おやうみまとめ4
- kikkasatsuki
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親潮は言葉を探していた。海風は、ただじっと待つ。 「海風さんの気持ちに応えたいと思って、この一か月を過ごしてきました。自分の気持ちについても、しっかり考えたつもりです」 海風の肩が小さく跳ねる。不安に揺れた瞳を隠すように、睫毛が伏せられた。
2016-09-30 00:02:45「まず、海風さんを、不安にさせたくないと思いました。笑っていてほしいと、今でも思います。それから」 親潮は柵から手を離して、一歩だけ距離を詰める。手を伸ばせば触れられる距離だった。
2016-09-30 00:03:09「きちんとした返事が遅れてごめんなさい。あたしは、いえっ、あたしも……海風さんを好きでいて、いいですか?」 大きく一息に言い切って、親潮は全身を緊張させて、海風を見つめる。海風は、何も言葉にならず、口を押さえて、強く頷いた。親潮は、肩の力が抜ける。
2016-09-30 00:03:21「良かった。……これからはずっと、出来る限り傍にいます。ずっと。約束の必要もありません。あたしが、そうしたいんです」 「っ……はい。海風も、親潮の、傍にいます。……これから、いつまでも」
2016-09-30 00:03:42海風が親潮の手を取り、掌から指の間まで重ねる。どちらともなく歩み寄って、自由な腕を背中に回して抱きしめた。 やがて海風の瞼が閉じられる。親潮は、繋いだ手に力を込めて、ぎこちなく唇をそっと重ねた。 沈み行く夕陽に祝福されて、二人はまばたきも忘れ、ほんの僅かな距離で見つめ合っていた。
2016-09-30 00:03:53流水落花 おしまい。 twitter.com/kikkasatsuki/s… @kikkasatsuki pic.twitter.com/C9T37iRfN8
2016-09-30 00:04:14今日の補足 椿の花言葉は色々ですが、「理想の愛」や「誇り」、「謙虚」などなど。赤だと「気取らない美しさ」、白だと「最高の愛らしさ」などがあります。また、本編に直接椿のモチーフは出てきませんが、椿は呉市の花なので、イメージは2人がいるこの場所そのものです。
2016-09-30 09:00:14おやうみは今後そう書くことはありませんが、流水落花については、11/28に、流水落花【月下香】として、普通の小説(文庫本20P分ぐらい)と、糸麦さんの挿絵3~4枚のお話を投稿します。R-15かR-18予定なのでガチ百合だめな人は今度こそ見ちゃダメですよ!
2016-09-30 01:20:35次回菊花さんと予定している企画の主役はこちら pic.twitter.com/iUwvLIynsT
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