篠房六郎さん、映画「この世界の片隅に」を語る

漫画家の篠房六郎 @sino6 さんが、アニメ映画「この世界の片隅に」(片渕須直監督作品, 2016年)のいったい何が観客の心を動かしているのか、その“感動”の質について、TV「スタートレック」シリーズ中の1エピソードを補助線に語っています。  →▼篠房六郎 - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AF%A0%E6%88%BF%E5%85%AD%E9%83%8E  →▼スタートレック - Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF  →▼Star Trek: U.S.S. Kyushu - TNG Episode Guide (No.125 "The Inner Light") http://www.usskyushu.com/guide/tng125.html 続きを読む
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2016年11月12日

映画『この世界の片隅に』&映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公式 @konosekai_movie
おはようございます!本日公開! 朝日新聞朝刊に『この世界の片隅に』すずさんが中面1Pいっぱいに登場!全国版で掲載されています。映画館でみなさまのご来場お待ちしております! #この世界の片隅に pic.twitter.com/RPxYWJL0IZ
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篠房六郎 @sino6
この世界の片隅に、初日の立川シネマシティは激混みで席の確保も困難。困難だけど嬉しいねえ。
篠房六郎 @sino6
この世界の片隅に、上映の終盤からすすり泣く声があちこちから聞こえ、終わった後には観客から多くの拍手が響いた。上映後の拍手を目撃したのは「エヴァンゲリオン破」と「シン・ゴジラ」以来。興行面での成功はこれでもう心配は無しと見た。
篠房六郎 @sino6
この世界の片隅に、客層は男女が半々くらいだったけど、内容からしてもっと女性客が増えてもいいと思う。普段映画に行かないような、フツーのOLさんとかがこれからどんどん口コミでやって来て、映画が盛り上がってくれますように。

  
2016年11月26日

篠房六郎 @sino6
この世界の片隅に、原作既読で話の展開も何もかも知ってるのに、映画を見てて、終盤になると、もう自然と目から不覚汁が出まくった、要するにそのつもりは全くなかったのに、涙腺がバカみたいになって号泣が止まらんかった
篠房六郎 @sino6
特にヤバかったのが、映画の最後も最後、作中で色々あったすずさんが 自分のお家に帰るシーン、終戦直後の呉の夜景が綺麗で綺麗で、そこでもう、たまらんかった、ジョバーと顔から変な汁が出て汚い汚い中年のふやけ顔が出来上がったわけですよ
篠房六郎 @sino6
これは他人に説明し辛い、別に誰かが死んだわけでも、感情移入してた誰かの、愛や夢が実った瞬間を見たからでもない、ただ夜景がきれいな中を、すずさんというごく平凡で普通の人が、ただフツーに帰ったのを見た、それだけで号泣した。これでは訳が分からないし、共感もされないだろう。
篠房六郎 @sino6
自分でもその感動がどこから来たのか分からず、今迄迂闊に感想を書けなかったのだが、ある別の作品の事を思い出して、ようやく自分の中で整理がついて得心した
篠房六郎 @sino6
この世界の片隅に、はスタートレック(TVシリーズ)のある1エピソードと(あくまで自分の中で)共通するものがあったのですよ。見たのがもうウン十年前で、しかも途中から偶然見たので、うろ覚えで、細部は多分違うんだろうけど、それは大体こんな話

  

篠房六郎 @sino6
ピカード艦長が、かつては人類が存在してた痕跡のある、今は無人の惑星を探索している最中に、遺跡から何らかの精神攻撃を受けて昏倒する。他の乗員はエンタープライズ号に艦長を運び込んで治療にあたるが、艦長は一向に目を覚まさない。
篠房六郎 @sino6
その時艦長は夢を見ていた。自分はふとした事故でエンタープライズ号からある惑星に不時着し、そこで介抱されしてくれた家族と仲良くなり、その一家の娘と結婚する。「艦長を辞めた事をあなたは後悔してないの?」と聞く妻に艦長は「いいんだ、今は君がいるから」と笑顔で答える。
篠房六郎 @sino6
その夢はピカード艦長が、もし今とは違う別の人生を選んでいたらという、可能性そのものだった。子が生まれ、成長し、孫が生まれ、妻とも死別。艦長はすっかり老人となるが、その時その惑星には重要な問題が発生した。環境汚染が進み、惑星自体人類が住むには適さなくなってしまったのだ。
篠房六郎 @sino6
そこで惑星の全住民にで宇宙船に乗って別の惑星に移住することが合議で決定される。しかし老人となった艦長は、その宇宙船に乗ることを拒み、その惑星と共に死にたいという願いを、自分の家族に訥々と話す。黄昏の中おびただしい数の宇宙船が飛び立ってゆくのを、地上から目を細めながら眺める艦長
篠房六郎 @sino6
その時、死別したはずの妻を含む、今迄その惑星で親しくなった仲間達が皆、何故か自分の周りに立っていて、艦長はこれが夢であったことに初めて気が付く。「君達は、一体…」呆然とする艦長の頬に妻が手を当てて答える。「これが、かつてこの星で本当にあったこと。どうか私たちを、忘れないで」
篠房六郎 @sino6
そこで艦長は目を覚まし、エンタープライズ号の乗員は歓喜する。しかし艦長は未だに自分の状況が受け入れられず釈然としない。そして一人になった時、見覚えのある横笛があるのに気が付く。それは乗員の一人が興味本位で無人惑星から持ち帰った過去の住民の遺物だった。
篠房六郎 @sino6
艦長はその横笛を愛おしそうに手を取ると、その惑星で覚えた懐かしい曲を 暗く広い宇宙船の中、一人奏でるのであった。

  

篠房六郎 @sino6
と、これを見た確か大学生当時、自分でも抑制できない程に号泣した。確かにそこに誰かの人生があった」と信じられたこと、そこで同時に襲って来た強烈なノスタルジー、そしてそれが同時に単なる幻であると完全に分かっている事、それらが全て波状攻撃のようにやって来て自分の心をぐちゃぐちゃにした
篠房六郎 @sino6
幻だったことは分かってるでもあれは誰かの人生だったし、それは今や自分の人生の一部でもある」という不思議な感覚はいまだに、かつてない体験として自分の中に残っている。その時の感動がまさしく、この世界の片隅に見た後とそっくり同じだったのだ。

  

篠房六郎 @sino6
町山智浩さんの評から、今回の映画版はとにかく、過去の広島の再現度、作り込みがハンパないと聞き、原作は既読だったのでストーリーは置いといて、そこらへんをまずは一番の楽しみに見にいったのだが、そーいう俯瞰的で引いたスタンスにあった自分が、成すすべもなく感動して泣いてしまった。
篠房六郎 @sino6
精巧には再現された、かつての広島の姿から感じるリアリティ、そこから否応なしに感じる「今目の前にあることは幻なのは分かってる、でもこれは本当なんだ、本当にあったことなんだ」という実感そのものが、ありえないノスタルジーを自分に喚起させて、胸が締め付けられるような感動へとつながったのだ
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コメント

fuseciba @FUSECIBA 2016年11月26日
#この世界の片隅に あー分かる、誰かにこの映画を説明するためのうまい語彙が見つからなかったので参考にしたい
inazakira @inazakira 2016年11月28日
自分も再現度を聞いて見に行った口。死のエンタメ性低いだよね。すずの物語のオチが明確に描かれないの。それが逆にリアル。「あった」って思えてしまう。
inazakira @inazakira 2016年11月28日
死のエンタメ性低いんだよね。すずの物語のオチが明確に描かれないの。それが逆にリアル。「あった」って思えてしまう。
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