ラストバレット―Keep under―『序曲―Overture―』

22世紀後半。 選ばれた富裕層は自らの安全と権利を守るため『オーバー』と呼ばれる特区を形成。 それ以外の地区を『アンダー』と呼び、管理するようになる――。 続きを読む
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りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

よっしゃーーー!!ただ今より、自作『ラストバレット』最新話のツイッター投稿を開始致します。夜分遅くの時間となりますが、どうか暇潰し程度に流し見して頂ければ幸いです!

2016-08-09 21:57:33
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

『ラストバレット』はツイッター小説です。普段は@NJkatanaアカウントにて連載されておりますが、現在同作品がカクヨム漫画コンテストに挑戦中の関係上、宣伝もかね、作者アカウントにて全文投稿させて頂きます。

2016-08-09 21:58:59
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

また、現在までの既存の話は全てカクヨム上にて閲覧可能です。もしよければぜひぜひ、お気軽にご覧下さいませ!! kakuyomu.jp/works/11773540…

2016-08-09 22:00:16
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

それでは、約一時間弱の間、どうかごゆるりとお付き合い頂ければと思います。本日もラストバレットを宜しくお願い致します٩(๑•̀ω•́๑)۶

2016-08-09 22:01:02
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

ラストバレット―Keep under― 序曲 ―Overture― ――――――――――――――◆ pic.twitter.com/BatrvL1cwW

2016-08-09 22:03:14
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りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

――クロライナ陥落。 この絶望的な事実は瞬く間に全世界を駆け巡り、人類を震撼させた。   無理もない。オーバーがこの星の大空を行き来するようになって数十年。艦艇を構成する一区画がエネミーの攻撃で落下することはあっても、艦艇そのものが撃墜されることは一度たりとて無かったのだから。

2016-08-09 22:07:24
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

そして、そのニュースとほぼ同時。民間軍事企業GIGのCEOレヴィン・ランバートの元に、ある一報が届いていた――。 「わかった。すぐに手配してあげて」 GIG本社ビル。広々とした執務机の横で通信連絡を終えたレヴィンは、青白く輝くモニターを見つめ、静かに溜息をついた。

2016-08-09 22:09:49
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

彼が見つめるモニターには、S級3位のユウト・キサラギとそのオペレーター。アリス・リリエンソールのGIG脱退についての連絡が表示されている――。 「わかってるよ、ユウト――ようやく見つけたんだろ?」 そう呟くレヴィンの脳裏に、かつて過ごした故郷での日々が想起される。

2016-08-09 22:12:36
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

それはユウトやイエロ。そしてヨゾラと共に過ごした、遠い過去の記憶――。 「正直、戦争は避けたかったけど――」 席を立つレヴィン。彼が向かうのは、執務室横に掲げられた一挺の銃。レヴィンはその銃に手を伸ばし、呟く。 「僕を怒らせるとどうなるか、教えてあげるよ。ジェラルド――」

2016-08-09 22:14:51
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

今から百年前――。 まだ『国家』が絶大な権力と地位を維持し、世界に上も下もなかった頃。とある軍事実験によって生み出された一組の兄妹がいた――。

2016-08-09 22:16:19
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

――その兄妹のうち、兄には人類を超越した身体能力と反射神経が。そして妹には、当時発見段階だった特殊なエネルギーに干渉する能力が与えられていた。 奇跡とも呼ばれたこの兄妹の存在は、停滞していた人類の技術革新を、次の段階へと導く切り札として期待されていた――。

2016-08-09 22:18:30
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「が……二人は逃げた。そしてそのまま、二度と戻らなかった――」 見渡す限り全てが白一色の空間で、DDSの総帥ジェラルド・ディグニティが静かに言った。 「俺は、あの二人が最も望む場所へ辿り着いたのだと信じている。お前なら、例え全ての武器を失ったとしても、必ず妹を護り切るからだ」

2016-08-09 22:20:02
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

ジェラルドは言って、自身の喉元へと手を添える。禍々しく痛ましい。喉元に穿たれた、銃創へと――。 「――そして、そんなお前だからこそ、俺はこの衝動を抑えることができない」 笑みと共に発せられる声。その声は純白の空間に反響し、消えていく。 「楽しみだ。俺はまた、お前と戦える」

