僕らに愛を

はち公。 @funkastic_8er

201 彩香は いかにも風呂上がりで 長い髪をちょこんとお団子にして メガネかけて 〈さっぶ！！！〉 マフラーでぐるぐる巻きなんやけど ちょこんと見える鼻頭が赤くて 〈もう、わけわからん！ 何がどーなってんの！？〉 その 裏表ない感じに 《ふはっ》 #僕らに愛を

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202 思わず笑う 〈はぁ！？何笑ってんの！？ とうとう、気ぃ狂った！？〉 《あほ！狂うかw》 〈ならええけど･･･〉 うん･･･狂ってへん 俺は。 〈栞乃もやけど･･･裕くんも 見ててハラハラするわ〉 《･･･そーなん？》 〈そーや！！〉 #僕らに愛を

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203 次の瞬間･･･ ふわっと 抱きしめられて 《･･･へ？》 気づけば俺は 彩香の腕の中 《彩香･･･？》 予想外の展開に 心臓が早くなる 〈なぁ、裕くん？〉 《･･･ん？》 〈私じゃ、役不足？〉 《･･･は？》 それは･･･どーゆう #僕らに愛を

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204 〈私･･･栞乃みたいに 可愛くはないけど 裕くんが抱えてるもの 一緒に持つくらいはできるよ？〉 それは 穏やかな光に似た優しさで 〈裕くんは･･･何を抱えてるん？ そんな必死に、栞乃にこだわって ･･･何を守ろうとしてるん？〉 心が 揺れる #僕らに愛を

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205 抱えたものを 抱えすぎたものを 少し吐き出せたら 楽に･･･なるかな 《彩香･･･》 ええんかな 楽になっても 《あんな？》 ええよな 〈･･･何？〉 ええって･･･ 誰か ゆーて？ ──────♪♪♪ #僕らに愛を

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206 だしぬけに 彩香のスマホがけたたましく鳴って 〈あ･･･安田〉 そのフレーズに 心臓が張り裂けそう 気づけば栞乃を見失って 1時間以上経ってる 〈もしもし？安田？〉 ･･･向こうの声は スピーカーにしなくても よく聞こえた 『助けてくれ！』 #僕らに愛を

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207 明らかに 動揺してる 〈落ち着いてや･･･どうしたん！？〉 嫌や 嫌な予感しか せーへん 『なんか･･･』 やめろ 『栞乃と･･･その･･･してもーて･･･』 やめろ 『終わった後ぼーっとしてたら』 やめてくれ 『栞乃が、息してへん』 #僕らに愛を

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208 なぁ、栞乃 そんなに 急がんでもええやんか もっと そいつと 見たい景色があるやろ？ 『なぁ！俺、どうしたらええん！？』 栞乃･･･頼むわ 俺は 彩香からスマホを奪い取り 大声で叫ぶ 《クソガキ！！！救急車呼べ！！！》 ほんま 頼むわ #僕らに愛を pic.twitter.com/9SXY1bAZwI

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209 ねぇ、気づいてる？ 君の事が好きだよ？ でも 君はまだこっち向いてくれない 耳元で 【気づけバカヤロー】 って叫びたいけど 君も同じ 片思いをしてるから 少し、我慢 いつか、私に気づいて？ その日が来る事を祈りながら 今日も 隣にいさせて #僕らに愛を pic.twitter.com/7TqFtEw89i

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210 私と裕くんが病院に駆けつけた時 ［また貴方！？］ ちょうど栞乃のお母さんが 安田を怒鳴り散らしていて 《おばちゃん！ちょ･･･落ち着いて》 慌てて裕くんが止めに入った ［裕くん知ってたの！？ねぇ！！］ 《とりあえず ここはあかんから･･･》 #僕らに愛を

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211 裕くんはおばさんの肩を支えると 《彩香、すまん そいつの事、見といて》 そう言って おばさんに聞きながら 栞乃の病室へ･･･ 残った私は 床に突っ伏していた安田を 近くの椅子に座らせた 〈大丈夫？〉 返事は、無い 〈なぁ･･･何があったん？〉 #僕らに愛を

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212 すると安田は 自分の手のひらを見つめながら 『栞乃が･･･いきなり家に来て･･･』 記憶を辿るように 話し始めた ─────栞乃は 家を飛び出した後 まっすぐ安田の家へ 『栞乃！？どないしたん！？』 驚く安田に 泣きながら抱きついた #僕らに愛を

