動画に収められた過去の自分は、今の自分と異なる意思を持つ別な生命体であるのかどうかについて

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生命情報保存研究所 @rodan670

ある人間を包む空間で流れた30分間は そのまま録画すれば当然30分の情報に収まり その映像を再生し、認識するにはやはり30分かかる 二次元の画面上に収められたことを除けば、その場で過ぎた時間が丸ごと 転移できているのである

2016-07-15 07:09:26
生命情報保存研究所 @rodan670

その30分間からなる別時空に、10年前の自分のを閉じ込めてしまえばどうなるだろうか 画面の奥底に息づいているのは紛れもない10年前の自分自身である 画面の外から10年後の自分はさまざまな感慨とともに過去の自分を見つめているが

2016-07-15 07:13:15
生命情報保存研究所 @rodan670

もう一人の自分はそのような未来からの視線の存在を知る由もないまま 当時の自己の意思コードにより操られ その当時なすすべきであったことを行い 動画が再生される限り行い続けているのである

2016-07-15 07:14:16
生命情報保存研究所 @rodan670

動画という新たなる次元を得たことにより過去の自分は 我々が日々失い続けざるをえない時間とは独立した 制限のないタイムテーブルを生き続けることとなる 動画プレイヤーという水槽の中を泳ぐその意思を持った生命体の運動を眺める見るにつけ

2016-07-15 07:23:30
生命情報保存研究所 @rodan670

過ぎし固有の時間区分と一体化し、身にまとった自分自身がそこに固定できていることを我々は認めるであろう だが、真に過去の己を保存しきれた明言するためには これだけでは足りない

2016-07-15 07:25:04
生命情報保存研究所 @rodan670

問題の映像を見ている瞬間 人間は過去の時間を保存できたという安堵とともに 言いようのない孤独と不安とに駆られるだろう

2016-07-16 05:58:29
生命情報保存研究所 @rodan670

昔の自分が当時のままの姿で時間ごと保存されていようと その存在と今の自分の思考の内容に連続性がなければ 動画の中にいるのは自分ではない別な何者なのではないかという、潜在的な恐怖である

2016-07-16 06:00:57
生命情報保存研究所 @rodan670

いくら同じ人間であるからとはいえ 時間的に大きく隔たったイニシエの自分がその具体的な日時に 何を考えていたか詳細に覚えているということはないだろう 人間の内面は常に移り変わるものであり 同時に我々は過去の心のあり方を現在からの視点で勝手な編集にかけてしまう

2016-07-16 06:03:37
生命情報保存研究所 @rodan670

ゆえに人の外観のみを保存できるに過ぎない 映像という材料だけでは当時の自己の心中、人格を復元することは不可能で 真の思考を読み取る事ができないそいつは 確かに見慣れた自分の顔をしていて 懐かしき場所に収まっていようと どこか自分とは異なる 分離した別個体のように感じられてしまう

2016-07-16 06:08:04
生命情報保存研究所 @rodan670

動画の中であくまでそいつは、そいつ自身の意思を持って行動している(あるいはそう見える)だけに余計にその危惧は強くなる そのようなイニシエの「自分」を見て心中に沸き起こるのは 長い時を越えてめぐり合えた己の片割れに寄せるには不釣合いな どうしようもない疎外感である

2016-07-16 06:11:56