『転生殺者 之 夢』【夢の話４２】

天晶 @tensyou99

瞬間、地面が破裂した。反射的に飛び散った土から顔を左腕で庇い、右手をショートソードの柄に伸ばした。 破裂したのは水場のすぐ傍にある一階窓の真下だ。そこから、青い炎に包まれた何かが、ゆらりと浮き上がってきた。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

真祖がくる。自分はそう判断すると同時に、鞘の留め具をはじいた。 子供だ。 ショートソードを抜く手が、止まった。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

青い炎に包まれて穴から出てきたのは吸血鬼だ。吸血鬼特有の牙があって、重力を無視して、浮いている骸骨が吸血鬼でないなら、何なのか是非とも教えてほしい。 そして、子供だった。正確に言えば子供の骨格だった。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

実際の年齢は分からない。吸血鬼だからもしかしたらこのサイズにしかならないタイプなのかもしれない。だが、人間で言えば子供の大きさだ。大体8～10歳ぐらいだろう。 体の中心、心臓より少し下のところに何かがあった。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

よく見ればそれは赤い小さな髑髏だった。もちろん本物ではない。一瞬、昔の安っぽい消しゴムのような感じもしたが、もしかしたら瑪瑙やそういった類かもしれない。少なくとも消しゴムよりかはそっちの方が正解に近いような気がする。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

となると封印の可能性があるが、自分はそっち方面にはとんと疎かった。自分の吸血鬼に対する選択肢はあまり多くないのだ。 和睦か殺害の２択だ。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

とりあえず下手に触らない方がいいと判断して、赤い何かは放置する。 青い炎をまとった骸骨は攻撃してこなかった。自分も張っていた気をわずかに緩め、抜きかけていたショートソードを鞘に収めた。 さて、困った。自分は顎に手を当てて、思案する。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

どうやら敵意はないように見える。しかし、声帯がないこの状態では彼、ないし彼女と意志の疎通が出来ない。テレパシーなどの便利能力もないようだし、どうすればいいか。 幸いなことが一つあった。吸血鬼を殺す者は、吸血鬼化しないのだ。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

つまり、自分はこれのすぐそばに何時間いようとも吸血鬼にはならない。吸血鬼にならないから自我もなくならない。故にこれのそばで周囲へ近寄らないように注意喚起も出来る。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

自分はこれを殺したくなかった。今まで吸血鬼と和平を何回か結んできたこともあるが、この前に吸血鬼化した子供を殺し、その母親と友人にさんざん泣き喚かれたのが結構トラウマ化していたのだ。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

とりあえず意志の疎通はしたいよな。と思う。となると声帯部分への肉付けが必要だな。人肉を食えばその肉を分解して体の再構築が出来るだろうか？そんな根拠のないことをつらつらと考える。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

まあ、ダメもとで病院に行ってみるか。と独り言のように骸骨に打診する。骸骨が賛同するかのようにカタカタと頭蓋を震わせた。生きている人肉はダメでも、もしかしたら死体から少し肉を分けてもらえるかもしれない。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

自分は隣に浮かぶ骸骨を、人に近づかないように気をつけながら病院へと誘導し始める。 ＃夢の話

天晶 @tensyou99

で、終了。 …いや いやいやいや 書き起こして初めて気が付いたがダメだろ、色々と…。 こんな状態で病院に行ったら確実に大パニックだろ…しかも何気に生きてる人肉とか普通に人を食わせようとしてるし、お前（自分）何やってんだよ…（汗 ＃夢の話