今の自分は未来の自分と同一人物だと思い込む希望的観測をどれだけ持てるかが人間の寿命を左右するかもしれないということ

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生命情報保存研究所 @rodan670

人の思考や人格は睡眠に落ちた際に一旦消失する。夢という形で明日覚醒した際の自分とゆるく連結することもあるが、夢の中の自分は本来の自分と比べるとひどくぼやけかつ薄い外形と内容しか持ち合わせておらず、また人間は睡眠中のすべての時間において夢を見ているわけでもなく

2017-10-08 18:24:56
生命情報保存研究所 @rodan670

さらに事故で脳震盪を起こしたりした場合には人間の意識は一時的に無になるため、やはり人はその生涯において完全なる内面の連続性を約束された存在ではないといえる。にもかかわらず、眠りに落ちる前の人間が、これから意識という意味での自分自身が一旦この世から消えうせることを特に恐れないのは

2017-10-08 18:28:04
生命情報保存研究所 @rodan670

目が覚めたとき記憶をたどる事で容易に昨日の自分と連続することができ、この経験則を元に睡眠が自らの意識を完全に消失せしめるものではないという事を理解している為である。しかし、もし目覚めた後の自分の意識が、脳という装置に形成された神経回路と、残存する記憶をもとに再構築されたものであり

2017-10-08 18:35:57
生命情報保存研究所 @rodan670

昨日存在していた自分の意識は、眠りに落ちた際に消失していたと仮定するならば、昨日の自分はそこで死んでいたということになる。今の自分は、眠りや事故でそれが途絶する時死んでしまうのかもしれない。目が覚めたとき生きているのは今の自分とは別な自分であるのかもしれない。

2017-10-08 18:40:03
生命情報保存研究所 @rodan670

今日の自分は記憶をたどり昨日の自分と連続することで、自分は間違いなく生まれてから一貫して行き続けるたった一人の自分だと「納得」することができる。しかし今日の自分は明日の自分が自分と接続した存在であると断言することができない。

2017-10-08 18:44:21
生命情報保存研究所 @rodan670

明日の自分がまだ実在していない以上、それがいったいどんな奴であるかすら定かではないためである。そこで今日の自分は明日の自分も結局のところ今日の自分と接続した存在であるのだろうと、茫洋とした希望的観測を抱くことでこの問題を解決している。

2017-10-08 18:47:06
生命情報保存研究所 @rodan670

睡眠するごとに死ぬと思えば、人は恐怖のあまり眠ることもままならなくなってしまうためである。また、仮に今日の自分が眠りに落ちる際に死ぬことになったとしても、自分の基本的思考回路と記憶が残っているのならば、ある意味それが自分の実像であり、これを地盤に再構築される明日の自分も

2017-10-08 18:51:15
生命情報保存研究所 @rodan670

やはり自分であるわけなのだから、人格、意識の時間的連続性はその生死を語る上で問題にならないとする考え方も生まれる。基本的思考回路と記憶こそが人間の本体であり、これをもとに今日の自分は希望的観測により、明日の自分は記憶から来る錯覚によりそれぞれ接続できたことになるのならば

2017-10-08 18:54:41
生命情報保存研究所 @rodan670

もし人間の思考と記憶とをPC上に保存できる技術が開発されたとき、人間の死や寿命に関する概念は大きく揺らいでくる。例えばある人間が生物学的に死ぬ際、その思考回路と記憶とを電子情報の形でPCに保存し、のちにアンドロイドに移植したとする。

2017-10-08 18:59:46
生命情報保存研究所 @rodan670

ここでアンドロイドには故人の思考回路と記憶とをベースとした人格が再構築され、その人格は記憶をたどり自分が故人と連続した存在であると錯覚する。なおかつ故人は死の直前において自身の人格がアンドロイド上に再構築されることを理解しており、その人格は今の自分と連続したものであるだろうと

2017-10-08 19:03:27
生命情報保存研究所 @rodan670

希望的観測を抱いているものとする。ここで、故人の生物学的死は、意識上においては一夜一夜の睡眠と大差のないものとなるだろうか?

2017-10-08 19:04:59
生命情報保存研究所 @rodan670

睡眠による意識分断と、生物学的死による意識の分断の両ケースにおける最大の差は、前者はあくまで人体という場において、最低限物質的な連結は保たれているのに対し、後者は人体→PC→アンドロイドと、物質上においても切り離されてしまっている点にある。

2017-10-08 19:13:25
生命情報保存研究所 @rodan670

よって後者における意識の連続性が、今度こそ本物のまやかしに過ぎず、故人は生物学的死の段階で完全に死亡しており、アンドロイド上に成立した意識はあくまで別人格であるとするならば、それは同時に独立した自我は独立した物体に依拠する存在であることを意味している。

2017-10-08 19:19:55
生命情報保存研究所 @rodan670

逆に人間の自我が物質的連続性に依拠することなく、情報に置換可能なものであった場合は、睡眠→覚醒と生物学的死→アンドロイドへの移植という二つの現象には、意識の連続性という観点から見た場合の本質的な差異はなくなる。

2017-10-08 19:25:37
生命情報保存研究所 @rodan670

そしてもし後者のほうが正しく、なおかつ人間の自我の保存、移植が日常化する社会が到来した場合には、生物学的死を迎える直前になった際の人間が、どこまで暢気に、己の生まれ変わりに関する希望的観測をもてるかどうかが、この思い込みを介した寿命の延長を成立させる上で重要な要素となってくる。

2017-10-08 19:29:50
生命情報保存研究所 @rodan670

この場合今の自分が間違いなく未来にも存在していると信じ、今の自分は間違いなく過去の自分と接続できていると信じる二つの思い込みをどこまで抱き続けられるかが、人間の寿命の長さを決定することとなる。

2017-10-08 19:58:09