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213 『栞乃･･･？』 わけも分からず抱きしめ返す 安田の腕の中で 「章ちゃん･･･怖いよ」 栞乃は呟く 「もう･･･ 離れ離れになりたないのに」 その言葉を聞いて 『何ゆーてんの？離れへんって！』 安田は力いっぱい 抱きしめ返した #僕らに愛を

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214 『何があっても･･･離さんから』 その熱っぽい声に 栞乃はゆっくりと顔を上げて 「ほんと･･･？」 『うん･･･離さへん』 言い切る安田に 嬉しそうに微笑む それから一言 「もういっそ･･･ 章ちゃんとくっついて 離れられんくなれたらいいな」 #僕らに愛を

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215 すると安田は 少し驚いて でもすぐ 耳元で囁く 『試してみる？』 不安そうに聞く安田に 栞乃はにっこり笑って 「･･･うん。 章ちゃんとくっつきたい」 その頬に キスを･･･ #僕らに愛を

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216 『栞乃が身体弱いんは知ってたし できるだけ 気をつけてたつもりやけど･･･ そんなん、俺もガキやもん 冷静なんか無理やし･･･』 夢中になって 身体を重ねて 『でも･･･終わった後は 栞乃も笑ってて 俺を抱きしめてくれて･･･』 幸せだったんよね #僕らに愛を

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217 『せやのに･･･気づいたら』 息が･･･止まっていた 電話の後 安田は大急ぎで救急車を呼び そのおかげで 栞乃は一命を取り留めた だけど･･･ おばさんがやって来て 初めて･･･栞乃の病気の事を知って 『そんなん･･･知らんかってん･･･』 #僕らに愛を pic.twitter.com/aIiA0wpIar

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218 『知ってたら･･･こんなこと･･･』 思い出して また安田が泣き出す 『どうしよう･･･俺が ･･･栞乃を苦しめた』 その悲痛な姿に耐えられなくて 〈そんなん･･･今 ゆーてもしゃーないやん！？ とりあえず 無事やってんから･･･な？！〉 #僕らに愛を

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219 励ましたくて 肩を叩くのに 『でも･･･目が覚めるまでは 安心出来んって･･･ 起きても･･･なんか ･･･障害残るかもって･･･』 怖い可能性ばかり 頭にこびりつく 『こんな事なら･･･ 俺を思い出さん方が良かったんかな』 〈そんな･･･〉 #僕らに愛を

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220 その一言に ぷちんと、何かが切れる 〈あんた、正気で言ってんの？〉 『だって･･･』 〈悲しみすぎて 脳みそ腐ったんちゃうんか！？〉 こっちまで 泣けてくる 〈あんたを思い出して 栞乃嬉しそうやったやん！？ 喜んでた栞乃を否定すんな！！！〉 #僕らに愛を

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221 それより何より 〈栞乃が愛した自分を 卑下すんなって！！！ そんなん･･･ほんま、失礼やわ！！〉 無謀とはいえ 命懸けで 栞乃は あんたを愛したんやから 〈しっかりせぇよ！安田！！〉 思わず 胸ぐらを掴みそうになった瞬間･･･ #僕らに愛を

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222 《おい、彩香、刺激強すぎ。 あと、声でかいwww》 裕くんが戻ってきた 〈あ･･･ヤバ、言い過ぎ？〉 《･･･やなw》 うずくまる安田を見て ちょっと反省 《とりあえず･･･今日はもう帰ろう 彩香、危ないから送るわ》 #僕らに愛を

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223 〈あー、大丈夫！1人で帰れるよ！〉 《そーゆうわけにはいかんやろ。 一応･･･ほら･･･》 〈一応？あ？〉 《すまんすまん 可愛い子やからなw》 なんて･･･明るくしてるのに 安田は無反応 〈安田･･･ あんたも１回帰りよ？ 倒れんで？〉 #僕らに愛を

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224 だけど安田は 首を横に振って 『こうして･･･待っとる こうしてたら･･･まだ 栞乃が隣にいてくれてる 気がするから･･･』 って （その感覚･･･ヤバないか？） 思わずそう言って 無理やり連れていこうとしたんだけど #僕らに愛を

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225 《彩香、いまコイツに 何ゆーでも無駄やわ･･･行くで》 そう促されて 〈う･･･うん〉 私は裕くんと 病院を出た ＊＊＊ ────夜空には 皮肉なほど綺麗な 満月が浮かんでいて 〈はぁ･･･〉 思わずため息 〈安田も･･･大丈夫かな〉 #僕らに愛を