【ドボク鎮守府】審判の日 ~ニューヨークへの道~

あそこは老人のための国ではない 若者たちが互いの腕に抱かれ 樹々には小鳥がさえずっている 彼らもやがて死にゆく者… 続きを読む
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まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

我々はたとえいかなる境遇にあろうと どこにいようと 人は決して死ぬものではないという気持ちで生きなければならない ナジム・ヒクメット「生きる事について」 英BBC「THREADS」 より #ドボク鎮守府 pic.twitter.com/NIBBfxbphl

2016-11-05 23:06:21
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まとめ 【ドボク鎮守府】審判の日 ~もう、大切な人を失いたくない~ ドボク・ワールドの地球。 我々の住む惑星とは非常に似て非なる惑星。その星で起きたカタストロフィとそれに立ち向かう艦娘達を描くシリーズです。 今回は衣笠が主人公となります。 審判の日シリーズのまとめはこちら↓になります。 ドボク鎮守府 【この悪しき海で】編まとめ - http://togetter.com/li/729353 5547 pv 49

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「審判の日あらすじ」 放射能汚染は確実に人類・艦娘を根絶やしにする 1999年10月 深海棲艦が密かに打上げた攻撃衛星により勃発した反応弾(核)戦争 米国にも推定百メガトンの反応及び生物兵器が落とされ、爆発・爆風・熱線により一瞬にして大量の市民・機械娘が死亡した… #ドボク鎮守府

2016-11-05 22:59:46
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あらすじ2 そして生き残った人々や機械娘らに待っていたのは、致死量の放射線が降り注ぎ、飢え、寒さ、伝染病が蔓延し妖精すら死に絶える地獄だった。 忍び寄る絶滅戦争の恐怖。 深海生物と化す奇病に見舞われた絶望の米国…。 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:03:14
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反応弾が落ちたNY。そこにいる青葉との再会を目指し 消防艇と知り合った重巡衣笠は大陸を東へと向かう…。 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:04:04

水が切れた筒先

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消防船と軍艦が東を目指す。 船なので道路を行くより川に降りて航行する方が疲労も燃費もよい。 問題は北米大陸中央を流れる川は北から南への流れしかないことだった。 おかげでかなりの迂回と陸路移動を強いられた。 放射性降下物の白い雪は、地域によって多さが違っていた。 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:07:07
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消防船の前に衣笠が立ち警戒しながら運河を「乗り継いで」ゆく。 運河沿いを航行しているとき、スーパ-マーケットが燃えていた。 その前には一台のポンプ車。 アメリカらしい白に赤の派手な消防車娘が、水が出ないホースの筒先を持ち立ち尽くしているのが見えた。 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:11:30
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消防艇ハーヴィは堪らず運河から陸へ駆け上がり、ポンプ車娘に駆け寄った。 「アンタ、水が出ないのか?うちのポンプ貸してやる。運河から送水してやるから」 ポンプ車は憔悴しきった顔で答える。 「運河の水をポンプで入れた仲間…。艤装が真っ黒になって火の中へ…」 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:17:16
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「なんだね、それは…?吸水ホースにゴミよけの籠つけなかったのか?」 「当たり前だ、付けてたさ。水に何か汚染物質が混じってて、みんなおかしくなっちまって…」 銀のヘルメットを外して汗まみれの髪の毛を顔に張り付かせたポンプ車の顔。 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:23:39
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最初は消火栓から放水していたのだが、水圧の低下で運河からの吸水に切り替えたという。水道の水圧と違い、己の心臓に負荷がかかる河川等からの集水は効率が悪く長時間の現場には向いていない。 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:27:02
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まして国土全体が燃え盛る戦場と化した今では燃料供給すらおぼつかない。署の備蓄だってギリギリだった。 後に、日本の消防当局はこれを鑑みて、供給用のポンプや給油ガンを備えた燃料供給車を多数導入する事になった。私の報告書が役に立ったらしい。 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:31:04
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炎を噴き上げるスーパーはだいぶ火勢が衰えたとはいえ、延焼の危険があった。 放水を諦めて、消防署員らと協力し店舗の背後にあった林を消防斧で切り倒し、駐車場の車両は、衣笠と店の倉庫係のカウンターフォークが力を合せて持ち上げて退けた。 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:35:24
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商品はだいぶ駐車場に逃がしたらしいが、次々に訪れた市民らにより盗まれていった。僅かに残った数人の店員は盗まれてゆく品々を傍観していた。 「もういいんだ…銀行も全部ダメになった。取引さえできん。この商売はもうダメなんだ」フォークリフトは爪を地面に下ろし力なく呟いた。 #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:38:20
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「もう、この現場は彼らに任せよう…。うちらの燃料もある」 現場対応をあらかた終えた私たちは運河へ戻った。 消防艇は自慢のポンプが使えないのが悔しそうだった。 しかし河川に汚染物資?消防車達が飲み込んだら直ぐに発狂? 川上に生物か化学兵器兵器工場でもあるのだろうか? #ドボク鎮守府

