賀県に関しては全家庭に配給されてたくさんの困っている人を救ったということで、誉れ高いことだったと思います。

ちなみに、安達さんは「おかもち」を始め、他にも数多くの古物を集めている。そのほかの収集物についてもお話を聞いてみた。

さまざまな古物を集めておられますが、収集のきっかけは?

江戸後期を題材にした『あおのたつき』という遊郭漫画を制作していまして、その作品資料として集め始めました。入手する古物の年代はバラバラです。

おかもち
amazon.co.jpより

入手した古物の中で良かったもの、困ったものなど教えてください。

気に入っているのは制作途中で廃棄になった「能子」と呼んでいる能面です。未完成のものだからか、自分色に染められるようで愛着があります。

未着色で下地のみ、ブルベ夏です。使用されてないので憑き物もなさそうなのが良いところです。

おかもち
未完成の能面を被って一息。思わず二度見しちゃう見た目

一番困ったものは、もともと玄関に飾っていた「牛鬼頭」という置物です。ある授賞式で被るため購入したのですが、式の最中に脱ぐタイミングがわからず、結局長時間被ったままになってしまいました。

来賓の方の話を聞く時も滝汗を流しながら過ごし、大変重かったので頚椎(けいつい)ヘルニアになりそうでした。

おかもち
インパクト大の「牛鬼頭」

人を惹きつける古物ばかりが集まった、安達さんのコレクション。長らく日の目を見なかった約80年前の新聞も、「おかもち」とともに個展来場者の関心を集めそうだ

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