- yuzukinagi_you
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① いつも一緒に居た 何をするにも3人一緒 いつの頃からだろう 幼い時のままじゃダメなんだって気付いたのは… そう、ダメなのに…離れる事は出来ない だって… 「やっぱココに居った」 『見付けたん?』 「1人でこそこそしとったで」 〈こそこそなんて…っ!〉
2016-09-10 21:02:31② 「俺らはすぐ見つけてまうからなあ~」 <………> 『なに悩んでんの?』 「なんかあるなら言うてや」 ぽんぽんっと忠義くんが わたしの頭を宥める。 だめ。だめなの。 もうこれ以上、一緒にいたら わたしが苦しい
2016-09-10 21:05:30③ 『ホンマどないしてん?』 裕くんに顔を覗き込まれ、思わず顔を反らす 2人の前から逃げ出したい でも、どうやって? 忠義くんも裕くんも 「もしかして…アレちゃう?」 『アレ?』 「俺らのメイドすんの、嫌になったとか」 私が住み込みで働く家の、ご主人様なのに…
2016-09-10 21:06:32④ 逃げることなんてできない それは分かってる。 『世話のやけるメイドやわ』 そう言い、裕くんが わたしの脇と背中に手を入れて ヒョイと抱き上げた。 <!?!?// …ちょっと裕くっ…> 「黙って?」 と、今度は忠義くんが わたしの唇を長い人差し指で制す。
2016-09-10 21:11:42⑤ 『忠義、あそこでええ?』 「俺は全然ええよ。ていうか、そのために作った所なんやろ?」 『なんや、知ってたん?』 「俺ら双子やからな。たまに忘れんの止めてくれへん?笑」 そう言って連れて来られたのは… 「秘密の部屋やねんで、ここ」 『俺ら以外、誰も知らんからな』
2016-09-10 21:12:10⑥ それって…… 少しの身の危険を感じながらも 2人の明るい雰囲気に やっぱり、そばにいてはいけないという感覚が 心に染み渡る。 「…ほんまに大丈夫…?」 <…っ> 意識してないのに、 涙が一筋、零れた。
2016-09-10 21:17:05⑦ 『…やっぱ何かあったんやろ…?』 心配してくれるのは嬉しい でも… 〈何でも、ないの…っ〉 ふるふると首を横に振る 『そんな泣いて…何でもないワケあらへんやんか』 言えるワケない ううん、言っちゃいけないんだ 「はぁ」 忠義くんが、頭の上で大きな溜め息を零した
2016-09-10 21:19:48⑧ 「嘘が下手なんは変わらんな」 <え…> 整った顔立ちに、朝日が照らされて だけどその表情は いつになく曇ってみえた。 『俺らじゃ、どうにもならんの?』 <ちが…い…ます> 思わず敬語になる。 圧が混ざった裕くんの声に 動揺をかくせない自分がいた。
2016-09-10 21:25:06⑨ 「裕くん、あかんて。圧かけたら余計喋られへんなるやん。なぁ?」 私の頭を撫でる優しい手 『…すまん、つい…。ごめんな?』 ねぇ、なんでそんなに優しいの? なんで私なんかに構ってくれるの? ただの昔馴染みのメイドってだけなのに… 溢れる涙が止まらなくなってしまう
2016-09-10 21:34:3710 「なんでなくんて。 言わなわからんよ」 <それは…> 『…ん?』 <……わたしそばにいたくない> いちゃいけない。 <もう、やめる……> 全部やめる。 震えた声で、強がるように発した。 わたしの気持ちも全て諦める。
2016-09-10 21:45:3211 「…俺らの傍に居りたない理由は?」 <り、ゆう…?> 『せや。傍に居りたないから辞めるやなんて言われても、俺らが納得出来ん』 だって、これ以上なんて言えばいい? ご主人様とメイド そこに憧れや友情はあっても、恋愛感情を持っちゃ行けない そう…教えられてきたのに
