騎士幼帝（健全ver）

あるみ @alumisorane

良く晴れた視察day、いつもセットの騎士幼帝。世界に愛でられる幼帝だけど、命知らずに罰当たりな暗殺者はどこからともなく湧いてくる。そんな時は抱っこしていた主を上空に打ち上げるオブゼロ、一切の迷いなし。流れる体捌きで暗殺者を倒して、幼帝キャッチ。この間わずか数秒、まさに人外。

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そんなわけで５ｍ超をまっすぐ打ち上げられちゃった幼帝陛下、状況が全くわからなくて首をこてん。ようやく上昇が止まって一瞬の滞空、そこから容赦なく襲う落下感。幼い体が未知の感覚に恐怖する。「ルルーシュ、終わったよ」難なくキャッチするオブゼロは平然としたものだけど。「…ルルーシュ？」

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呼吸すら忘れて硬直している幼帝に、オブゼロの顔色が変わる。ぺちぺちとましゅまろほっぺを叩いて抗議。「ちょっ、息！息して！なんで君、僕に勝手に死のうとしてるの!?」小さな肩を大きく揺さぶって、やっと表情がひくっと動いて。「…ぅ…ぁ、あぁあぁぁーん!!」「しかもなんで泣くんだよ!?」

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「すぁ、すぁぁーっ!!」「あぁあもう！ルルーシュ、もう大丈夫だから泣くなって、な？」そのまま視察も暗殺犯も放って慌ただしく車に乗りこみ、皇宮に戻る騎士幼帝。必然的に後を任された兵たちは微妙な空気。「…あれはないな」「大人でも泣くわ」「わからない方がわからん」陛下にめっちゃ同情。

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私室に戻ってもまだぐずついている幼帝に、さすがのオブゼロもソファにぐったり。「怖かったんだ？」「…ん」「ごめん」騎士の腕の中でもぞもぞ動いて、ようやく顔を上げる幼帝、真っ赤な目でオブゼロを見つめる。「すぁ」「うん」「め」「そうだね、僕が悪かった。ごめん」結局らぶらぶ。

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「ルルーシュ、起きた？」「…ぁー…」掠れた痛々しい声に、オブゼロが心配そうに眉をひそめる。「熱を出したんだよ、君。式典の準備で疲れたが出たんだろうって」優しく頭を撫でるオブゼロの手にすり寄るようにして、幼帝がまた小さく声を洩らす。「万事滞りなく、陛下。後は君が元気になるだけだよ」

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赤ちゃんはすぐ熱出すから、オブゼロも手慣れたもの。まめまめしく看病する。幼帝は時々オブゼロの指をぎゅっと握るんだけど、ぐずったりしないでおとなしくしている。「…ルルーシュ？」「…」「こういう時こそ泣いていいのに。まったく君はどうしようもないな」泣き言も言わないんだよ。

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「食欲は？」「ぅー…」小さく首を横に振る幼帝にオブゼロため息。「ヨーグルトなら入るだろ？ほら」薄く口を開くのにそっと一匙運んで、こくり。三口でギブアップするのにオブゼロの方が辛そうな顔をする。「すぁ」「うん…」ちっちゃな右手がオブゼロの人差し指をきゅっと握って。「傍にいる」「ん」

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翌朝、熱の下がった幼帝、看病で寝落ちたオブゼロの頭をよくやったと撫でてから、ぴたぴたとほっぺを容赦なく叩く。「すぁー！」「…ーしゅ？熱は？」訊かれて、よじよじとにじり寄ってオブゼロの額と額をこっつんこする幼帝。「ん、大丈夫そうだね」「あ、あー！」「はいはい、仕事は逃げないから」

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一歳児にしてすでにワーカーホリック気味の幼帝陛下。臣下一同ハラハラしっぱなし。「公務なんか放って遊んでいていいんですよ、陛下！あぁでも笑顔は、笑顔だけはどうかお見せください!!」とか思われている。

あるみ @alumisorane

「ス」「すー」しゅとの中間音だけど、よし。「ザ」「さぁ、た、あっ」うん、惜しくない。「ク」「う！」かわいいけどダメ。「スザク」「すぁ！」「…ナナリー」「ナナリー・ヴィ・ブリタニア」「……解せない」幼帝の愛に飢えているオブゼロ。

