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【誤算の研究】フューチャーシステムコンサルティング business.nikkeibp.co.jp/article/pba/20… 外銀の方はご存じないかもしれませんが、過去にこういうことやらかして一部からは非常に嫌われてますぬ
2016-10-17 00:27:46フューチャーが急激な成長を遂げてきたというのは、バブル崩壊後の急激なIT投資削減の動きの中で、中立的なITコンサルティングとオープン系システムへの置き換えというのを売りに、企業システムの再構築が大当たりしたってのがある。
2016-10-17 22:39:36バブル期までは、経済全体が成長していたからIT投資も拡大する業務の効率化のために、ある種青天井で予算もつけられてきた。ベンダーはハードウェアを売りまくったし、そのおまけでほとんどただみたいな値段でソフトをつけて売ってた。受託開発は、ベンダーの下請けという形で拡大していく
2016-10-17 22:41:21もちろん、ソフトだけでは赤字なのだけど、メインフレームとかオフコンってのは保守契約やCPU使用料を払う形態なので、ソフトを使い続ける以上はハードを定期的に置き換えないといけないし、ハードを使い続ける以上はCPU使用料や保守料を払わないといけない。
2016-10-17 22:42:38これがより極端だったのがデ通サ契約。電気通信事業を電電公社が独占していたから、ネットワークを介して情報システムサービスを使うのは後者の独占だった。デ通サでは一定の契約期間に、要求通りの仕様に応じて構築したシステムを使用料を払って使うことになる。
2016-10-17 22:44:29ここで構築されたソフトの著作権はユーザー側にはないから、デ通サで契約してしまうとずっとそのサービスを使い続けることになる。公共系システムや金融なんかがデ通サだったりしたことが多いのは、データ通信を使いながら資産を持たずシステム構築費用の平準化ができるという利点があるけど割高になる
2016-10-17 22:46:31フューチャーは、ハードを売って回収するわけではあく、あくまでユーザー側に立ってコンサル役務を提供することで報酬を得る。こういう形態が珍しかったからこそ、急激に成長したわけだし、一方でハードとミドルウェアがセットになって使い続けなければならないベンダーロックからの開放をもたらした
2016-10-17 22:48:46ハードウェア調達とソフトウェア調達の分離って今じゃ当たり前の話になってきてるけど、これを初期に大々的にやりはじめたことで成長できたわけだ。そういうわけで、当時のフューチャーは業界の異端児といわれて、結構好意的に受け止められていた。
2016-10-17 22:50:05しんきん次期システム構想とは、信金の基幹系システムを全国統一システムに統合する構想で、信金中金と各地の信金の出資で設立された信金情報システムセンター(SSC)が中核となって90年代半ばから開始したプロジェクトだ。03年に次期システムの見直しによってプロジェクトは頓挫し現在に至る
2016-10-18 00:02:29信金は、協同系組織で全国におよそ260あまりの信金が、130兆円の預金と60兆円を超える貸出金を抱える組織で、全国組織として全信金、中央系統金融機関として信金中金(SCB)が下部組織として存在する。
2016-10-18 00:08:56SSCはこのSCBの子会社の位置づけで、SCBの基幹系と信金の共同システム運用を行うシステム子会社なのだが、しんきん次期システム構想というのは、ちょうど同時期に進められていたJASTEM(農漁協統一システム)やUnity(労金統一システム)の構想によく似ている。
2016-10-18 00:10:31信金の場合異なるのは、(次期シス構想が頓挫した今もだが)三つの運用形態に分かれている。一つは自営金庫で、単位信金が自前のシステムを単独で運用しているケース。規模の大きい信金に多く、富士通、日立、Unisysなどのメインフレームを使っている場合が多い。
2016-10-18 00:16:32二つ目が、地域共同センターで、東京、大阪、北海道、東北、東海、中国、九州の7つの地区ごとに協同組合方式で結成されたセンターで協同運用する方式で、大半の信金がこれに参加していた。最後に、SSCによる共同システムで直接参加する方式で提供されていた。
2016-10-18 00:39:43このような三つの形態のシステムが存在してはいたのだが、言い換えるとSSC直営方式はデ通サ、共同センターは組合方式、自営はベンダーと直接契約してシステムを作るという方式になる。自営は、自前の使用で好きにシステムを維持できるが、コストがかかる。
2016-10-18 00:42:40共同方式は、基幹系のほとんどが共同化されているので自由度がないうえに、ベンダー丸投げなのでこちらも協同化している割には結構コストがかかっている。これが信金の長年の悩みだった。
2016-10-18 00:43:28そこで、次期シスではコスト削減が大きな目標となり、マルチベンダー方式をとることで30%のコスト削減を目指した。また、システムにオープン系システムを多用することで、調達コストの低減を目指す。
2016-10-18 00:51:24ここに、コンサルタントとしてフューチャーが入ってきて次期システムは信金業界だけでなく情報システム業界全体の注目を集めた。特に情報系で採用されるオープンシステム部分には、マイクロソフトがビル・ゲイツが直々に信金業界を挨拶回りして話題になった。
2016-10-18 00:52:28勘定系は日立、基盤系をIBMが受注することになり、要件定義が始まった02年ころになってプロジェクトは停滞をしはじめ、結局03年には中金や全信協の介入もあってプロジェクトは完全に暗礁に乗り上げる。原因としては、現在もさまざまなことが言われているが三つあると思う。
2016-10-18 00:54:58一つは、プロジェクトの採算が合わないことだ。規模が大きい(一説には2000億円弱の大規模プロジェクト)ので、統一システムを採用する信金の数が少ないと採算が合わなくなる。JASTEMも、予算超過で運営組織が経営破綻して農林中金が引き取ることになったが、そのような事態は避けたい。
2016-10-18 00:56:54しかし、大半の信金が加盟する共同システムは、デ通サ契約を結んでいるので新システムを採用すると途中脱退という形になるので、残債をデータに支払う必要がある。金のない信金にはかなり問題で、せめて次期システムが安定稼働した後、現行の契約が切れたタイミングで参加したいところが多かった。
2016-10-18 00:58:24次期シスに参加意向は出しているものの、実際の稼働時期には参加しないという信金が多くを占めて、開発資金の回収がままならないという状態になった。これが大きな問題になる。
2016-10-18 00:59:13二つ目が、地域共同システムとSSCの深刻な対立。地域共同システムは、それなりに安価にシステムを抵抗していた自負があり、次期システムに対して批判的なところもあった。また、統一システムに地域システムの独自の機能を盛り込むという仕様定義の段階でも対立が生じた。
2016-10-18 01:00:45三つめはプロジェクトマネジメントの破綻。フューチャーはあくまでコンサルとして参加しているので、SIではなく、分割発注されたシステムのコントロールをとるベンダーがいなかった。
2016-10-18 01:02:26従来の共同システムは、データのデ通サで行われていたが、この高コストシステムを避けるためデータを排除したので、コントロールする者がいない状態でプロジェクトが走り始めた。特に、これは勘定系を受注した日立でコスト超過という問題となって噴出し、最終的にプロジェクトにとどめを刺す形になる
2016-10-18 01:03:30ここに至っても、まだフューチャーがプロジェクトマネジメントを行う形で立て直す方向性もあっただろうし(実際そのつもりだったらしい)、勘定系を担当する日立がその任務を請け負う形での巻き返しも考えられたのだが、SSCと7センターの対立問題もあって結局空中分解することになる。
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