2016-11-05 23:52:03
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反応弾攻撃による熱線で生じた火災は3日経っても爆心地から遠く離れた周辺の小さな町や村を舐め尽くしていた。 煙や炎が舞う現場の脇を運河で通りかかるたびに、ハーヴィは使命感に燃えて放水銃と消防斧を両手に持ち駆け寄っていたが20件の現場を数えた頃から彼女は諦めた。 #ドボク鎮守府

2016-11-06 00:17:41
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「キリがないな…」「もう見かけても行くのはよそうよ。ニューヨークにたどり着くまで体やあなたのポンプも持たない」 消防艇は艤装を隠すように緑の防水カバーで覆った。 ヘルメットも外した。 助けを求められても、手を出す余力はもうない。 「消防船なのにな…ちくしょう」 #ドボク鎮守府

2016-11-06 00:21:47

深海へといたる病

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ある川の桟橋で休憩中、農民達と避難道具を満載した艀と曳船に出会った。 「ヒューストンに、この人らを連れていくんだ」 艀娘はもやいを桟橋のピアに結びながら答えた。 艀のヘリに座る子供らはまだ元気そうだが大人たちは薄暗い表情だった。 #ドボク鎮守府

2016-11-06 00:51:31
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

「馬鹿な!ヒューストンはキューバの対岸だし、爆撃されているかもしれないんだ。よしたほうがいい」 「村に留まらないの?危ないよ」 ハーヴィと私の質問に曳船が答えた。 #ドボク鎮守府

2016-11-06 00:54:03
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

「深海の糞どもが反応弾を落としたのは聞いている。でもテレビも保安官への電話も通じないんだ。しかもスーパーの食糧もトラクターの燃料もねえ。都会に行くしかない。しかも近くの森に変な爆弾が落ちて、黒いガスが出まくって病人がたくさんなんだ…。村を棄てたんだよ、うちらは!」 #ドボク鎮守府

2016-11-06 00:54:46
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

反応弾が落ちた後に農村部の反応は二つに別れた。 窓を固く閉ざし道に自動車などのバリケードを築き、よそ者に銃口を向けた村。 全くの情報と生活必需品が入ってこなくなり、パニックになって都市部を目指した村。 #ドボク鎮守府

2016-11-06 00:59:44
まも(C102お疲れさまでした) @Kojimamo

「日本はダイジョブなのか?東京のヨコタベースに息子が居るんだ」 50代の男性が私が日本のフネだとわかると、すがる様に訪ねてきた。 「すいません…。ええと、連絡が本国とつかないんです。無線が壊れてしまいまして」 私が喋ると妖精は黒板に英語で口述翻訳して伝えてくれる。 #ドボク鎮守府

2016-11-06 01:04:13