- funkastic_8er
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1 かわいくて かわいい そんな花のような君が 僕のせいで 焦げて どす黒いものになりませんように そんな願いを込めながら 僕は今日も 少し離れたところから 君を ・・・見守っているよ #はなみるひと pic.twitter.com/XE7qB8QWO9
2016-09-03 20:27:042 大倉が飛び出したドアの方を ぼんやり見つめて どれくらいの時間が経ったんだろう 〈隆平?〉 その声で ようやく現実に戻ってくる 『ユウちゃん』 俺の肩に手を置く彼女に ふっと笑いかけると 〈なんだか・・・今にも泣きそうだね〉 なんて #はなみるひと
2016-09-03 20:27:553 〈いいの?追いかけなくて・・・ あの子でしょ?噂のレンちゃん〉 その一言で 二人の間の空気が ピンと張り詰めるのがわかった 『うん・・・でもまぁ、もうええよ お兄ちゃんの役はもうおしまい』 俺はそれを壊すように テーブルの上の 伝票を取って立ち上がる #はなみるひと
2016-09-03 20:28:514 スタスタとレジに向かい 外に出る 『んーーーっ・・・』 背伸びしたら 後ろから ふわっとした感覚 『ユウちゃん? ・・・どーした?』 彼女の腕が 俺に回されて その手をそっと握り返す 〈隆平・・・〉 『ん?』 〈私で・・・後悔しない?〉 #はなみるひと
2016-09-03 20:29:235 後悔・・・かぁ 『する事もあるかもね』 生きてれば いい事ばかりじゃないから でも 『それでもひとつだけ確かなのは』 〈うん?〉 『今、ユウちゃんの手を離したら すぐ、瞬間で 後悔するって分かるから』 言いつつ向き直り 彼女の頬に手を当てて #はなみるひと
2016-09-03 20:30:206 『どうなるか分からない未来より 今、この瞬間 お前とおりたいっていう その感覚を俺は 大事にしたいねんけど・・・ ユウちゃんは・・・どう?』 すると彼女は 少し潤んだ瞳を押し隠して 〈うん・・・隆平の考え方に賛成w〉 そのまま俺に抱きついた #はなみるひと
2016-09-03 20:30:537 うん 大丈夫 これが俺の幸せな選択 ────ここに至るまでに ほんの少し寄り道しただけ 目を閉じると ふわり思い出す 時に身を焦がしそうになるほど キラキラと眩い時間を ひととき 過ごしただけ・・・ #はなみるひと pic.twitter.com/Lu0rnKie0M
2016-09-03 20:31:518 『はぁ!?留学!?』 ユウちゃんが その話題を切り出したのは突然だった 『なんで!?今!?』 そりゃ驚くわ 次のユウちゃんの誕生日に 入籍しようって こないだ話したばかり 派手な挙式はいいから 春にでも海外で挙式しようって・・・ #はなみるひと
2016-09-03 20:33:049 〈いやぁ・・・いざ結婚が現実的になると、結婚したら出来なくなることをしてみたいなーって思っちゃって♡〉 『思っちゃったのねぇ(泣)』 この言い方は 止めても聞かないモード ユウちゃんは これがしたいってスイッチが入ると 爆進しちゃう子やから・・・ #はなみるひと
2016-09-03 20:33:3510 『でも・・・どんだけ?』 〈えっとねぇ・・・1年!〉 『1年!?』 ユウちゃんが申し込んだのは 1年間のボランティア活動と 語学留学を兼ねたパッケージプラン 〈面接もね 意外と受かっちゃって♡〉 『もう・・・受けてたんですかぁ・・・』 #はなみるひと
2016-09-03 20:34:1211 少し拗ねた声を漏らすと 彼女は俺を後ろから抱きしめて 〈怒った?〉 って 『怒ってはないけど・・・ 相談くらいして欲しかったな』 〈ん・・・ごめんね? なんか慌てちゃってw〉 『でしょうなw』 笑えるのは ずっとこんな付き合い方だから #はなみるひと
2016-09-03 20:34:4112 お互い大好きだけど お互いを干渉する生活はしたくない それが俺らの共通の思いだから お互いが興味ある事は邪魔しない それが暗黙のルール 『たまに手紙書いてや?』 〈うん、書く!〉 『照れんと・・・好きって言うてや?』 〈・・・努力しますw〉 #はなみるひと
