はなみるひと

はち公。 @funkastic_8er

26 頭を撫でると なんかシャンプーのいい匂い （ほんまに。色気づいてw） そう思いつつ なんとなく部屋に視線をやる （この広い部屋にひとりは レンには無理やろうな･･･） 思い出があり過ぎて たぶん 潰れる （俺に出来る事･･･あるかな） #はなみるひと

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27 ────数時間後 レンのご両親がやって来て バタバタとし始めたから 俺は一旦自宅のアパートへ帰った そこは ユウちゃんと住んでたとこなんだけど 彼女は1週間前に留学行っちゃって 〈私の代わりに置いてく！〉 って置いてったサボテンが 玄関にあって #はなみるひと

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28 帰ってきてはそいつに向かって 『ただいま･･･ユウちゃん』 ってつぶやく日々を始めていた 〈サボテンなら枯らさないでしょ？〉 なんて言うてたけど 『ユウちゃんはこんな チクチクしてへん･･･』 代わりにするには違い過ぎて 『はぁ･･･寂し』 #はなみるひと

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29 こんな狭い部屋でも こんなに寂しいんやから レンがあの家に残ると もっと寂しいんやろな 『どーすんねんろ･･･』 呟きつつ 翌日の葬儀に出る用意をした ────案内された セレモニーホールには ばーちゃんの人柄の良さで たくさんの人が集まっていた #はなみるひと

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30 前の方にはレンたち家族がいて それを俺は遠くから見守る （良かった･･･泣いてない） レンの目は赤かったけど 泣いてはいなかった ひと安心して ばーちゃんとの別れの時間を過ごす その時間はあっという間に過ぎて 俺はそのままレンの家に寄った #はなみるひと

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31 ［隆平くんごめんね！ 手伝ってもらって！！］ レンのおばちゃんは 相変わらず元気で ［疲れたろう？飲むか？］ おっちゃんも朗らかだった （どうせ帰っても誰もいないから） 『ええっすね。飲みましょ』 俺はお酒に付き合うことにした #はなみるひと

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32 しばらくはお互いの 近況報告とかして ばーちゃんの思い出話なんかも そしたら自然と その話題になって 『あの･･･ レンはどーなんのかな？』 おもむろに聞くと 隣に座ってたレンが ビクッと揺れた ［レンは連れてくわ 無理でしょ。ひとりは･･･］ #はなみるひと

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33 おばちゃんがそう言って チラッとレンを見ると レンは小さくなって俯いた そんな様子を見てると ほっとけず 『レン？残りたいなら頑張り？ いつまでも 甘えたまんまはあかんやろ？』 優しく声をかけて 頭を撫でる 「でも･･･残りたいけど 自信ない」 #はなみるひと

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34 そうやな ひとりは･･･ いきなりはな 『なら･･･こーゆうのはどーやろ？』 「え･･･」 『1年間だけ、俺もこの家住むんよ で、その間にひとりでも 大丈夫なようになるねん』 1年間だけなら ユウちゃんのいない間だけなら･･･ #はなみるひと

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35 『家事も大学通うんも 全部ひとりでできるように その手伝いを俺がする ･･･ってのはどーかなぁ？』 レンを含め ご両親に提案すれば ［え！いいの！？ 隆平くんがいてくれるなら 安心だわ！］ おばちゃんは大喜びで おっちゃんもうんうん頷いてる #はなみるひと

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36 『レンは？どう？』 「どうって･･･いいの？」 『ええよw』 何を今更他人行儀な 俺達は･･･兄妹みたいなもん 「･･･隆兄がいてくれるなら 私･･･頑張る」 『よっしゃ！決まりな！』 そう思っていた俺は ･･･浅はかだった #はなみるひと

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37 俺とレンは 兄妹なんかじゃなくて 幼なじみで仲良しも通用しない ただの 成長した 男と 女で ひとつ屋根の下1年間 ────何も無いわけなかった #はなみるひと pic.twitter.com/W4ZCmFB3PE

