フォビドゥンフォレスト・1話前半・2 登校~西条佐祐里

0
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「フォビドゥンフォレスト1話・英雄たちの遺産 全編まとめ」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1020459

2016-09-04 19:39:20
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「フォビドゥン・フォレスト:プロローグ」をトゥギャりました。 togetter.com/li/995539

2016-07-04 03:09:16
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

まとめを更新しました。「フォビドゥンフォレスト・1話前半 1 鳥姫神社の巫女」 togetter.com/li/996758

2016-09-04 19:42:45
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

前回までのあらすじ:田舎町・風科(かざしな)に住む男子高校生・片桐は幼馴染の神社の娘、北里瑠梨を迎えに行き、バスで学校へと向かった。毎朝4時半には彼女を起こしに行き、それぞれの日課を済ませてから再度合流して登校するのが二人の日課だった。

2016-07-18 01:51:38
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

校庭の脇を通って下駄箱の前に来ると、掃き掃除の音が聴こえた。生徒会長の二年生、西条佐佑里先輩だ。瑠梨と同じくらいの長さの黒髪は朝の光に透けてうっすら紫を帯びている。 「あ、おはようございます。瑠梨ちゃん。片桐くん」 「おはよう、さゆちゃん」 「おはようございます。会長」 1

2016-07-18 01:59:53
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

瑠梨は会長と幼馴染だ。お互い忙しい中、月に2・3回は一緒に出かけたり家に泊まったりする程度には仲が良い。一方、俺と会長は幼馴染とは言い難い。まともに顔見知りになったのはここ2・3年のことだ。会長の家は地元で有名だから俺は知っていたんだが、向こうも俺を知っていたのは意外だった。 2

2016-07-18 02:07:45
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「私もそろそろ引き継いでいきますから、 先に行ってて下さいね 」 掃除当番はもうちょいで来る。会長一人で今掃く必要もないんだが、皆が確実に使う下駄箱周りだけでもと、都合がつく日は毎朝掃除している。更に校庭を一通り見回りと点検もしているんだから結構大変な筈だ。 3

2016-07-18 02:10:24
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「今日は久浦と朝来は休みでしたね?」 「ええ、バイトと部活ですね」 「あと藤宮先輩はいつ戻るんでしたっけ?」 「そうだよね。週明けには戻るって聞いてたのに」 先輩は森の奥へ遠征中だ。半年ほど前から何度か出かけてたのは分かっていたが、行き先に気づいたのは最近のことだ。 4

2016-07-18 02:18:05
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「年末は忙しかった上に、雪も多かったですからねぇ。調査の遅れを取り戻す為に長居するって言ってたそうですよ」 無理はしないで欲しいんですけど、と口でいう代わりに先輩は顎に手を当て溜息を吐いた。同感だ。あの人なら大丈夫、とは思うが万一ということがある。俺達はそれを知っている。 5

2016-07-18 02:30:21
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

食料と水は多めに持ってったそうだが、そういうのは万一の遭難に備えて多く持つもんだ。いくらガイアと2人で1人分の食料で良いっつっても限度がある。藤宮先輩なら現地調達も出来るだろうが、あの森ではそれは最後の手段だ。なるべく森の奥では食料を取って食わねぇほうが良い。 6

2016-07-18 02:37:30
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「俺も今日レベル2まで入りますけど、ついでにちょっと見てきましょうか?」 「涼平がいるのは4辺りの筈ですから…片桐くんでも止めておいたほうが良いでしょうね。まあ大丈夫ですよ。ガイアちゃんもいますしね」 そう言って先輩は微笑んだが、万一への不安は拭いされていないように見えた。 7

2016-07-18 02:47:16
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「それで結局いつ戻るのかな?」 「もう2・3日…ですかね?木曜まで掛かるようなら隊を編成して首根っこを引っ掴みに行きましょう」 先輩は左手でぐっと握り拳を作り冗談めかして笑った。ただし本当に木曜まで掛かればその時は冗談じゃなくなっちまうだろう…死なねぇでくれ藤宮先輩。 8

2016-07-18 02:52:43
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「ところで片桐くん」 「なんです?」 「瑠梨ちゃんを見てなにか気づきませんでしたか?」 会長は瑠梨の方を向いてそう言った。 「何って…なんです?」 「ほら!先週までと違うところがあるじゃないですか!」 何故気付かないんですか、と言いたげに俺達を交互に見てくる。 9

2016-07-18 02:57:37
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「…もしかして髪を切ったってことですか?」 「あ、気付いてたんだね、はる君」 「気付いてたんなら言ってあげてください!女の子が髪を切ったんですよ?」 俺に掴み掛からんくらいの勢いで先輩が驚いてみせた。実際、箒を持ってなかったら俺の両肩に手を当てるくらいはしていただろう。 10

2016-07-18 03:02:42
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「いや切ったつっても1センチ位でしょう?」 そん位で反応すんのもどうかと思ったんだよなぁ…。 「いいえ!平均で約1・4センチです」 誤差の範囲じゃねぇですか、とは言わねぇけどよ先輩…。 「確かに1センチだけ切ってもらって、ちょっと足りないからもう5ミリ位ってお願いしたけど…」11

2016-07-18 03:07:44
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「きっと5ミリは行き過ぎだと片桐さんが判断してくれたんでしょうね」 髪の1ミリ。ドラ○エⅤで例えれば、男にとってはおお○ずみとおばけね○み程度の差だが、女にとってはナイトウ○プスとデ○スパークくらいの差があるもんだ。つまり男はともかく女にとっては結構な差ってことだ。 12

2016-07-18 03:12:44
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「いや分かりますよ。1センチだろうが1ミリだろうが髪は女の命だってのは。だからってそれくらいの長さで反応されても困りません?」 「いいえ、少なくとも好きな人には指摘して欲しいものなんです!ねぇ瑠梨ちゃん?」 「ちょ、ちょっとさゆちゃん…」 瑠梨が目を逸らした。 13

2016-07-18 03:16:24
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

「じゃあ佐祐里さんが反応したんだから良いじゃないですか」 「いや片桐くん。その理屈だと瑠梨ちゃんが私を好きなことに…いや私は好きですけど…」 会長が左手をハンカチで拭ってから瑠梨の髪に手を伸ばす。 「いや確かにさゆちゃんのことは大好きだけど、別にそういうのじゃ…」 14

2016-07-18 03:20:55
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

瑠梨も会長の髪に手を伸ばし返し、二人は頬を染めて見つめ合う。 「…あー…そういえば会長は今回は切らなかったんですね…?」 「え、ああ、まあ1・4センチですからね」 俺はわざと二人の雰囲気に水を差した。こんな人目に付きそうなところでこれ以上なんかあっても不味いからだ。 15

2016-07-18 03:24:49
フォビドゥンフォレスト@カクヨム投稿中 @fbd_forest

ちなみに今のやり取りは一見意味不明だが、瑠梨が髪を切るときには佐祐里さんも一緒に切って長さを揃えるようにしてるを知ってれば分かる。でもって瑠梨の方が伸びるのが早いんで、ちょっと切った程度なら佐祐里さんは切らねぇってことだ。ついでに言うと二人共俺の実家が切ってる。 16

2016-07-18 03:29:05