「将来ウェディングドレスを作らせて」幼なじみ3人との約束を果たしたドレス制作者に話を聞いた

人生の大切な日を託せる友情が素敵
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3人の幼なじみに「将来ウェディングドレスを作る」と約束し、無事に3人の結婚式を自作ドレスで見届けたという報告がドラマチックだとX(Twitter)で話題になっている。

2019年6月、自作ウェディングドレスを着た幼なじみ1人目
2020年3月、幼なじみ2人目
2023年12月、幼なじみ3人目

投稿したひなたたんぽぽ(@prosperity4444)さんは中学生の頃、幼なじみ3人に「将来あなたたち3人の結婚式には私のドレスを着てくれ! そのために勉強する!」と宣言。その後、服飾専門の高校・専門学校へと進み、2023年12月に3人目の幼なじみの結婚式に自作ドレスを作ったことで、無事3人全員のウェディングドレス制作の夢を完遂したそうだ。

投稿された3組のウェディングフォトには、ひなたたんぽぽさんが作ったドレスを着た幼なじみとその旦那様が写っている。ケープをあしらったり遊び心のあるレースを使ったりと、それぞれ個性の光るドレスを見に纏った美しい姿は、制作者のひなたたんぽぽさんにとって待ち望んだものだったことだろう。

ひなたたんぽぽさんの偉業や4人の友情を深く感じられるエピソードに、Xユーザーからは「こんな素敵な友人を持てて皆さん幸せすぎる」と祝福する声や、「仲良しだからこそ作れた一点物という感じがして最高です」「三者三様のデザインのドレス、ほんっっとうに素敵です」とドレスを絶賛するコメントが集まった。

見事約束を果たしたひなたたんぽぽさんに、夢を叶えるまでのストーリーを聞いた。

「ホントにそんなに大切なものを私に託して良いの!?」

勉強し幼なじみのドレスを作ろうと決意した経緯を教えてください。

服飾に関わらず“作る”ことが好きで、物心つく前から将来の夢は「ものづくりをする人」でした。

高校から専門的な内容を勉強する人は少なく、親からも一般的な学校に行くことを勧められました。しかし私が勉強の合間に隠れて作っていたアニメのキャラクターを再現したぬいぐるみを見た母が、「そんなに好きなら行ったら?」と背中を押してくれました。

幼なじみ3人に伝えたのは、おそらく進路など将来の話や夢の話をしていた時ではないかと思います。夢をバカにしたり笑ったりしないメンバーだったからこそ、やりたい事をやりたいと伝えられたように思います。

大切な1着である事は分かっていましたし「断られるかな」くらいに思っていたのですが、みんな目をキラキラさせて「作って!」と言ってもらえたのですごく嬉しかったし、改めて頑張らなくてはと決意を固められました。

服飾の学校に通い3人目のドレスを作るまで、どのような気持ちでしたか?

高校も専門も死ぬほど忙しかったですが、新しい知識が増えていくことがただただ楽しくて仕方なかったです。

学校に行くだけでも2時間近くかかり、あまり仲が良くなかった父には「そのうち中退するって言い出すだろうからそんな遠いとこやめろ」なんて最後まで嫌味を言われましたが、私は負けん気が強いかわいくない性格だったので、高校・専門とトータルで2回遅刻しただけで通いきれました。

ドレスに関しては、私はずっと心にその約束がありましたが3人は忘れているだろうくらいに思っていました。

1人目の幼なじみから結婚報告と一緒に「ドレスを作って欲しい」とLINEをもらった時は、「ホントにそんなに大切なものを私に託して良いの!?」という気持ちが強かったのですが、こんなチャンスを逃すのは今までの私の努力にも失礼だと思い、二つ返事で「作る」と送りました。

その子に続いて2人も同じように作らせてくれたのは、関係性も大きかったと思います。

今はレンタルで素敵なドレスがたくさんありますし、その中から旦那さんと悩む…という楽しみをなくしてしまうので、プレッシャーは大きいです。友達フィルターで友人は満足するかもしれませんが、旦那さんやそのご家族も納得するものをと心掛けました。

3人のドレス作りでこだわった点や大変だった点は?

それぞれデザインを決める際には本人に希望を聞くのですが、最初の子は本当にすべてお任せでした。

正直昔から「3人ともこんなのが似合うだろうな」と空想が絶えなかったので、体のコンプレックスだけを質問し、そこから自分が思うその子に対しての1番のデザインを提案しました。

1人目の幼なじみは身長が高く、手足が長いモデルのような子だったので長袖のドレスを提案したのですが、最近ではあまり見ないデザインだったため「抵抗があるかな?」と思ったのですが気に入ってもらえました。

1人目のドレス。長袖・スタンドカラーと、あまり見ないデザイン

2人目はすごく身長が低く、普段から靴や服選びに苦労している子でした。

バストトップからウエストの距離があまりにも狭いうえ、体が細かったのでトルソーボディに着せることもできなかったのが大変でした。

デザインは1番珍しいものになってしまい、硬派な彼女はケープや花冠を嫌がるのでは? とおそるおそるの提案だったのですが、なんだかんだで当初のデザイン通りにさせてもらったような気がします。

2人目のドレス。ケープ型の襟も花冠もロマンティックな雰囲気

3人目ですが、最初はマーメイドラインのドレスの予定で進めていました。型紙もほぼ完成という段階で「やっぱりマーメイドラインは自信がないかも…」とのことで急遽デザインを変更しました。

もちろん大変ではあったのですが、本人が気に入るものが1番ですし、完成したドレスを見た時に「あ、〇〇ちゃんぽいな」と思いました。あの時正直に「違う!」って言ってくれて本当に良かったです。これも関係性ならではですね。

3人目のドレス。デザイン変更が功を奏した美しいロングトレーン

高校生で専門的な分野に進む決断をし、見事夢を叶えたうえで、3人の幼なじみにそれぞれ似合うドレスを制作したひなたたんぽぽさん。

そこに至るまでの長い年月の苦労や4人の絆の強さを想像するだけで、目頭が熱くなるようなエピソードだった。

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