性夜の対決 #ぴくめす

代々木　良口 @yoyogiryoukou

ぴくめすVS性夜の対決。～トナカイ編～ 雪深く、人間種もモンスターも居ない木々生い茂る動物たちの楽園。そこには森に君臨するトナカイの王がいた。 楽園に暮らすトナカイは他の地域の種に比べ一回り大きかったが、王はその中でもひときわ大きく、立派な角を持つ。 #ぴくめす

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王には多くの同胞が従い、幼子や身重の者たちも王の傍らで平和な時を過ごしていた……。 #ぴくめす

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メイジが森へ足を踏みれたのは全くの偶然であった。 オークたちにクリスマスツリーをプレゼントしようともみの木を探しに出かけ、そして楽園へと足を踏み入れる。 はじめに異質な侵入者を発見したのはまだ若く血気盛んなオスのトナカイであった。 #ぴくめす

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トナカイは侵入者を突き殺そうとメイジへ突進する。 だが、その角はメイジを捉えること無くとさりと雪の積もる地面へと落ちた。 メイジは手に付いた血を拭い、先程切り落としたトナカイの頭の片割れ――頭を失い首から湯気の立つ胴にかぶりつき食事をはじめる。 #ぴくめす

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森に漂いはじめた血の匂いに王はただならぬ気配を感じ、匂いの元を辿り駆け出す。剽悍な群の牡たちもそれに続き、トナカイたちは一群となって森を疾走する。 巨体を震わせ木々をなぎ倒し王は掛ける。そして王は雪を血で染め、息絶えた同胞のはらわたにかぶりつくメイジをとらえた。 #ぴくめす

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王は怒りのままに叫ぶ。 森を震わせるその声にメイジはぬるりと顔を向け、まるでおもちゃを発見した童のように嗤う。 「クリスマスツリーヲプレゼントニ、ト考エテイタガ、モット良イモノヲ見ツケタヨウダ」 口から血を滴らせながら、メイジは王を値踏みする。 #ぴくめす

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オークの背の倍はあろうかという巨大な身体。自分へと向けられる殺気とその眼差しの奥に宿る王者の輝き。 これほどの素材に出会えようとは。 メイジはこみ上げる笑いとともに王へと飛びかかる。 「グブッグブブッ……イクゾ！！」 #ぴくめす

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跳躍し、飛びかかってくる侵入者に王は言い知れぬ何かを感じ、侵入者が振り上げたその拳を飛び退き避ける。 虚空を切る拳は目に見えぬ衝撃とともに雪を巻き上げ地面に穴を穿った。 「コレヲ避ケルカ……グブッ！　イイゾ！！」 侵入者は嬉々として王へと攻撃を繰り出す。 #ぴくめす

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王は機敏にステップを踏み攻撃をことごとく躱す。 静寂に包まれていた動物の楽園は一転して白塵の舞う戦場へと姿を変えた。 防戦に回っていた王は何度目かの攻撃を避け　――　一瞬、侵入者の振り下ろし、がら空きとなった胴へ突き突進をかける。 #ぴくめす

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王の突撃をまともに喰らい、枯れ葉のように舞う侵入者。 好機を逃すこと無く王は追撃をかけ、侵入者の頭を踏み抜くべく蹄を打ち下ろす。 しかし、その蹄は見えない壁に阻まれ侵入者へと届くことはなかった。 刹那、殺気を感じとっさに飛びのいた空間を侵入者の拳が薙ぐ。 #ぴくめす

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長期戦の様相を呈した両者の攻防は、しかしあっけなく終焉を迎える。 王がかわしメイジの放った拳が木を砕き木片が周囲を囲んでいたトナカイの一匹――仔トナカイへと向かい、王は身を挺して仔トナカイを守る。 木片は腿へ深々と突き刺さり、王はその場に倒れ込む。 #ぴくめす

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メイジは崩れ落ちた王へ歩み寄ると、自分を睨みつける王の耳元で囁く。 「グブッ、グブブ。安心シロ、オ前達一匹残ラズ牝トシテ飼ッテヤロウ！」 メイジの手のひらに光が生まれ、周囲を包み込んだ。 #ぴくめす

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光が収まると、王の姿は一回り小さな牝トナカイへと変貌し、周囲を取り囲んでいた屈強なトナカイたちもすべて牝となった。 メイジは再び呪を唱え、手のひらに生まれた光を放つ。 するとトナカイたちは宙へと浮かび上がり、魔法の光でもみの木へ結わえられた。 #ぴくめす

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トナカイで飾られたもみの木をメイジは次々に切り落としていく。 そしてもみの木を魔法の光で束ねると、オークたち待つ巣へと帰ってくのであった。 VSトナカイ編終了。 クリスマスパーティー編に続く？ #ぴくめす