2016-09-03 20:34:5713 『努力やなくて・・・必ず・・・な?』 引き寄せて キスをすれば 〈うん・・・好きだよ・・・隆平///〉 照れながら答えてくれる ・・・間違いない こんなに幸せだから 1年間なんてあっという間 そう思っていた ────あの日までは・・・ #はなみるひと
2016-09-03 20:35:1714 『は? レンのばーちゃんが亡くなった!?』 久々のオカンからの電話は 衝撃的なものだった レンは幼なじみというか 妹のような子で お隣さんやったから 一緒に暮らしてたばーちゃんにも ほんとに世話になって 『分かった・・・ とりあえず家行ってみる』 #はなみるひと
2016-09-03 20:35:4315 確かレンは今 ご両親と離れて ばーちゃんと2人で暮らしてたはず そんな彼女の様子が気になって その家に駆けつけた ────ピンポーン・・・ 応答は・・・ない 『レン!おるんか!?』 声をかけつつドアノブに手をかけるも 鍵が掛かっていて #はなみるひと
2016-09-03 20:36:2016 『レン!!!』 さっきより大きく声をかけても 何の反応もなく 『まだ・・・病院とかかな・・・』 仕方なくその場を離れようとしたら ────ガチャガチャ!!! 鍵が慌ただしく開く音と共に 「隆兄・・・っ」 ドアの向こうから 飛び出す女の子 #はなみるひと
2016-09-03 20:37:0317 『レン!!!』 レンは俺に抱きつくと わんわんと躊躇うことなく 泣きじゃくる 『お前・・・ひとりやったんか?』 「うん・・・パパもママも こっち向かってるけど まだ着かなくて・・・ 親戚も遠いから・・・」 腕の中で 細く白い肩が震えていた #はなみるひと
2016-09-03 20:37:2418 家に入ると ばーちゃんは 自分のベッドに横になっていた 「病気とかじゃなかったの でも・・・いきなり目が覚めなくて」 『・・・そうか』 手を合わせてから リビングへ戻る 「コーヒー・・・いれるね」 レンはキッチンに消えていった #はなみるひと
2016-09-03 20:37:5919 その姿をぼんやり眺めて 月日の流れる早さを感じる (なんか・・・すっかり女やなぁ) 最後にあったのは確か 大学合格のお祝いをした 1年以上前のこと なんとなく 可愛いだけの妹じゃなくなってて (お兄ちゃん寂しいなぁ・・・なんてw) #はなみるひと
2016-09-03 20:38:1620 「隆兄?どーしたの?」 ぼーっとする俺の顔を覗いて レンが声をかける 『あ、ごめん、なんでも・・・ それよりお前 これからどーすんの?』 「うん・・・」 俺にコーヒーを出し 向かいに座ったレンの表情が 曇っていくのがわかった #はなみるひと
2016-09-03 20:38:3821 「私・・・1人じゃ心配だから アメリカ連れてくって・・・ パパもママも言ってた・・・」 まぁ・・・そうもなるな 年齢的なことを言えば レンくらいの年なら 一人暮らしさせてもいいんだろうけど レンに関していえば それをさせるのは俺も心配 #はなみるひと
2016-09-03 20:38:5822 レンはいつも俺やばーちゃん ほんとに気を許した極小数の その後ろにひたすら隠れてた子で その人を介してしか うまくコミュニケーションがとれない 甘えん坊で 世間知らず (分かってるのにそれを許し続けた 周りも悪いんやろうけどなぁ・・・) #はなみるひと
2016-09-03 20:39:2023 「行きたくないけど どうしていいか・・・」 『せやなぁ・・・』 重い沈黙が2人を包む なんかいい方法あればいいけど・・・ その時 レンの家の電話が鳴って その向こうにいるのはご両親で 「いま、日本ついたって・・・ とりあえず・・・安心した」 #はなみるひと
2016-09-03 20:39:5124 呟いたレンが少し眠そうにしたから 『寝てへんのか?』 「ん・・・なんか 寝ていいのかわからなくて」 気持ち・・・張り詰めてたんやな 『なら今のうち寝ぇや。 おばちゃんら来たら起こしたるから』 「うん・・・でも・・・」 『ん?どした?』 #はなみるひと
2016-09-03 20:40:2025 「・・・隆兄のそばにいていい?」 あー そーゆうことね 『ええよ』 俺はソファに移動して 脚をポンポンと叩く 『おいで?』 「うん!」 するとレンはその上に頭を置いて しばらくすると スヤスヤと寝息をたて始めた 『ほんま・・・変わらんなぁ』 #はなみるひと
2016-09-03 20:40:45