高橋健太郎さんによる『音響メディア史』批評。

批判論点:中村とうよう、油井正一クラスの人だって聴けてなかったものが、今は何千曲と聴ける。サウンドに触れない、マシーンにも触れない、過去の研究書などを引いて、そのパッチワークで歴史を俯瞰する音響メディア史論 目次: 1.『音響メディア史』批判(1)(Page-1) 2.『音響メディア史』批判(2)(Page-1) 3.とうようずチルドレンとして・エンジニアとして(Page-1) 続きを読む
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kentarotakahashi @kentarotakahash

20年代になるとラジオが登場する。ラジオから流れるのはお喋りと音楽。そこでも喋りと歌の距離はせばまっていく。大きな声で歌らしく歌うよりも、お喋りと同じ調子で語りかけるように歌う歌が好まれ始める。レコード会社が電気録音を始める以前にアート・ジルハムのような歌手はそれで人気を掴んだ。

2016-10-26 23:04:03
kentarotakahashi @kentarotakahash

ビング・クロスビーもまさにラジオ・ショーで人気を掴んだ歌手だった。彼の主戦場はコンサートよりもレコードよりもラジオだった。そして、ラジオ・ショーの録音を聴くと、彼が喋りと歌の間をスムースに行き来するエンターテイナーであったことが分かる。歌になると急に声色が変わったりはしない。

2016-10-26 23:17:17
kentarotakahashi @kentarotakahash

そういう意味では、ビング・クロスビーのクルーナーの本質は、優しく親密なお喋りや語りに近い歌、ということになるのではないかと思う。

2016-10-26 23:32:52
kentarotakahashi @kentarotakahash

はい、レコード歌手としてだけ見ていると、本質を掴み損ねると思います。QT @sangkure @kentarotakahash ビングクロスビーはレコード歌手ではないんですよね。元々はラジオショーのエンターテイナーですね。

2016-10-26 23:38:19
kentarotakahashi @kentarotakahash

エジソンのフォノグラフ発明の主目的、家族の声を残す、に話を戻すと、ヒップホップ〜DJ〜サンプリングみたいな時代がやってきた頃、MM誌上で小西康陽くんと対談した。そこで小西くんが言ったのが、どんな音楽的な意匠よりも、死んだおばあちゃんの声を聴く方がハッとする、ということだった。

2016-10-26 23:45:43
kentarotakahashi @kentarotakahash

エジソンは彼の発明が音楽に使われることを快く思わなかった。が、その後の録音音楽史には彼の呪いが効き続けている。レコードは音楽とそれ以外を区別しない。そして、音楽らしい音楽や歌らしい歌ではないものが、レコーディング・アートの中では重要になっていく。

2016-10-26 23:55:51

岡鹿郎 @kmar1320

@kentarotakahash 大正11年6月25日の新愛知の広告にこういうのがありました。日本特許蓄音器工業という会社の製品。価格80円は当時の国内製蓄音器の水準からすればそんなに高くない。ですが、その後そんなにあまり普及した様子は見られません。 pic.twitter.com/C3ayJSxeEA

2016-10-27 22:54:47
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9-4 先祖返りとしてのデジタル、ダイレクト

kentarotakahashi @kentarotakahash

こないだアンドリュー・シスターズ聴きながら、ディスク録音とデジタル録音は似ていると半ば思いつきで書いたけれど、それを技術的見地から詳説しているテキストをこの本読んでたら見つけた。 pic.twitter.com/Z3ZGCmlL9m

2016-10-27 10:30:39
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kentarotakahashi @kentarotakahash

といっても著者の文章ではなくて、「テープは歪む」という章の中に引用されているエンジニアのトム西田氏による解説。1976年に日本フォノグラムから出たダイレクト・カッティング盤『THE THREE』のライナーノーツからだという。 pic.twitter.com/wYL4dCBcmA

2016-10-27 10:37:17
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kentarotakahashi @kentarotakahash

これを読むと、なぜダイレクト・カッティング(つまりはディスク録音への回帰)を望むエンジニアがいたかがよく分かる。磁気テープの非直線的な応答性や特有の歪み、狭いダイナミックレンジ、ワウフラといった問題が挙げられ、ディスク録音の優位性が語られている。

2016-10-27 10:44:08
kentarotakahashi @kentarotakahash

この『THE THREE』って、伊藤八十八さんが企画した盤だよね。

2016-10-27 10:48:35
kentarotakahashi @kentarotakahash

これか。見覚えあるけれど、手に入るかな。 pic.twitter.com/vnM4JcQ8Ym

2016-10-27 10:50:52
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kentarotakahashi @kentarotakahash

70年代の終わりだったか、ビクターの小鐵さんのところにダイレクト・カッティングの取材に行ったことがあるんだが、あれは何だったかなあ、タイトル。

2016-10-27 11:03:05
kentarotakahashi @kentarotakahash

エンジニアの立場からすると、テープ通すとか、トランス通すとか、音がなまるから嫌というのは分かる。小鐵さんとか、吉田保さんとか、あの世代の人達はその傾向が強い気がする。ディスクとデジタルが好き。

2016-10-27 11:23:46
kentarotakahashi @kentarotakahash

でも、今や、テープやトランスをシミュレートしたDAWのプラグインが全盛の時代だったりもする。

2016-10-27 11:27:16

9-5

kentarotakahashi @kentarotakahash

いつのまにか一万view越えてた。地味な話題と思いきや、関心はある分野なのか。 高橋健太郎さんによる『音響メディア史』批評。 togetter.com/li/1038793

2016-10-30 20:15:01
kentarotakahashi @kentarotakahash

ちなみに、誤解ないように言っておくと、執筆者からの直接の応答は望んでいないし、反応は幾つか見たけれど、それに応答するつもりもないです。出版社の対応には興味あるけれど。 twitter.com/H_YOSHIDA_1973…

2016-10-30 20:19:00
YOSHIDA Hiroshi 吉田寛 @H_YOSHIDA_1973

ある書籍や論文に対してオンラインでなされた批判に、著者が(同様に)オンラインで返答(反応)することを期待するのはやめた方がいいです。オンラインでの返答は可能でも、適切な返答になるとは限らないし、ならないことの方が多いように思います。何か言いたくてもすぐには言えないことがあります。

2016-10-26 21:43:37
kentarotakahashi @kentarotakahash

僕は図書館で手に取っただけだけれど、お金払って本書を購入した人達もいるのだし、何よりも「教科書」として作られた本ということなので、執筆者も認めている瑕疵を出版社が放置というのは、ありえないように思える。一方で、僕という個人に対する個別対応など無意味だよね。

2016-10-30 20:27:00
kentarotakahashi @kentarotakahash

ただ、僕がここで述べていることには、多くの本に常識のように書かれていることを覆す論も含まれている(とりわけ、電気録音〜マイク〜クルーナーの辺)ので、それに対して、誰からも異論、反論ないのは不思議には感じられる。みんな納得したのかな。 togetter.com/li/1038793

2016-10-30 20:31:46

10.『クラシックレコード100年史』批評

‐訳の分からないカルーソー崇拝やマイクロフォン信仰、クルーナー伝説‐

kentarotakahashi @kentarotakahash

クラシックの録音史も知らねばならないので、こういう本も手に取ったりする訳だが。 pic.twitter.com/eDTEE6JpAu

2016-11-06 22:03:58
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