茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1935回「人格には正解がない」

脳科学者・茂木健一郎さんの11月2日の連続ツイート。 本日は、感想です。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1935回をお送りします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2016-11-02 07:20:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

人間が「人工知能」をつくることの意味は、一つの「鏡」のようなもので、自分自身を理解したい、という衝動のようなものかもしれない。人間の「知性」の本質とは何か。人工知能が人間を凌駕しつつある今、私たちは理解したが、同時に優位性を手放した。

2016-11-02 07:21:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

「知性」がコモディティティしていく今、焦点が当たりそうなのは、感性や、パーソナリティ(人格)である。感性については、かつて、ホリエモンが、「ワトソンがレシピをつくっても、それを食べてうまいと思えるのは人間だけだ、ざまあみろ」という名言を吐いた。

2016-11-02 07:23:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

人格は、いわゆるビッグ・ファイヴ(開放性 Openness、誠実性 Conscientiousness、外向性 Extraversion、協調性 Agreeablness、神経症的傾向 Neuroticism)で記述されるが、興味深いのは、「正解」がないことである。

2016-11-02 07:24:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

「知性」には正解がある。問題には答えがあり、命題には証明がある。最適化は、関数が与えられれば、パラメータ空間の中で正解がある。将棋や囲碁は、次の最善手という最適解を求める試みである。しかし、人格には、そのような最適化、正解がない。

2016-11-02 07:26:22
茂木健一郎 @kenichiromogi

たとえば、外向的な人は、内向的な人に比べて、コミュニケーションなどの点で有利で、望ましいように思われるけれども、実際には内向的な人にはそのユニークな意味がある。内向的な人にしか気づけないことや、そのような人にしか担えない役割がある。

2016-11-02 07:28:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

神経症傾向(neuroticism)は、くよくよ悩んだり、迷ったりすることで、通常は困ったことのように思われるけれども、実際には神経症だからこそ、できることもある。たとえば、映画監督のウディ・アレン。

2016-11-02 07:29:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

ウディ・アレンは明らかに神経症的で、その映画は、そのような傾向を全面的に出したものだけれども、だからこそ表現できること、描ける物語がある。実際、ウディ・アレンの映画は、その神経症的傾向の一つの果実であるとも言える。

2016-11-02 07:30:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

進化の過程で、さまざまな性格的傾向の多様性が残ってきたのは、それぞれの性格に意味があったからだと考えられる。性格には正解がない、多様性こそが大切なのだ、ということを心にしみこませて、自分自身のユニークな人生を送りたい。

2016-11-02 07:31:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1935回「人格には正解がない」をテーマに、8つのツイートをお届けしました。

2016-11-02 07:32:37