見知らぬ誰かとキャッチボールするオンラインゲームに「切ない」「懐かしい」との声続出…制作者に話を聞いた

胸がやさしく絞めつけられる
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「名前も知らないプレイヤー同士でひたすらキャッチボールをする」

そんな一風変わったコンセプトのオンラインゲームに「懐かしい」「切ない」と感動する人がX(Twitter)で続出している。

『play a catch?』のスタート画面。河川敷で座り込むキャラが寂しげ
河川敷でキャッチボールをするゲーム。キャラも背景も簡素な印象だ

話題となっているゲームは『play a catch?』。オンラインでマッチングしたプレイヤーと、河川敷でキャッチボールを楽しむというもの。すいでん(@suidensuiden)さんとたっけさん(@Takkesan_Game)が共同で開発したフリーゲームだ。

プレイヤーが2人マッチングすればキャッチボールの始まり

明確なストーリーはなく、棒人間のようなキャラがキャッチボールをするだけという、シンプル極まりない本作。

まず最初に「play」をクリックするとプレイ画面に切り替わり、ほどなくしてキャッチボールの相手がやってくる。マッチングは完全にランダムで、ユーザー名も表示されない。

左の人が強く投げすぎた白球をダッシュで捕ろうとする右の人

無言でマウスを動かしボールを投げるのだが、慣れないうちはなかなかうまくいかない。だが、不思議とイライラすることはなく、それどころかグラフィックやBGMが醸しだすゆったりとした雰囲気に癒され、次第に相手と奇妙な連帯感を覚えるようになるのだ。

うまく捕れたら「ビックリ!」のエモートが。言葉は交わせなくてもコミュニケーションはできるのだ

チャット機能がないかわり、エモート機能はあるのである程度の思いは伝えられる。さらに、飛んだり跳ねたりするボディランゲージでも気持ちは伝えられそうだが、直接的な言葉を交わせない不便さすらも愛おしくなってくる。

この画面の直後、お相手が「Exit」を押したのかゲームが終わった。しばらく寂しかった…

画面上の「Exit」をクリックすればゲームは終了。名前も知らないキャッチボール相手とは、もう二度と会うことはない。ほんの数分前まで存在すら知らなかった人との別れがとても切なくなる、不思議なゲームだ。

実際に遊んだXユーザーからは「とにかく最高だった」「ノスタルジックで心の琴線に触れる雰囲気作りとかもよくてジーンとした」「すごいエモかった」など、切なさや懐かしさに感動した声が多く寄せられている。

今回は制作者のひとり、すいでんさんから『play a catch?』に込めた思いなどを聞いてみた。

「知らない誰かとの交流」を大切にしたかった

『play a catch?』制作のきっかけを教えてください。

1週間でゲームを作るイベント「unity1week」に参加する際、共同制作者のたっけさんに「一緒に作りましょう」と声をかけられたのがきっかけです。

「1週間で作れてオンラインでできるゲーム」と考えたときに、自然と「キャッチボール」というアイデアが降りてきました。

結局イベントでの提出は遅れてしまい、実際には一カ月くらい制作していました。

見知らぬ相手とキャッチボールで交流するゲームにした理由をお聞かせください。

まず交流に重きを置き、自分が幼い頃にプレイしていたオンラインゲームのように「世界の誰かと繋がってる感覚」みたいなのが生まれれば良いと考えていました。

「知らない誰かとの交流」というコンセプトを強めるため、ログイン機能やプレイヤー名を表示するのをやめてみました。相手を知らないからこそ、意図を汲みとれた時に「相手を理解できた」という喜びが大きくなるんじゃないかな、と漠然と考えたんです。

そして、これは完成後に気づいたのですが、キャッチボールはコミュニケーションツールとしてとても優れているんです。いろいろな作品でキャッチボールが登場人物の心を繋げる役割を果たしている理由がわかった気がします。

「切なくて懐かしい」「センチメンタルになれる」という感想はどう思いましたか?

このゲームにおける「切なくて懐かしい」という感想には2種類あると思っています。

1つは、子どものころに友達と遊んだ思い出です。誰しも、今はもう会わなくなってしまった友達と一緒に遊んだ思い出があると思います。それはキャッチボールでなくてもサッカーでもゲームでも同じではないでしょうか。

2つ目は、昔のインターネットの思い出だと思います。自分が「FLASH倉庫(※)」のブラウザゲームを遊んでいたころ、眠れない夜にこっそりパソコンを点けてネットに接続すると、同じように眠れない人たちがインターネット上にいました。知り合いではないんだけど、その人達と繋がっているような感覚があったんです。

同じ時間にネット上の同じ場所にいるだけで、気持ちを共有できてるかのように感じました。自分のゲームでそんな感覚が誰かに少しでも伝われば、と思っていましたし、雰囲気や音楽もあのころのFLASHゲームを意識して作りました。

そういったノスタルジーも、誰かに伝わったんじゃないかなと思います。

(※)2000年前半ごろに流行したFlashゲームをまとめたホームページの通称。

影響を受けたFLASHゲームへの思いについてもお聞かせください。

今回、自分が参考にしたFLASHゲームを作っていた方のホームページを久しぶりに訪れると、すでになくなっていました。

あのゲームはもう二度とプレイできませんが、そういったゲームに影響を受けた自分のゲームがその雰囲気を少しでも誰かに共有できていれば嬉しいなと思います。

『play a catch?』のオープニングのワンシーン

知らない人と繫がりを感じられるフリーゲーム『play a catch?』。遊べば遊ぶほど懐かしく、体験することでやさしい気持ちになれるゲームだった。

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ハチミツ

副業WEBライター。Twitterで初見実況ばかりやってます。