「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

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GMBO2008 @GMBO2008

旧世界の同じ砂を噛むような歌と絵に何度も何度も食い尽くされたほうがずっと幸せだろうということを。そして、すべての新しい歌い手とすべての新しい画家たちから、黒いかつらをつけた裁判官と同じたわごとを聞かされるだろうということを。 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-11-16 09:21:59
GMBO2008 @GMBO2008

この鉄格子が崩れ去ったずっとあとで、連中は鉄格子を歌い直し、描き直し、あんたがたとあんたがたのものを永久に監禁し、上機嫌で歌い描くーー下等だ!下等だ!下等だ! 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-11-16 09:22:26
GMBO2008 @GMBO2008

図書館の検索用PCにタスマニアと入力したら出てきた本 面倒くさい文体 2、3行で投げ出そうかと思ったが、我慢して10ページほど読んだらリズムが掴めてきた 醜悪で残酷で下劣なお話 タスマニアは決して桃源郷ではない、なかったということ あるいは、桃源郷とはこういうものだということか

2016-11-16 09:31:35
GMBO2008 @GMBO2008

こういう本が賞をもらって一定の読者を得ている これは豪州にとっての起源神話なのかもしれないと思った 「古事記」みたいなもの 醜悪さや下劣さは、それに似合ったもののようにも思えてくる しかし、初めから書かれてある「神話」とは それは豪州という社会の特殊性を示しているともいえる

2016-11-16 09:47:05
GMBO2008 @GMBO2008

こういう本と遭遇するのは、本を読む楽しみの一つ

2016-11-16 10:14:42
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魚になること、物語になること。(『CUT』2005 年 8 月) 山形浩生 cruel.org/cut/cut200509.…

2016-11-18 19:45:42
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「国家などなんだというのだ?」と司令官が外科医に問いかけた。たわんだ妙な高い声で、古い格言のようにくり返す。「交易をする船と人がいなければ。軍隊で通じる言葉でなければ、言葉などなんだというのだ。物の由来を語れなければ、言葉の技など何ほどのものだというのだ?」 「グールド魚類画帖」

2016-11-22 23:22:25
GMBO2008 @GMBO2008

彼らは信じがたいほどに愚かだが、力があり、ともかくも彼らの愚かさと力は、追跡屋マークスが思うに、ほどけないほどに結びついている。だがどうやって?と、彼はカポア・デスに尋ねた。 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-11-23 23:45:44
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いったいどうやったら力と無知が添い寝できるんだ? その質問に、カポア・デスは答えられなかった。 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-11-23 23:47:02
GMBO2008 @GMBO2008

「グールド魚類画帖」を読んでいて、なんかどこかで既視感のようなものを感じていたのだが、それは「神々のたそがれ」じゃないかとさっき思いついた

2016-11-24 20:04:32
GMBO2008 @GMBO2008

この妄想が裏づけられたとやつが確信したのは、ヨルゲン・ヨルゲンセンから借りたカバラ主義者の古い冊子のなかに、(続く 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-11-24 23:32:04
GMBO2008 @GMBO2008

〈イエス・キリスト〉〈神の子〉〈救世主〉の意のギリシャ語の頭文字ーーich-th-ysーーを組み合わせると、「魚」の意のギリシャ語ーーichthysーーと同じになるという説を発見した時のことだ。 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-11-24 23:33:10
GMBO2008 @GMBO2008

おれは神で、膿で、おれだったものは"あんた"で、"あんた"は神聖で、"あんた"の足、"あんた"の内臓、"あんた"の恥丘、"あんた"の腋の下、"あんた"のにおいと"あんた"の音と味、"あんた"の堕落した"美"、 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-11-29 23:08:16
GMBO2008 @GMBO2008

おれは"あんた"の心象のなかで"神聖"で、おれは"あんた"で、おれはもうこの広大な陸地を思い焦がれてはいなくて、なぜどんな言葉も、おれがどれほど傷つき、痛み、別れを告げているか語ろうとはしないのだろう? 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-11-29 23:14:51
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彼女の顔をのぞき込むほどに、彼女の顔や、美とはこういうものだとか、ここに美が宿っているんだとかいうおれ自身のからっぽで不毛な理解とはなんの関係もないことがますますわかってきて、 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-12-07 21:03:39
GMBO2008 @GMBO2008

間近にある彼女の目を探すほど、彼女ははるか遠くにいて、漂いながらおれからどんどん遠のいていき、おれに対して、頭を転がし、髪を引っぱり、残された力で応え続けることだけを要求していることがますますわかり、 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-12-07 21:04:17
GMBO2008 @GMBO2008

せり上がってうねるなめらかな腰が、おれを永遠に難破させようとしているこのうえなく激しい嵐のようにおれを翻弄し、おれたちの下ではストライプト・カウフィッシュがゆっくりと溶けていき、消えかけた埃っぽい色の汗ばんだ染みになっていった。 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-12-07 21:04:53
GMBO2008 @GMBO2008

「ブレイディーはあんたのことも手にかけるぞ、ムシャ。ブレイディーはあんたを縛り上げてな、ムシャ・バグ、こぶだらけの球袋みてえな図体縛り上げて、薄汚ねえ口に猿ぐつわかませて、水に沈めんだ。涙浮かべて、五尋の深さで平べったい魚と仲良しになるまでよ」 「グールド魚類画帖」 フラナガン

2016-12-09 19:23:19
GMBO2008 @GMBO2008

おれはウィリアム・ビューロウ・グールド、おれの名は歌で、人はどんなふうに口ずさむだろう。カタコト、トントントン、お絵描きしてもただ同然、びりっこビリー・グールド、シーホースに乗ってバンベリークロスへ…… 「グールド魚類画帖」 リチャード・フラナガン

2016-12-11 00:44:31
GMBO2008 @GMBO2008

フォークナーで言うと、本書の執筆にインスピレーションを与えられた作品として、「死の床に横たわりて」が、カフカの「審判」とともに挙げられている。 「グールド魚類画帖」訳者あとがき 渡辺佐智江

2016-12-11 00:53:48
GMBO2008 @GMBO2008

フラナガンの小説では恐怖政治の残虐性や愚かしさを自在にフィクシャスに誇張したり状況を揶揄して書かれているかのように読める場面でも、実に驚くほど史実に忠実な場合が多く、衝撃を受けた。 「グールド魚類画帖」訳者あとがき 渡辺佐智江

2016-12-11 00:54:44
GMBO2008 @GMBO2008

「グールド魚類画帖」読了 堪能しました 堪能したといえる読書はいつ以来だろうか 中上の「軽蔑」か そう挙げてみると、嗜好の意外な一貫性に気付く

2016-12-11 01:01:19
GMBO2008 @GMBO2008

そこで描かれている世界、風景は、この春に垣間見てきたものとは随分違うものだ 時代の違い以上のものがある それでも、自分が見てきたものを時折思い浮かべながら読み進んだ それも、その土地を歩き、空気を吸ってきたからこそだと思う

2016-12-12 12:21:29
GMBO2008 @GMBO2008

リチャード・フラナガンは一昨年ブッカー賞を受賞していたんだな The Narrow Road to the Deep North’ 「奥の細道」 来年日本語の翻訳が出るらしい shinhito41.exblog.jp/23127421/

2016-12-16 18:43:27
GMBO2008 @GMBO2008

「グールド魚類画帖」と「夷酋列像」はどこかでつながっている

2016-12-16 19:15:30