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38 最初の頃は順調やった 『レン！起きぃ！！』 朝弱いレンを ばーちゃんの代わりに叩き起す 「おはよぉ･･･でも夏休み･･･」 『それでもちゃんとせぇ！ 家事に休みないねんで？』 「でもぉ･･･」 『それとも何？ お前の洗濯も俺する？』 #はなみるひと

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39 するとレンの顔は真っ赤になって 「ダメッ！！ 私がします(泣)」 慌てて飛び起きたり レンが作った不格好な目玉焼きを 『見た目はともかくうまいで？』 って言ったら 「ほんとに！？」 なんて その日のうちにレンは 料理本を買ってきた #はなみるひと

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40 おままごとの延長のような生活 でも、レンは頑張ってた ･･･ただ夜になると （あ、また･･･） 堪えて泣いてる声がして （ったく･･･） 俺が大きな声で 『レンーー。 寂しいならおいでーーー』 って隣の部屋に向けて言うと #はなみるひと

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41 しばらくしてから 「隆兄･･･」 めそめそ泣いてるレンがやって来て 『はいはい。おいで』 ベッドをぽんぽんすると そこに転がり俺にくっついて泣いた （この感じ･･･変わらんなぁ） ちっちゃい頃から同じ レンの泣き方 なんだけど･･･ #はなみるひと

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42 （うぉ･･･） お腹のあたりに当たる 胸の感触や 絡みつく生脚の感じとか （あかん！俺、お兄ちゃん！！） やばくなりそうな時は この家に持ってきて 窓辺に飾ったサボテンを眺め （ユウちゃん！俺！大丈夫！！） 遠くにいるユウちゃんを思って耐えた #はなみるひと

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43 そうやってレンとの生活が 俺に浸透していくうちに 気づいてしまった 『ただいまー』 仕事から帰ってくると 「おかえり！」 出迎えたレンの向こうに 旨そうな料理 『うぉ！？作ったん？！』 「うん！」 『やった！食お食お！』 って #はなみるひと

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44 『うまい！』 それはほんとにうまくて 『短い間に上手になったなぁ！』 何の気なくそう言ったんだけど その瞬間レンは･･･ 「えへ///」 少し照れつつも すごく嬉しそうに 顔をほころばせて･･･ （え･･･この感じ、もしかして） #はなみるひと

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45 『あれ？』 朝起きてシャツを手にしたら バッチリアイロンがけされてて 『レンー？これしてくれたん？』 そう聞いたら 「うん･･･や、その･･･ 隆兄喜ぶかなぁって思って･･･」 『おお、助かる！ ありがとうな！！』 って頭を撫でたら #はなみるひと

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46 「もぉ///」 ぷいって背を向けるくせに （あ･･･） 窓にこっそり映った表情は 嬉しそうでくしゃくしゃだった （これは･･･あれやな） たぶん、間違いない ────レンは･･･俺が好き （それはちょっと･･･まずいな） #はなみるひと

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47 一定の距離を保たなきゃ 俺はあくまでも･･･ 保護者みたいなもん なんだけど レンの気持ちが 大きくなるのに比例して ユウちゃんからの連絡が 減っていって 『え･･･今度 一時帰国する言うてたやん？』 〈そうなんだけど･･･ごめんね？〉 #はなみるひと

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48 そりゃね？ やりたい事を追いかけてるから 充実してるよね？ でも･･･ 俺は何？ 君にとって･･･何？ 「隆兄？どうかした？」 考え事で表情が曇る俺を レンは敏感に察してくれて 『大丈夫w』 「ん･･･ねぇ、一緒に寝ていい？」 『･･･ん』 #はなみるひと

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49 時折、自分が寂しいからじゃなくて 俺の事を心配して 一緒に眠ってくれるようになった （だから･･･あかんて） そう思うのに 腕の中の優しい体温に ひどく救われる気もして （大丈夫･･･なんもせんから･･･） 無意識に レンを抱きしめて眠った #はなみるひと

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50 状況が大きく変わったのは 忘れもしない 俺の誕生日 俺とレンが暮らし始めて 3ヶ月が過ぎた頃──── 仕事帰り 借りたままアパートに寄って 郵便受けを確認する （前は週一で手紙くれたのに） ユウちゃんからの手紙を確認する 幸せな習慣だったのに #はなみるひと