十五少年こばなし3

ヤマサミ @yamanami69

ウィ「こうして…ここを丸く切って、開くと…ホラできた！どうだ〜ウェッブ」 ウェ「ワ○ワ○さんかお前はうるせえな！黙って折れよ」 ウィ「他の色よこせよ。来月のパーティの飾りに使うわ」 ウェ「勝手に持っていけ。いちいち口を開くな」

ヤマサミ @yamanami69

ドニ「おや、ウィルにウェッブ、何をしているのだ？」 ウィ「折り紙だぜ！」 クロ「お、折り紙？変わってるね〜。ウィルにそんな趣味があったなんて知らなかった。女の子みた〜い」 ウィ「べ、別に趣味じゃねーよ！ウェッブの野郎が言うから仕方なく付き合ってやってんだ！」

ヤマサミ @yamanami69

クロ「いや、明らかにウィルが折ったやつの方が、ウェッブより量多いじゃん。机の上埋まってるよ？」 ウィ「えっ。あ！？俺いつの間にこんな量産してた！？ウッソマジで！？たまに自分が怖い！」 ドニ「フレンチデンを紙ゴミで埋める気か？君は」

ヤマサミ @yamanami69

アイ「わあい、プールだ！早く泳ごう、ジェンキンス！」 ジェ「ア、アイバースン、その…準備体操をちゃんとやった方がいいよ」 アイ「あっそうだね…。ｲﾁﾆ、ｲﾁﾆ」 ジェ「ｲﾁﾆ、ｲﾁﾆ」 アイ「ｺﾞｰﾛｸ、ｼﾁﾊﾁ」 ジェ「ｲﾁﾆ、ｲﾁﾆ」 アイ「いつまでやるの…？」

ヤマサミ @yamanami69

アイ「いっぱい準備体操したし、もう大丈夫だね」 ジェ「うん…」 アイ「じゃあジェンキンス、向こうまで競争しようよ」 ジェ「あ、うん」 アイ「よーい、ドン！」 ＼ﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬ／ アイ「プハー、着いた！ジェンキンスは…！あれ、ジェ、ジェンキンス？どこ？」

ヤマサミ @yamanami69

アイ「ジェンキンス！ジェンキンスー！う、うう…あ、サービス、じ、ジェンキンスを、み、見なかった…？」 サー「ああ、ジェンキンスならさっき、スタート地点で」 アイ「す、スタート…地点…で？」 サー「逆さまになって浮いてたからブリアンに救助されてたでござる」 アイ「ジェンキンスー！」

ヤマサミ @yamanami69

コス「僕ねー、ハンバーグチーズオムライスのおっきいやつ！」 ドー「食べすぎだよコスターったら！僕はね、トマトソースオムライスがいいな」 アイ「僕は、えっと…し、シチューオムライスかな…。ジェンキンスはどうする？」 ジェ「チョコソースオムライス生クリーム添え」 ドー「甘党こわすぎ」

ヤマサミ @yamanami69

ブリ「みんな、メニュー決まった？」 ドー「ブリアン〜、ジェンキンスが気持ち悪いの食べるよお」 ジェ「チョコソースオムライス生クリーム添え」 ブリ「えっ…でもそれ、オム…ライスではないんでしょ？中にフルーツが入ってるとか…」 ジェ「中は普通のチキンライスだって」 ブリ「ええ…？」

ヤマサミ @yamanami69

ブリ「ま、まあ、ジェンキンスが食べたいならそれでいいよ。メニューにあるんだから、そんなに不味いわけじゃないと思う」 店員「お待たせしました、チョコソースオムライス生クリーム添えです」 コス「ひと口ちょーだい！ﾊﾟｸｯ…ぉぇ」

ヤマサミ @yamanami69

ブリ「ジェンキンス、君、それ美味しいのかい…？」 ジェ「うん、美味しいよ。甘くて。アイバースンも食べる？」 アイ「僕は、いいや…」 ドー「やっぱりジェンキンスってどっかおかしいよねー」 ブリ「ドール！」

ヤマサミピンク @yamanami729

ねえ見て。これは君が作ったもの。君が私にくれたもの。君が忘れてしまっても、私は覚えているよ。君の楽しそうな横顔。今朝のスープは美味しかったって、そんなことを話しながら作っていたね。君はあのスープが好きだった。君の罠で捕まえたツコツコで作られたスープ。ほら、私は全部覚えているよ。