あるみ @alumisorane

「すぁ！」で幼帝どや顔だからね。本人はちゃんと言えていると思っているから。

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「スザク」と言えてない幼帝陛下、ちょっとラクガキしてみた。 pic.twitter.com/ewUehXbFyH

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@alumisorane ※オブゼロは添え物です。

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ちなみに。「えーみぁ」「おぉぉ！今日より私はエーミァ！エーミァ・オレンジ!!いかん、戸籍を変えねば！」「止めろ」「はっ！」「枢木卿!?なぜ邪魔を…っ、陛下、陛下ぁぁぁーッ!!」

あるみ @alumisorane

@alumisorane これ、三異母兄バージョンもあるけど…まぁいっか。あ、ユフィは発音できるよ。でもユーフェミアはまだ無理。

あるみ @alumisorane

「…何事ですか、これは」「おや、見てわからないかい？」謁見の間を埋め尽くす赤子とその家族及び乳母たち。姦しい泣き声が大合唱となって奇妙な悲愴感を呈していた。「人身売買は犯罪ですよ、シュナイゼル殿下」「冗談にしても無粋だね」牽制をするりと躱し、皇兄が笑う。「ルルーシュの后候補だよ」

あるみ @alumisorane

オブゼロに抱えられた幼帝、びっくり眼で固まっている。15年後の美姫たちを前に声も出ない。さもありなんとため息をつく枢木卿。「気が早すぎるでしょう。陛下はまだ一歳ですよ」「遅いくらいだよ。ルルーシュ、君も帝位に就いた以上その責務は承知しているね。選びなさい」びくりと幼い肩が震えた。

あるみ @alumisorane

表情をなくす幼帝。まだ一歳の彼は感情を抑えることもできず俯き、縋るように騎士の服を掴んだ。その弱々しい救難信号を受け取り、騎士の手が包みこむ。「ルルーシュ、君は一人じゃない。不安にならなくていい」「すぁ…」「君の思う通りに」「ん」きゅっと首に抱きつく幼帝の涙がスザクの肌を濡らす。

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キッと幼帝が皇兄を見据える。「しゅにゃあ、めーっ！」一瞬、シュナイゼルの整った顔が笑み崩れた──のは目の錯覚か。見てはいけないものを見てしまった気がするオブゼロ。「勘気を被っては仕方がないね。今回は諦めるとしよう」「陛下に怒られて喜ぶなんて、マゾですか」「君には負けるよ、枢木卿」

あるみ @alumisorane

だから、帝国病気すぎるでしょ。

あるみ @alumisorane

この後、幼帝陛下は将来の美姫たちと懇談会という名の集団保育に放りこまれ、大層もてたとか。そして早くも女性への不信感が芽生えたらしい。

あるみ @alumisorane

ぱっとモニタにオブゼロが現れた瞬間、RECを押す調教済の視聴者たち。でも枢木卿の腕は空っぽで、おやと首を傾げる。なんと、幼帝陛下は玉座に掴み立ちでスタンバイ。「陛下」騎士の呼びかけにこくんと頷く主、手を離す。そして！「あ！」偉大な一歩を踏み出したー!!

あるみ @alumisorane

「う！」震える足で、誰の手も借りず踏み出す幼帝ルルーシュ（1）。「あ！」離れて立つ騎士に向かって、一歩、また一歩と歩みを進める。「や！」腕を振ってバランスを取りながら一歩、さらに一歩。「ん！」なぜ声が出るのかとか考えちゃいけない。「あー！」世界が固唾を呑んで見守っている。

あるみ @alumisorane

ただひたすらに己を求める小さな主の姿に、騎士が切なく目を細めた。しゃがんで手を広げ、ただ待つことしかできないこの無力感。ルルーシュ…、オブゼロが心で呼びかける。ルルーシュ、僕はここだここにいる、だから──「ルルーシュ!!」「すぁぁー!!」指先が触れそうで触れない最後の一歩が今！