茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1951回「『シン・ゴジラ』は日本における政治コメディの誕生を告げるか」

脳科学者・茂木健一郎さんの11月25日の連続ツイート。 本日は、感想です。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1951回をお送りします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2016-11-25 07:33:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

日本のメディア状況を見ていて、いちばん残念なことのひとつは、「お笑い」が「ぬるい」ことだろう。特に、政治コメディの伝統がないことは、民主主義国家として、致命的な欠点だということすらできる。

2016-11-25 07:34:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

アメリカの例で言えば、Saturday Night Live, The Late Show, The Daily Show, Last Week Tonight など、主なものを上げるだけでこれだけの、その時々のリアルな政治問題をコメディにする番組がある。

2016-11-25 07:36:51
茂木健一郎 @kenichiromogi

ホストが、その時々の政治ネタを風刺する番組に加えて、フィクションとしての政治コメディもある。最近では、女性副大統領を主人公にしたVeepが傑作で、これは現在日本でもhuluで見ることができる。 hulu.jp/veep

2016-11-25 07:38:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

Veepを制作したのは、 Armando Iannucci @Aiannucci。英国で、政治コメディの古典的傑作、Yes, Ministerの現代版として制作されたThe Thick of It imdb.com/title/tt045915… があり、その米国版として制作された

2016-11-25 07:40:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

すぐれた政治コメディは、その時々の政治的対立点のど真ん中を、鋭くつく。なぜそのようなコメディが民主主義に不可欠な装置かと言えば、笑いに必要なメタ認知は状況を客観的に見ることに資するし、ともすれば硬直化しがちな議論をやわらかくしてくれるからである。

2016-11-25 07:41:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

日本の、特に地上波テレビにおける「笑い」が、芸人仲間同士の空気の読みあいや、先輩後輩どうしの内輪ネタ、配慮のしあいに終始していることは、日本の民主主義の醸成という視点から言えば致命的な「失われた機会」だろう。テレビはそんなもんじゃないだろう。テレビ関係者の奮起を期待したい。

2016-11-25 07:43:26
茂木健一郎 @kenichiromogi

ところで、今年大ヒットした「シン・ゴジラ」には、ゴジラ登場に対する官僚機構の対応のあたふたぶりに、すぐれた政治コメディの萌芽が見られて、私は注目している。現実のお役所の硬直ぶりを、あのような形で笑いにするのはとても素敵である。

2016-11-25 07:44:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

日本にすぐれた世界水準の政治コメディが誕生するとしたら、いろいろしばり、制約があり、またぬるい「お笑い」が主要な商品だと思いこんでいる「文化」のある地上波テレビよりも、「シン・ゴジラ」のような映画においてかもしれない。今後のそのような発展に大いに期待している。

2016-11-25 07:45:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1951回「『シン・ゴジラ』は日本における政治コメディの誕生を告げるか」をテーマに、8つのツイートをお届けしました。

2016-11-25 07:46:33