ヤマサミピンク @yamanami729

ウィ「よく、そんなことまで覚えてるんだね」 バク♀「うん」 ウィ「ハハ…もう、僕が思い出さなくてもいいんじゃないかって思えてくるよ。君が全部覚えててくれてるんだもの」 バク♀「ダメ…」 ウィ「いやいや、冗談だよ」 バク♀「ダメ」 ウィ「だから」 バク♀「ダメだよ…そんなの…」

ヤマサミピンク @yamanami729

ごめんねウィルコックス。全部覚えているなんて嘘。覚えていないことがあるの。君が私を見るときの目だよ。君はよく私を真っ直ぐに見てたね。私は恥ずかしくて、ずっと顔をそらしていたの。ごめんね。君の瞳が思い出せない。もう一度あの目で私を見て。お願いウィルコックス。私に君を覚えさせて。

ヤマサミピンク @yamanami729

ゴー「記憶をなくしているとしても、彼が僕達の仲間であることには変わりない」 ドニ「そうとも。ウィルはウィルだ」 ブリ「みんな、今までどおり接してあげよう」 バク♀「（そうだ。ウィルコックスはウィルコックス。今までどおり…何も変わらないように…してあげなきゃ）」

ヤマサミピンク @yamanami729

ウィ「やあ、バクスター。今から作業か？」 バク♀「うん」 ウィ「僕は、どうしようかな。ゴードンには、しばらくみんなの仕事を見ているように言われたんだ」 バク♀「…もし、よかったら。そこに君の椅子があるから。嫌じゃなければ…」

ヤマサミピンク @yamanami729

ウィ「あれ？この椅子、僕のなんだ？」 バク♀「君が作ったよ」 ウィ「僕が、これを？へえ、わりと小奇麗に作るもんだ」 バク♀「私も、そう思う。綺麗な椅子。君は、こんなのまだまだだって言ってたけど」 ウィ「高望みだったんだな、僕って」 バク♀「そう…かも、しれない」

ヤマサミピンク @yamanami729

ウィ「だってね、ホラ見てよ。ここの接合部なんてなかなかじゃないか？こいつは全然キシまないよ。釘の頭も出てないし。素人作りにしては十分だ。それに、自分で作っただけあるな、サイズがピッタリだよ。あれ…バクスター、どうしたんだい？」 バク♀「おしゃべりな所は、変わらないんだなあ…って」

ヤマサミピンク @yamanami729

ウィ「あれ？そんなに喋ってたかな？」 バク♀「喋ったよ。やっぱり…君は君なんだね。少し、安心した」 ウィ「そうなのかな？ハハハ。だってさあ、バクスターとこうやって顔を突き合わせて喋るの、楽しいよ。きっと、前の僕もそうだったんだろうな。君とお喋りしてたんだろう？」 バク♀「…」

ヤマサミピンク @yamanami729

ウィ「あれ、バクスター、どうしたの？」 バク♀「ウィルコックス」 ウィ「ウィルコックス…あ、僕のことか。うん」 バク♀「ごめんね」 ウィ「何が？」 バク♀「やっぱり違う」 ウィ「何が？」 バク♀「私、君と向き合うことができてるもの」

ヤマサミピンク @yamanami729

ウィ「どういう意味？」 バク♀「君の顔が、正面から見える」 ウィ「そりゃそうだよ」 バク♀「違う。違うよウィルコックス。見えなかったんだ。前の君は、見れなかった。胸が、燃えてしまいそうだったから」 ウィ「どういう意味？」 バク♀「やっぱり、違う。君は。違う」

ヤマサミピンク @yamanami729

バク♀「返して…」 ウィ「ごめんバクスター、僕、よく分からないんだけど」 バク♀「返して！ウィルコックスを返して！ウィルコックスがいい！ウィルコックスじゃなきゃ嫌だ！」 ウィ「バクスター、君は…僕の、いや…ウィルコックスの、ことを…その」 バク♀「返して…」

ヤマサミピンク @yamanami729

ウィ「ゴードン」 ゴー「おやウィルコックス。調子はどうかね？今日は1日何をしていたんだい？」 ウィ「ゴードン、僕、別に記憶が戻らなくてもいいかなって思ってたんだ。記憶なんてなくても、みんな優しいしさ。だいたい、忘れてもいいモノだから忘れちゃったんだ、って思ってたんだ」