2016-08-09 22:22:18
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

橙色の明りが灯る廊下の奥。木製の扉の前に立つ黒髪の少年が、その扉をゆっくりとノックする。 「――アルト、さん?」 扉の向こうから聞こえる少女の声。アルトは少女に向かい、扉越しに優しく声をかけた。 「遅くにごめん。実は、また行かないといけなくなって――」

2016-08-09 22:26:55
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

静寂。返事はない。 アルトはやがて居たたまれなくなったのか辛そうな表情で踵を返すと、ドアから離れようとする。だが――。 「――帰ってくる?」 不意にかけられた、消えるような小さな声。その声にアルトははっとなって足を止め、顔を上げる。そして緩く開かれた掌を、固い拳へと握った。

2016-08-09 22:29:52
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「――約束する」 アルトはその瞳に涙を溜め、震える心から絞り出される声を必死に押さえつけながら答えた。 「お怪我、しないでね――」 「ありがとう」 心配そうな少女の――最愛の妹の声に後押しされるように、アルトは確かな足取りでその場から離れ、薄闇の中、溶けるように姿を消した。

2016-08-09 22:32:53
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「――ユウト、ラウールさんから。『失せ物を確認。回収されたし』」 星一つ無い漆黒の夜空。その中を音も無く飛翔するステルス飛行船。 先だって潜伏するラウールからの通信を確認したアリスは、念入りに装備の確認を行うユウトに声をかけた。 「わかった。後は任せて、退くように伝えて」

2016-08-09 22:36:52
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

――既に、二人はGIG所属の傭兵ではない。 イエロが遺した最後の言葉からDDSの暗躍を知ったユウトは、暫くしてGIGを脱退。アリスもそれに従った――。 全ては、DDSが主導しているというアークエネミーの生成を止めるため。そして、ユウトの妹であるヨゾラを救うため――。

2016-08-09 22:38:41
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

今二人が向かう場所は、DDSが所有する実験施設だ。 当然だが、GIG所属の傭兵がそんな場所に侵入しようものなら、両者の全面戦争に発展しかねない。ユウトが予めGIGを脱退したのは、そういった禍根を遺さないためでもあった。 「ラウールさんから最終連絡。『幸運を。死ぬなよ』って」

2016-08-09 22:41:32
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

「……ありがとう、ラウールさん」 ユウトはアリスから伝えられたその言葉に、静かに頷いた。 「嬉しいね――みんな、ユウトを助けてくれる」 「うん。今度は俺がしっかりしないと」 薄暗いコクピットの中。柔らかく微笑むアリスにユウトも笑みで応えた。 「――目標まで、後300秒」

2016-08-09 22:44:01
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

今、この飛行船に乗っているのは二人だけ――。 薄青い光に照らされたアリスの横顔。彼女の澄んだ瞳は、真っ直ぐに、装備の最終確認を行うユウトに向けられていた。 「どうかした?」 ユウトがアリスの視線に気づく。振り向いたユウトとアリスの視線が交わる――。 「――帰ってくる?」

2016-08-09 22:46:12
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

アリスはいつもと変わらない口調、変わらない抑揚、変わらない声色で、ただ一言、そう言った。 その瞬間。どこまでも深く、蒼いアリスの瞳には、ユウトだけが映っていた――。 「約束する」 それは、二人が出会ってから今まで、一度も交わしたことのないやりとり。 ――帰還の約束。

2016-08-09 22:48:35
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

ユウトは静かにアリスの肩を抱き、彼女の柔らかな頬と、自分の頬を重ね合わせた。 アリスは肩口に回されたユウトの腕にそっと手を添えて、その瞳を静かに閉じた――。 「行ってくる――」 「――待ってる」 二人には、それで十分だった。

2016-08-09 22:51:07
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

――この時、その場に集った全ての者達は、皆、例外なく心に火を灯していた。夜の闇を裂き、照らし、喰らい尽くす、凄絶な炎を――。 その炎がこの夜を境にし、全てを覆い尽くす事になるとも知らずに――。

2016-08-09 22:53:38
りゅーるー@ここのえ九太郎 @Fw009

ラストバレット―Keep under― 序曲 ―Overture―>>>End >>>to be next ――――――――――――――◆

2016-08-09 22:55:05