稲川淳二のつぶやき怪談　2016年9月27日投稿分

稲川淳二 @Junji_Inagawa

なんだかんだ言っても、皆心配な訳。 暫くすると、真っ青な人が出て来る。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「フーッ。どうだった？」 「映った？」 「映った、映った、映った」 「良かったな」 なんてやってる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

じゃあ次の人、 じゃ次オレ、 なんて言って、 行って来いよって、 皆見送ったり、行ったりする訳だ、暗い中。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ウウーって、闇に消えて行く。 どうしたかなって。 映ってんのかな？って。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

馬鹿馬鹿しい事なんですがね。 結構皆本気になる訳ですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

暫く経つと、また、帰って来る。 青い顔してね。 結構緊張してる訳だ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「どうした」 「おう行って来た」 「どうだった？」 「映った？」 「映った！　映った！　映った！」 「おう、良かったな」 なんてやってる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

順番に行ってね、最後の人間になった訳ですよね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、その彼が、 「おい、頼むよ。 オレ行って来るけどさ、お前、皆、待っててくれよな！　 オレ帰って来たら、皆いないってやだぜ、絶対に」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「大丈夫だよ、心配すんなって。待ってるから」 「じゃあ、行って来るからな、いなくなるなよ！」 って、行った訳だ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

恐くてたまらなかったんですね。 チラチラとこう月明かりがね、地面照らす。 真っ暗いとこ通った瞬間なんか、後ろから、 フゥーッ、てやられそうな気がするんだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（うう、やだな、恐いな、恐い） と思いながら、どんどんどんどんと行ったら、 敷地の奥、鬱蒼とした木の中に、 丁度包まれるように、小さな池があるんです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（あー、あれだ） って思ったけど、なんだか嫌ーな気配がする。 気持ち悪い。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

でもしょうがない。 皆やったんですから、自分だけ辞める訳いかないし、 皆が出来たんで、出来ない訳がない、って行った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

池をね、見てみるとね、その池の周りの、鬱蒼とした木が、 丁度、この池の水面に映り込んで、暗く影を作ってる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

池の中に丁度突き出るように石がある。 そこ行って立ってね、 さぁ、映るかなって思って、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

スーッと、身体屈めて、下、覗くと、自分の影が、 スーッと中に映った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

辺りは、鬱蒼とした木々が、映り込んでたんで、 うわっと思った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（あ、映った！　あー、映ったなあ） って思ったら、自分の影と重なるようにもう一つ、 ヒューッと、人の頭のような、影が映り込んだ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「うわあ！」 って思ったら、それが、 ニタッて笑ったって言うんですよ。、

稲川淳二 @Junji_Inagawa

後ろ見たら、誰もいない。 （あれ、気のせいかな） って思った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ホントはね、気持ち悪いから、 ウワーッて逃げたいんだけどね、 池を後ろにして走ると恐いんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ここから、結構な距離がある訳ですよ、出入り口の方までは。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（こんなん出る訳ねーよー、これ違うよぉ、 これ、絶対に、今、自分の目の錯覚に違いない） って思って、自分で自分を納得させたい訳ですよ、あまりにも恐いんで。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（じゃ、もう一回見てみよう。 あれ、絶対、木か何かが映ったに違いないんだ。 オレの見間違いだから）