- ShinyaMatsuura
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アップルの新MacBook Pro、メモリーとストレージ容量を出し惜しむアップルの悪いクセがもろに出ちゃっている。BTOでメモリー8GB→16GBで2万円って、何の罰ゲームだ。SSDを2TBにすると12万円というのも、市価のほぼ2倍。ユーザーが交換不可能な設計でこれはひどい。
2016-10-28 08:06:32別にAppleの肩を持つわけじゃないのだが、松浦さんまで原価厨みたいなこと言われるとちょっとがっくしくるな。部品を交換不可なロジックボードに載せてしまってる時点で、部品のコスト構造が大きく変わってしまうんだよ。交換可能なモジュールベースのコスト計算で比較はできない。 twitter.com/ShinyaMatsuura…
2016-10-29 17:29:19まぁこれはMacbook Retinaのロジックボードの写真(iFixit)なんだけど、両面に部品実装されていて、ノートPCのボードよりも実装密度が高く、むしろスマフォに近い実装密度とサイズになっている。通常なら交換可能なメモリも直接基板に実装されている。 pic.twitter.com/x5kP31WqSw
2016-10-29 17:35:58@tsuchie88 もう少し具体的に教えてもらえますでしょうか。私の考えが及んでいないところがあるなら正しますので。
2016-10-29 17:41:50通常、メモリはDIMMなどのモジュールによって供給されていて、モジュールには複数のDRAMチップが搭載されている。メモリのバンド幅は64bitなので、例えば16bitチップなら4個、8bitチップなら8個使って1個のモジュールを作る。スポットで取引されるDRAMというのはこれ
2016-10-29 17:49:40メモリーモジュールを変えることでメモリ構成を容易に変えることができるのだが、基板実装になると特定のチップを使うことになるので、メモリの選択肢の幅が極度に狭くなる。モジュールを使えば規格に従って基板設計すれば、基本的にメモリの互換性があるから、価格動向に合わせて柔軟に変更できる。
2016-10-29 17:51:56しかも、Macbookの場合基板の面積が小さくて、実装されてるチップの数は2個。バンド幅も64bit品という一般には出回っていないスペシャルティメモリを使ってる。この手のメモリは、需要者が限られるので価格がとても高い。PC向けの一般メモリとは価格構造が異なる。
2016-10-29 17:55:32さらに使用個数が減るということは、チップあたりの容量が大きくなる必要がある。例えば、8GBのメモリ容量を実現するために、DIMMモジュールを使えば16bit品なら4個なので16Gb品を、8bit品なら8個なので8Gb品を使えばいいが、64bit品2個なら32bit品が必要
2016-10-29 18:06:24DRAMチップの容量は、4Gbit品の頃からかなり容量の増加が鈍化している。現在の先端品は8Gbit品。12Gbit品も出てきたが、スマートフォンなど限定的な市場向けでPC向けには降りてきていない。
2016-10-29 18:13:35しかし、メーカーのラインアップには特定用途向けに32Gbit品が並んでいる。これはどういうことか? 端的に言えば、モジュール内でDRAMチップを横に並べて容量を稼いでいるわけだ。つまり、64Bit幅の32Gbit品というのは、実のところ16bit幅の8Gbitチップを4個並べてる
2016-10-29 18:15:46これは非常にユーザーが限定されるアイテムで、代理店が取り扱わず、メーカー直取引でまとまった受注が見込めないと生産してくれないような高コストの商品だ。だから、これをコモディティなDIMMモジュールの価格と比較するのはナンセンス
2016-10-29 18:18:08同じことはストレージ(SSD)にも言える。SSDは、通常NAND Flashメモリとコントローラ、それに付属するキャッシュメモリが載ってるが、MacbookのロジックボードにはNAND Flashメモリチップとメモリしか見当たらない。
2016-10-29 18:22:36チップ1個で128GBの容量を実現していると思うので、チップモジュールあたりの容量は1Tbit。むろんこれくらいの大容量のNANDは量産化されていないので、複数のチップが使われている。NANDの場合は、DRAMと違って積層が可能なので、実際にはチップがスタックされている。
2016-10-29 18:32:0420nmノードから1yノード世代のMLCチップで現実的に量産可能な最高容量は128Gbit品。NANDの積層は、チップを製造後に後工程で紙より薄く削って積層したうえで、ワイヤーボンディングでチップ間を接続する。量産レベルでは16枚、論文レベルでは64枚まで積層できてる
2016-10-29 18:35:35現実には8枚くらいの積層が価格的に現実的だろう。128Gbit品を8枚積層すればちょうど128GBの容量になる。プレーナー構造のMLCで現実的に量産可能なチップならこのあたりが限界になる。寿命をなんとかして(無視するとは言ってない)、3D化するならもう少しいけそうだけど
2016-10-29 18:37:41問題はコントローラー。チップ自体でSSDの機能を果たすには、チップ内にコントローラを内蔵する必要がある。コントローラのような熱源になり、かつDRAMキャッシュも必要となるとかなり特殊な用途向けのFlashモジュールになる。ほとんど特定設計だろう。
2016-10-29 18:39:20さて、ここまで述べてきたのは部品単位の原価の話。ここに加わるのは、セットメーカーとしての組み立て原価の話も重要になってくる。
2016-10-29 18:40:15モジュール単位で供給されれば、モジュールの標準規格に合わせて基板側を設計すればいいので、出荷の直前でオーダーに応じてモジュールを差し替えればいい。しかし、基盤に直付けとなると、基盤単位である程度作りこんでしまう必要が出てくる。
2016-10-29 18:41:45つまり、ある程度ロジックボードを作り置きしておいて、オーダーの変動でモジュール単位で組み合わせて別構成を作るということができないのだ。基本的な構成単位は共通化していても、基盤実装段階で異なるものが必要になるわけだから、生産の柔軟な対応が難しい。ある程度、作り置きが必要になる
2016-10-29 18:43:40これはDELLのようなBTOモデルの会社では非常にやりにくい構成だ。BTOでは、オーダーに応じて構成を変えることで付加価値を生むことができるが、構成変更が基板製造段階にまでさかのぼって別のモノを作る必要があるとなると、ある程度作り置きを行う必要がある。
2016-10-29 18:45:47そうすると、標準的な構成モデルを極限まで絞ったとしても、需要変動に応じてかなりの仕掛を作っておく必要が出てくる。これは、製造メーカーとしては生産期間を短縮したとしても、財務的にはかなりの負担になってしまう。
2016-10-29 18:47:12これがいかに難しいことであるのかは、Intelの実例がある。Intelはサプライヤーとしては大変強大な影響力を持っているが、そのIntelでさえもセットメーカーに対してHaswell以降のチップでLGAの廃止を打ち出したものの、結局は撤回せざるをなかった。
2016-10-29 18:53:27LGAは、デスクトップで広く使われてるソケット規格だが、セットメーカーは基板さえ作っておけば、オーダーに応じてCPUを変更して出荷できる。LGAやmPGAが廃止されると、基盤の製造段階で構成を決めうちしないといけないので、仕掛単価が高い部品を多く持つ必要がある。
2016-10-29 18:55:17これはセットメーカーにとって到底受け入れられない要求だ。セットメーカーの要求もあって、結局IntelはLGAやmPGA廃止の方向性を撤回してしまう。
2016-10-29 18:56:18このように、モジュール化というのはサプライヤーにとってもセットメーカーにとっても、またユーザーにとっても大変大きな利点を生み出してきた。PCがここまで普及するに至ったのは、垂直統合モデルからモジュール化による水平分業のスタイルができたからだ。
2016-10-29 18:59:22