2016-09-10 21:56:4312 <おろして。> 強く、言い放つと裕くんが 少し怯んで降ろしてくれた。 「……」 わたしの表情を、じっ…と真剣に 見る忠義くんの視線を 痛いほど感じながら、 強く言葉を続けなきゃ、自分が壊れてしまいそうだった。 だから <…2人をご主人様としてみれないから>
2016-09-10 22:02:1513 もうこの関係がただただ辛いから 「それってどういう意味?」 『俺らには仕えたないって事なん?』 終わらせてしまおう <そう取ってもらっても構わない。わたしには…メイドなんて無理だったんだよ> おじいちゃんみたいな執事になりたくて、ここまできたけど限界なんだよ
2016-09-10 22:13:3414 「ふうん…」 『そうゆうこと。』 「やっぱり、……あほやな」 『忠義、それは言うたらあかんわ~』 「ごめーん(笑)」 この状況で、クスクス笑う ふたりが理解出来ずに <なに…?> と聞くしかなかった。
2016-09-10 22:22:3215 『要するにや、なんやかんや言うた所で』 「結局は俺らのコト好きなんやろ?」 <…え?> 待って、意味が分からない なんで今のでそうなるの?? わたし傍に居れないって言ったよね? 仕えたくないって取られても構わないって言ったよね? 『お前まだ分かってへんの?』
2016-09-10 22:31:1816 <わたしは真剣にっ…!> 「俺らも真剣やで…?メイドさん。」 『…一緒やから』 <は……?> 一緒?… 違うよ。…違わないといけない。 だって、メイドとご主人様である人の恋愛はご法度。 「……本気じゃないと…思う?」 熱を帯びた忠義くんのブラウンの瞳が光る
2016-09-10 22:38:2717 <だ、って…そんなの、許されない…っ> じりじりと後ずさりするも 『誰かに許してもらう必要なんかあらへん』 背中には冷たい壁 <でも…っ> 「…まだ分からんのやったら、教えよか?」 不意に <んぅ…っ> 忠義くんの唇が重なった
2016-09-10 22:49:4418 <っ…!?> 何が起きたの、今… 『…なんちゅうかおしてんねん。』 そう言いながら、 私の手の甲にキスを落とす裕くん。 そして 「あーあ…どうする…? …引き返すなら、今やで?」 私の髪に指を絡ませた後 優しくわたしの頬を包み込み 上に向かせる忠義くん
2016-09-10 22:54:0019 『…俺らから本気で離れたいんやったら突き飛ばしたらええ』 そんなの… 「5…4…3…2…」 出来るワケないよ 「1…」 ゆっくりと忠義くんの顔が近付き 「…もう引き返されへんよ」 今度は深く口付けられた <ん…ぅ、ふ…>
2016-09-10 23:06:3420 『時間切れ…』 その囁くような声が耳に入ってきた。 ちゅ。ちゅ、と 忠義くんからの深く、甘いキスに 体も頭も痺れてくる。 何も考えられなくなる。 シュル…と結いであるメイド服のリボンがほどかれたのを感じて 背筋に汗が伝う。 <ん、…!!> ダメだ、これ…
2016-09-10 23:11:2221 『おっと…っ、危な…っ』 力が抜けた私の身体を裕くんが支えてくれた 『大丈夫か?』 <ん…> そのまま抱き抱え 「ちょ、裕くん?」 ベッドにそっと降ろされる 『…お前ばっかせこいわ』 服がはだけ、露になった首筋に <…ふ、っ…ん> 裕くんの舌が這う
2016-09-10 23:27:1822 もうなんでもいい…そう思った時 『お前の御主人様は、俺らしかおらんねん』 そう囁かれ 「やめられるなら…やめてみぃや…」 低く甘い声が耳をかすめる 『どうしてほしいん?』 「ちゃんと言って」 この日を境にメイドとご主人様の イケナイ関係が幕を開けた end
2016-09-10 23:36:11