稲川淳二の『つぶやき怪談』(2016.10.31)

稲川淳二 @Junji_Inagawa

朝夕の冷え込みが日増しにつのってきましたが, みなさん、お変りありませんか？

稲川淳二 @Junji_Inagawa

稲川淳二です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

集中豪雨に台風と、次々と異常気象に見舞われた今年の夏も過ぎていって、 深まる秋の頃となりました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

２４年目の全国ツアーも、１０月２８日深夜から２９日早朝にかけての、 オールナイト公演で最終となりました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

元気に舞台を務められたのは、 ファンのみなさんからの熱い声援のおかげと、 心から感謝でいっぱいです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

嬉しい時間を共有させていただきました。　 ありがとうございました。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

過ぎてしまえば早かったようにも思えますし、 ７月のスタートの頃を思い返すと、遥か昔の事のようにも感じられます。 また、来年みなさんとお会い出来るのが楽しみです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それでは、「つぶやき怪談」そろそろ始めましょうか。 怖ーい噺で、秋の夜長を楽しんでください下さい。 何が起こっても、責任はとれませんけど。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

この話はね、割と想いがあるんですよね。 私の友人でもって、有名な神社の宮司さんがいて、 この人ね、色々話してくれるんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

これはね、その人から、聞いた話なんですよ。 この人が、宮司さんになる前、 先代のお父さんが、ご健在だった頃の話なんですがね。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、その日はって言うと、 そのお父さんの宮司さんの方は、自分の家に畑があるもんですからね。 そっちへ仕事へ行ってたんですよ、畑に。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

それで私の友人、今の宮司さんね。 その彼が、有名な神社ですからね、人形を供養するって言うか、 奉納する、その人形の片付け、頼まれてた訳です。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

やっているとね、 トントントントン… って、肩を叩かれたって言うんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

（ん？） と思って、 ひょっと見るとね、中年の女の人が立ってる。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

「何か、ご用でしょうか？」 「あの、私の話を聞いていただけますか？」 「はい、良いですよ」

稲川淳二 @Junji_Inagawa

って言って、手を休めてね、 その人の話を、聞き始めたんですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

その女性が言うにはね、 この話は戦争中の話なんだそうですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、その話というのはね、 戦争中に、若い父親と若い母親、幼い娘と、お婆ちゃんの、 四人の家庭があったそうです。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

大変貧しかった。 でも、非常に仲の良い家庭だった。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

ある日、お婆ちゃんが留守番になって、 それで、お父さんとお母さんと幼い娘でもって、町へ買い物に行った。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

買い物と言ったって、別に、贅沢な物、買う訳じゃないんだ。 生活に必要な物だけ、買いに行った訳ですよ。

稲川淳二 @Junji_Inagawa

雑貨屋に入った。 ヒョッ と見たらばね、奥の棚に、見るからにさ、 場違いな感じのする人形が一体、 ポン と置いてあった。