.@naoya_fujita 『ゼロ年代の論点』、私小説、ゼロアカ

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藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

円堂都司昭『ゼロ年代の論点』に僕の名前が出ている…… ゼロアカとザクティ革命について4ページほど書いてくださっているのだけれど、「ゼロアカ道場自体は道場生たちの批評の内容よりも、ゼロ年代において批評というジャンルがさらされているかを体現した祭りとして記憶されるイベントだった」

2011-02-18 19:48:39
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

で、最近思うところがあって中村光夫の『風俗小説論』の私小説批判を読んでいたんだけど、「何が書かれているかより『誰』が書いたかに興味を持つ読者は、当然広い社会の読者ではなく、小説の読者が『誰』であるかをかなりよく知っているものでなければならない」と。

2011-02-18 19:53:21
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

「それが僕等を動かすのは、そこに現れた人間性の真実より、むしろ、この独善的な修養に身をゆだねる作者の熱情の純粋性と激しさによってです」とし、それが真剣であるが故に「滑稽」であり、普通は小説は作品世界内に人物を配置するのだが、それが出来ないから作者自身が「人物」になるとしている。

2011-02-18 19:55:19
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

この内輪の「文壇村」は、小説家のキャラを理解していないと面白くなく、「小説家」そのものが一つのキャラとなって当時の社会を舞台にして動く、共同創作めいたものになっていた、と(僕なりに言い換えれば)読める。これを楽しんでいた読者って、意外とゼロアカの観客に似ていないかな。

2011-02-18 19:57:02
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

「作者にもし舞台裏から彼等(注、作中人物)をあやつる余裕がなければ、作者自身が舞台に登ってもよかったのです。/時代の文学そのものがひとつの肉体を求めてもがいていたとき花袋の大胆な演戯は、この要求にぴったり応えていたのです」

2011-02-18 20:00:05
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

これはこう言い換えると自分に当てはまる気がする…… 「批評家にもし舞台裏から批評を行う能力がなければ、批評家自身が舞台に登ってもよかったのです。/時代の情報そのものがひとつの肉体を求めてもがいていたとき藤田の大胆な演戯は、この要求にぴったり応えていたのです」

2011-02-18 20:01:16
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

日本の近代の輸入と、近代文学の輸入(の失敗と独自の歪み)によって生まれた世界的に稀な「私小説」という文学の形式が、それを批判し、批評してきた歴史の積み重ねの果てにあるはずの「ゼロ年代の批評」において、「ゼロ年代に批評をやろうとする人間の私小説(映像)」として反復したことが面白い

2011-02-18 20:03:00
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

面白いと思いつつ、そうなってしまう「私小説」の重力の強さを、今年の芥川賞を眺めながら考えてみたりする。ゼロアカは、確か「ポストモダンの批評」を通過した人たちの集まりだったはずなのだけれど。

2011-02-18 20:04:24
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

で、円堂さんの著作自体は、よくある「ゼロ年代論壇まとめ本」というよりは、円堂さんの他の著作にもある自身の問題系などと全体が密接に絡み合っていて、それ自体が興味深いものになっていると思います。距離を置いているのではなく、円堂さん自身が巻き込まれながら書いているところが好きです。

2011-02-18 20:07:57
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

ゼロ年代の評論とは、「フィードバック」との戦いであったのではないかと僕は勝手な歴史観で思っている。ネットによって加速していくフィードバックを意識し、どう戦うかが問われていた。『ゼロ年代の論点』のようなまとめ本ですら、その書き手もまたフィードバックの中で格闘していた痕跡だらけだ

2011-02-18 20:24:18
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

そう思うと、エヴァって、ネットによるフィードバックを意識し、全面的に取り入れた先駆的な作品として評価したいんだよね。作り手が、ネットなどの二次創作などを意識し、誹謗中傷や脅迫に晒され、作品後半部に進むに従って怒りと憎悪が露呈していく作品。

2011-02-18 20:26:42
藤田直哉@『ゲームが教える世界の論点』『新海誠論』 @naoya_fujita

劇場版のラストにおいて、劇場を写し、コスプレイヤーを写し、綾波の「夢の終わり」という台詞が出ると同時に「庵野殺す」というメールか掲示板の映像が凄い速さで映し出されるんだけど、ここで言う「夢」って、「オタク」を信じられる幸福なクリエイターの時代のことであったのかもしれないね

2011-02-18 20:28:42