- how_howlite
- 615
- 1
- 0
- 0
うちの換気扇が常に動いてる理由なんだけどさ。だいぶ前、ふと換気扇の方を見たら、羽の間の暗闇から、こっちを覗く目を見付けちゃったのね。その目と目が合った瞬間、急いで換気扇のスイッチを入れて。そしたら目も消えたんだけどさ。それ以来、換気扇は常に動きっ放しなわけよ。 #twnovel
2016-10-25 23:34:39帰り道に墓石がある。内藤さん家の墓らしいが、誰なのかは知らない。ある日、誰の仕業か知らないけど、墓石が倒されていた。心無い悪戯をするものだと、倒れた墓石を眺めながら思った。あくる日、墓石は元通りになっており、こんな紙が貼ってあった。『近日、田代さんを追加』 #twnovel
2016-10-26 23:58:07子供の悪戯。ハロウィンに、下駄箱に届いたラブレター。呼び出された場所には、いつも誰もいない。小学校、中学校、高校と続いたから、ずっと自分と一緒の学校に通ってるやつが犯人だ。でも、大学はそうはいかない。このラブレターもついに届かなくなるのか。そう思ってた。 #twblnovel
2016-10-31 02:41:26ハロウィンの当日に、家のポストにラブレターが届いた。消印が無いから、手紙はこの家に直接届けられたのだ。小学校の頃から同じ相手なのだから、俺の家を知っていても不思議ではない。なにより、内容も殆ど一緒だから、同一人物の仕業に間違いないのだ。俺は、安堵していた。 #twblnovel
2016-10-31 02:43:37「あなたのことが好きです。今日の○○時に、××で待ってます」そんな簡潔な手紙だ。もちろん、今回も待ち合わせ場所に行ったところで誰もいないのだろう。本当に、ただの悪戯なのかもしれない。でも、ただの悪戯で、こんなにも長い間、同じことをしていられるだろうか? #twblnovel
2016-10-31 02:45:55特徴的な「て」と「と」を書くお前が、本当は何を思ってこんな悪戯を続けるのか。本当は何を思ってこんな手紙を書き続けているのか。本当は、何を思っているのか。臆病な俺は、待ち合わせ場所でどれだけ待ちぼうけをしたとしても、それを直接聞き出すことはできそうにない。 #twblnovel
2016-10-31 02:50:18「先生がするべきことは、教育者ぶったり大人ぶったりして、『君の感情は憧れや尊敬から来る気の迷いだ』なんて説教じみたことを言って問題を有耶無耶にすることじゃない。僕が好きだから告白を受け入れるか、僕の好意が迷惑だから告白を断るか。イエスかノーか答えることだ!」 #twblnovel
2016-11-15 01:38:28煙草や飴など、口寂しいのを誤魔化す癖がある人は、乳幼児期の授乳体験を本能的に望んでいるという。つまりは、甘えたいという欲求の表れだそうだ。「つまり、俺のこれもそういうこと?」「ミルク違いだろ」男達の下卑た笑い声を浴びながら、口の端に付いた精液を舐め取った。 #twblnovel
2016-11-23 02:01:29夜中にふと目が覚めてしまった。なので、隣で寝ている男を起こさぬようにベッドを抜け出す。股から滴る雫を気にも留めず、台所へ行き、棚から蜂蜜とティースプーンを取り出した。トロトロとした琥珀色の蜜を掬って、口の中へと注ぎ込む。甘い蜜が、痛んだ喉に纏わり付いた。 #twblnovel
2016-11-28 01:11:35本に突っ伏して寝ている姿を見て、呆れてしまった。開きっぱなしで、頭を栞代わりにしている本を、涎で汚れる前に救出する。何を読んでいたのやら、と、タイトルを確認すると、コイツが好んでは読まない啓蒙本だった。そんなに俺と話す話題が欲しかったのかと、笑ってしまった。 #twblnovel
2016-11-28 01:20:25