blue　向日葵第三部

あみ @ami_qitt25

175 男の声に振り返り 彼女が何か呟いた…俺には聞こえへん…でも、男は弾かれた様に彼女に駆け寄り ［なんでや？…どうして、…今まで… いや、ええねん、もう、…帰って来たんやから］ そう言って彼女を抱き締めた #向日葵 #blue

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176 俺は見守る事しか出来へんで ただ立ち尽くすしか無かった #向日葵 #blue pic.twitter.com/QJ7orfPu4j

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177 向日葵畑が見えるその家は 元はカフェか何かだったんだろ 普段は人が居ないんだろ 生活感が見られない そこに1歩踏み込んだ瞬間 彼女が懐かしそうに 「…あの日のまま…」 ［ん、あの日のままやよ、お前が帰って来るって信じとったから］ #向日葵 #blue

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178 男が彼女と親しかったのは何となく分かった でも、この男から逃げる為に あんな事した訳やないやろ じゃ、何の為に… 自分の思いに浸っていると 不意に彼女が振り返り #向日葵 #blue

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179 「信五さん、紹介しますね、 彼、章大さん…章ちゃん、彼はあたしを助けてくれた信五さん」 ザックリとした紹介にこの場に合わへんけど、笑ってしまった 『大概、ザックリやな、初めまして 村上と言います』 #向日葵 #blue

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180 ［あ、安田章大です…こいつを助けたって…］ 事の成り行きを掻い摘んで話した その間に勝って知ったる様に 彼女が珈琲を入れてきた その珈琲を一口飲んで ああ、彼女は此処でこの人と暮らしてたんだと理解した #向日葵 #blue

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181 ［…ほんまに、ありがとうございました、貴方が居なかったら…こいつ…］ 『愛してるんですね』 ［え？…］ 『いえ、…何でも無いです』 彼女を見るとびっくりした顔で 俺を見てて…少し俯いて #向日葵 #blue

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182 「…章ちゃん…あたし、帰って来たんじゃ無いの…」 彼女の言葉に俺も彼も… 『え？』 ［え？…なんで…隆平君なら…］ 「うん、知ってる…隆平には会ったから…だから、此処に来たの」 『隆平…君？』 #向日葵 #blue

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183 ［こいつの前の彼氏でそいつから逃げる為に此処に…］ 「章ちゃん、信五さんには何も話して無いの…」 ［え？…何も知らんで…］ 彼女は黙って頷き、俺に向き直って #向日葵 #blue

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184 「信五さん、今まで何も聞かずに居てくれて…ありがとう、よければあたしの話を聞いてくれますか？」 俺は黙って頷いた 彼女の口から語られた話は 衝撃的で…そんなタイミングで 俺が… 言い方は悪いけど、拾ったと… #向日葵 #blue

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185 「だから、何も聞かずにあたしを住まわせてくれて嬉しかった…」 彼女の視線は真っ直ぐ俺を捉えて 「隆平に偶然合って、章ちゃんの話を聞いたの、まだ、あたしを待ってるって…だから、ちゃんとサヨナラを言いに来たの…」 ［サヨナラって…］ #向日葵 #blue

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186 「あたしね、章ちゃんに逃げてたの、 章ちゃんの優しさに…あれはきっと愛じゃ無い…章ちゃんだって分かってた筈…」 そう言われた彼は俯いて ［俺も隆平君と同じやったのかなぁ… 方法はちゃうけど、愛し方を間違ってたんかなぁ…］ #向日葵 #blue

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187 彼女は優しく微笑んで 「章ちゃんはあたしに同情しただけ… それを愛と呼ぶ人も居るけど… あたしね、信五さんと暮らす様になって分かったの、違ったんだって… だから章ちゃんがあたしを忘れてくれる事を願った…でも、」 #向日葵 #blue

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188 ［忘れる訳あらへん…忘れる訳、、］ 俯いた彼から泪が落ちた 「章ちゃん…」 彼女が彼の手をそっと握って #向日葵 #blue

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189 「ありがとう… でもね、あたし…生まれ変わったの… だからね、もう、章ちゃんが心配しなくて大丈夫だから…」 彼が顔を上げて彼女と視線を合わせるとふんわり笑った #向日葵 #blue

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198 『良かったんか？…』 帰りの車の中で彼女は 暫くは気を張って居たみたいだが 高速に乗った時に大きく息を吐いて 俺の問いかけに 「…良いんです、章ちゃんを開放してあげなきゃ…」 『お前は大丈夫なんか？』 #向日葵 #blue

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199 多分泣いてるんやろ 手を伸ばして彼女の手を強く握って 『ええねん、泣いても…』 俺の手の中で彼女の手が震えてる 部屋に戻ってから 彼女が改まって 「信五さん… 今までありがとうございました」 #向日葵 #blue

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200 『いきなりどないした？… 出てく気なんか？』 彼女は俯きながら 「信五さんと出会えて、 良かった…でも これ以上迷惑は掛けれない…」 『迷惑なんかあらへんやん、… 俺は…』 俺は何を言いたいんや… 「信五さん？…」 #向日葵 #blue

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201 『いや、…ええっと、 …お前はどうしても出て行きたいん？』 「え？」 『…自分でどうしたいか分からへん… ただ、お前には居て欲しい…』 彼女は俯きながら 「…でも…、 あたしが居て迷惑じゃ無いの？」 #向日葵 #blue

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202 『迷惑じゃあらへん、 逆に居て欲しいんや…あかんか？』 この感情が何なのか分からへん… ただ、彼女を失うのはあいつを失うのと同じ位苦しいのは分かった 向日葵第3部END #向日葵 #blue pic.twitter.com/HC9OfK8efF

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