衆院予算委における岡本行夫氏の公述と防衛関係費の増額について

2/22の衆院予算委で岡本行夫氏が公述したことは、日本の外交・安保の抱える根本的な問題点を指摘しており、正に至言である。特に防衛関係費の減少という異常事態の是正を提言したことは良かった。Military Balanceのデータに基づく私の「穏健な提案」では、日本は防衛関係費を1.55倍に増額すべきである。
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fj197099 @fj197099

2/22の衆院予算委公聴会における岡本行夫公述人の公述(http://bit.ly/h4XnrW)を聞く。正に至言。日本外交と安保政策の抱える問題点が実に的確に指摘されている。私が常々感じてきたことと問題意識が同じであるので、殆ど何も付け加える必要を感じないほどである。

2011-02-22 23:12:46
fj197099 @fj197099

特に安保に関心を持つ立場としては、防衛関係費増額の提言が最も重要な話であると受け止められた。言うまでもなく日本の防衛関係費は近隣諸国及び世界全体が軍拡を進める中でただでさえGDP比で僅かなレベルに止められているものが逆に減少するという国際的に見れば異常な状況にあるのである。

2011-02-22 23:14:16
fj197099 @fj197099

そのデータについては過去に何度か取り上げた。が、ここで再度取り上げるのも良いであろう。国際比較の観点からは対GDP比での国防費が適切とされるが、2010年の英国IISS発行のMilitary Balanceによれば、最新(2008年)時点での世界平均は2.56%となっている。

2011-02-22 23:16:37
fj197099 @fj197099

主要国を挙げれば米国4.88%、ロシア2.41%、英国2.28%、フランス2.35%、中国1.36%である(ただし中国は軍事費が不透明なので推計に過ぎず信頼性は低い)。地域(いずれも平均)で見れば米国を除くNATO諸国が1.65%、中東が4.71%、南及び中央アジアが2.42%、

2011-02-22 23:20:44
fj197099 @fj197099

東アジア及び大洋州が1.44%、中南米が1.35%、サブサハラのアフリカが1.24%となっている。それでは日本はどうか。驚くなかれ0.93%に過ぎない。単純比較しても日本の安保がいかに4.88%を支出する米国に「ただ乗り」しているかが分かろうというものだ。韓国でも2.6%である。

2011-02-22 23:23:46
fj197099 @fj197099

客観的な標準を言えば東アジア及び大洋州の国防費の対GDP比の平均は1.44%なのであるから、最低でもその水準の支出は行わないと諸外国との均衡が図れないという結論になるであろう。これはつまり防衛関係費を1.44/0.93=1.55倍にせよということである。これでも穏健な提案である。

2011-02-22 23:26:16
fj197099 @fj197099

仮に日本が米国の同盟国として軍事力の整備に極めて消極的であるとされる欧州のNATO諸国並みに防衛関係費を増やすべきだとしよう。すると目指すべきは1.65%である。このシナリオでは防衛関係費は1.65/0.93=1.77倍にする必要が出てくる。その程度でようやく「人並み」である。

2011-02-22 23:29:34
fj197099 @fj197099

あるいは全く無関係にやや乱暴ではあるが世界レベルで物事を考えたとすれば、目標値は2.56%となる。この場合は2.56/0.93=2.75倍の支出が求められることになる。無論、これは世界レベルの平均値に過ぎず何の根拠もない数字だが、日米同盟解体の際の防衛支出の最低限の目安であろう。

2011-02-22 23:31:59
fj197099 @fj197099

国際的なスケールで見れば日本の防衛関係費は明らかに異常な状態にあることは疑う余地がない。世界で最も軍事的な脅威に囲まれた場所にある国家が世界で最も少ない比率の防衛支出しか行っていない。日本国内の空想的平和主義の影響なくして考えられない異常事態なのである。専門家は知っている事実だ。

2011-02-22 23:34:36
fj197099 @fj197099

そこで私は極めて穏健な提案をしたいのだが、日本はせめて東アジアと大洋州の平均並の防衛支出は最低限行うべきだと思うのである。つまり防衛関係費を現行の1.55倍にする事を目指していくべきだ。同種の提案はかつて佐々淳行氏も新聞紙面で行っていたと記憶する。最低限の努力としての数字である。

2011-02-22 23:37:04
fj197099 @fj197099

勿論、日本が今なお(閣議決定では廃止されているのに)防衛費の対GDP比1%枠の亡霊に拘束されているのと同じように、数字を述べるとそれが一人歩きするので危険である。1.55倍にすればそれで安心だという数字では決してない。1.77倍でも米国の同盟国としては低い数字なのである。

2011-02-22 23:39:31
fj197099 @fj197099

だから1.55倍はあくまでも最低限の数字としてイメージして欲しい。米国はNATO諸国には最低GDP比2%の支出を求めている。この場合には2/0.93=2.15倍の努力が求められる。英国は最近の大軍縮で国防費を8%減らしたが、それでもGDP比2%の水準は維持しているのである。

2011-02-22 23:41:56
fj197099 @fj197099

2008年度の防衛関係費は4兆7426億円である。仮に1.55倍の努力をするなら、これが7兆3510億円になる訳だ。1%の消費増税で2兆円の増収という試算が正しいかどうかは知らない。だが、これが事実なら防衛費1.55倍の増額はわずか1%超の消費増税で賄えることになるわけだ。

2011-02-22 23:46:39
fj197099 @fj197099

この「穏健な提案」を将来の日本政府が受け入れる可能性は低いと自分でも思う。しかしだからといって問題を指摘しない訳にはいかない。岡本氏が来年度の正面装備費の1000億円増を求めたのは実に控えめな要求だといえよう。岡本氏自身、この程度では焼け石に水だとは良く分かっているはずである。

2011-02-22 23:48:48
fj197099 @fj197099

岡本氏が公述したように、また私も以前触れたように、昨年の防衛大綱改定は「基盤的防衛力」構想から脱却して脅威対抗型の「動的防衛力」構想を採用したことは戦略面で評価できる。しかし問題は予算の裏づけが存在しないことだ。防衛関係費の大幅増額がなければよい戦略も絵に描いた餅であろう。

2011-02-22 23:51:08