- Qed495Scarlet
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「ところで、お家はどちらの方なのでしょう?」「少し歩いたところで…裏道の方を通らなくてはいけないんです」「それは……大変ですねぇ」「ええ」 #シリアルキラー華
2016-08-01 03:06:23「――御嬢さんは巷の噂について、どう思いますか」「それは、例の通り魔…ですか?」「はい」「――私は、ああいった者は嫌いです」「嫌い…?」「憎い、とも」 #シリアルキラー華
2016-08-01 03:06:40「ふむ…どうやら、貴女は正義感のとても強い人のようですね。憎い、とまで断言するとは」「ああ、ごめんなさい。私ったら少々激しい言い方をしてしまいました…」「いやいや、皆もそう思っているでしょう。お気にすることはありません」 #シリアルキラー華
2016-08-01 03:06:47と、そこまで話したところで、気づけば二人は人気のない裏路地へと入ってきていた。午前二時過ぎ、通る者など、他には居ないし来ることも無いだろう場所に。 #シリアルキラー華
2016-08-01 03:14:05月を背に、片方の影が懐に手を伸ばす。その中はおそらく、鈍い光を放つ刃。目の前の育ちのよさそうな少女を無残な姿へと変えるための凶器だ。ああ、はやくズタズタにしたいと、いう気持ちを抑えゆっくりナイフを構える。 #シリアルキラー華
2016-08-01 03:20:38そうして、無防備な少女へとむき出しの狂気が振り下ろされ、ただの赤い肉塊へと変質し、殺人鬼は興奮し喜んで二撃、三撃を加えていく。 #シリアルキラー華
2016-08-01 03:26:00「な、なにが…」「その軟弱な物は、折らせていただきました」先ほどまで何も持っていなかったはずの少女。その手には、二本のナイフを組み合わせることによって形作られた一振りの鋏がある。それをもって、刃を切り飛ばしたのだ。 #シリアルキラー華
2016-08-01 03:37:35「な、なんなんだよ…! お前…!」何かを喚いているが、そんなことは華は気にせず鋏をふるう。ぱっと壁に紅が走り、続いて片腕が宙に舞った。「…ッッ!?」「喉を開きました。叫ばれると面倒なので。このままおとなしく死んでください」 #シリアルキラー華
2016-08-01 03:56:35五十鈴華は本来、丁寧に解体していくタイプの人間だ。しかしそれは自身の活動、表現の時の話。仕事の場合はさっさと終わらせることにしている特に今夜は同類にされて苛立っていることもあって急ごうと―― #シリアルキラー華
2016-08-01 04:00:07振り向けない。振り向きたくない。でも振り向かなくてはいけない。だって、知られたということは隠ぺいしなくてはいけなくて、口を封じなくてはいけなくて、でも、しかし、それでも、なんで、どうして…! #シリアルキラー華
2016-08-01 04:08:40五十鈴華は生まれて初めての経験に固まってしまう。『殺したくない』など彼女にとっては何よりも縁遠く、何よりも理解不能だった思考だったから。今この場がどういった状況下なのかも、失念してしまっていた。――そして、それが最大の間違いだったのだ。 #シリアルキラー華
2016-08-01 04:15:20「こ、これは、その――」「――! 華危ない!」直後に華が感じたのは、硬い地面と乾いた発砲音。そして横を見ると―― #シリアルキラー華
2016-08-01 04:25:21「しっかりしてください沙織さん! そんな、どうしてこんな…!」「新三郎、早くきて非常事態なの! 沙織さんが!」こうなっては仕事なんてどうだっていい、どうせ放っといても死ぬ。それよりも早く、早く沙織さんを! #シリアルキラー華
2016-08-01 04:36:30「お嬢いったい何が!?」「いいから沙織さんを医療施設へ! 弾はきれいに抜けてるから!!!」「は、はい!」 #シリアルキラー華
2016-08-01 04:45:25ここで、五十鈴華は徹夜による疲労の蓄積と精神的ショックにより一度途切れる。殺人鬼の生涯でもっとも劇的であろう夜は、こうして幕を閉じた。 #シリアルキラー華
2016-08-01 04:45:32