E・S・ガードナー(不)完全攻略 ペリイ・メイスン編 ビロードの爪の巻
先週使い損ねた1往復分の回数券で青森往復。まちなか温泉には入り損ねたが、青森市民図書館でE・S・ガードナーのペリイ・メイスン・シリーズ1作目の『ビロードの爪』新潮文庫、角川文庫、創元推理文庫3種借り出し、910でビールと生姜焼き定食他飲み食いしながら角川版を読み始める。
2016-11-19 22:48:16青森の行きの電車に数分の差で間に合わず、図書館共通券と併用する青森市民図書館利用カードの更新に手間取った関係でまちなか温泉併設食堂のラストオーダーに微妙に間に合わず、やむなく入った910で豚生姜焼き定食を頼んだらミックスフライ定食が出て来て作り直して貰ったりと実にちぐはぐだった。
2016-11-20 00:18:51収穫はやはりE・S・ガードナーの『ビロードの爪』。遅読家の私が既に70ページ以上読んでることでもそのリーダビリティの凄さが伝わるかと思う。『アクロイド殺し』や『空飛ぶ馬』にほぼ1ヶ月、『ファンタジスタドール・イヴ』に至っては足掛け3ヶ月掛けて読むような私がである。
2016-11-20 00:36:42ついつい豚生姜焼きの残りを肴に生中で済ませるところを、ボジョレーヌヴォーの白ワイン(グラス)につまみ盛り合わせ(海老、蛸、イカゲソ、枝豆、レタス)を追加注文して列車の発車時刻まで読み耽っていた。やっぱり面白いよ、ガードナー。(確信)
2016-11-20 00:46:38読んでてTVドラマのフォーマットみたいな感覚を受けてるけど、よくよく考えると逆だわ、これ。1933年(『ビロードの爪』発表年)って、TV技術がようやく実用レヴェルになってきたかどうかだしTVドラマが放映されるのはさらに後の話だもの。つまり極論すれば「読むTVドラマ」がガードナー。
2016-11-20 00:52:36後世、あまりに当たり前になって見過ごされがちなことだけれど、E・S・ガードナーの登場が当時の書評子にとまどいをもって迎えられたことの一因は、このTVドラマのフォーマットが「存在」すらしていなかったこととも関連がありそうだ。
2016-11-20 00:56:15コーラ飲みながら脳内財務省による金策の案件にメドをつけ、ガードナーの『ビロード爪』快調に読み進む。ついにこんがらがった事情が殺人に発展、メイスンも退っ引きならない事態に巻き込まれる。やっぱ良いぞ、これ。
2016-11-20 23:50:09ガードナーの『ビロードの爪』ほぼ半分まで読み進む。いよいよ退っ引きならない立場に立たされるペリイ・メイスン。読み始めるとページを繰る手が止まらない。
2016-11-21 20:34:09コンビニ憩いコーナーで『ビロードの爪』第十五章まで読み進む。遂に事件のあらましが姿を浮かび上がらせる。小刻みに顕れていた伏線が加速度的に並び替えられて宵宮のゲーム店で売っているナンバー・パズル(1コマだけスペース空いていて、コマを滑らせながら列を整えていく奴)の如く揃う様は圧巻。
2016-11-24 00:36:39これ、完全にホワットダニットだわ…。当時の書評子がそれこそ面食らったのも分かる。そもそも類例が乏しかったし、TVドラマ的フォーマットも今でこそ「当たり前」になってしまってるが、1933年当時TV技術はまだ開発中なのだ。むしろガードナーが切り拓いた分野と言える。(『ビロードの爪』)
2016-11-24 00:44:13(RT言及)なぜ「軸」の無い分類ばかりが先行してしまうのか、本当に謎。仮にもミステリ者を自認するのならば、立体的に論理の筋道が通った分類を目指した方が良さそうに思える。まず「分類」ありきは、全く論理的ではない。
2016-11-24 21:44:37そもそも「分類」は目的に応じて派生的に出てくるものなんじゃないのかな? 思考の順番がなぜ逆転しているのかが解せない。例えば、ミステリ色の濃いラノベを必要としている読者の指針としての「分類」とミステリだけどラノベとして読めるものを必要としている読者の指針としての「分類」は並立する。
2016-11-24 22:05:48(RT言及)何かに「分類」してから氷菓もとい評価が始まるのは悪習としか思えない。まず作品に「正対」することからでしょうに。それが自分にとって面白かったか面白くなかったかから、その理由に焦点を合わせて深めていったり、他の読者の指摘から読みを広げていくことが楽しいんじゃないのかなあ。
2016-11-24 22:25:52E・S・ガードナー『ビロードの爪』(角川文庫/能島武文 訳)読了。今さらながら「気づき」の連続。某編集者宛に長文の手紙でホームズしか知り得ない事実があるから云々で管を巻いてただけあって、手がかりの出し方も実にフェアなことに驚いている(初読時より好感度UP)。(続
2016-11-26 03:46:54承)紹介予定のシリーズ中でもすこぶるつきの傑作と巨視的に同じ構造だったのも発見、得るものは大きかった。しかし怒濤のホワットダニット。全体の「構図」が顕れるところで驚き、さらに発展しつつ反転するところでまた驚く。ストーリー・テリングでやってのけるのがガードナー・クオリティー。(続
2016-11-26 03:47:28承)いみじくも巻末の訳者あとがきで能島さんが「主人公(依頼人)」を概念的な「人間(ここには読者も当然ながら含まれるわけだが)」に置き換えて作品の魅力を語っておられるのがキモだろう。「主人公=読者(層)」と「探偵=作者」が同一平面上でフェアに同じ事象を見聞/検分する形式だ。(続
2016-11-26 03:47:57承)現実世界と陸続きなそれは現実をも盛大に虚構化していくパワーを秘めている。実際、ある読者が作中人物の無実をシリーズ中の別作品の叙述から主張する逸話や、ある検事が抱えていた厄介な案件の解決法を某作中に見つけた事例などの有名な逸話がそれを証明している。(続
2016-11-26 03:48:46承)私が21世紀の今、まさに現在進行形でE・S・ガードナーの「読み頃」あるいは「旬」がきているというのは伊達や酔狂ではなく「本気」でそう考えているからなのはご理解いただけると思う。
2016-11-26 03:49:05また「分類」の話を少し蒸し返すが、恐らく収集分類癖のある乱歩によるトリック集成などが「お手本」になってきたのではないか? しかしそれは収集分類癖という乱歩のパーソナリティーから生じたもので、乱歩本人以外の方々には各々の手法が必要だったのではないか?
2016-11-26 19:48:53外形の踏襲によってそれが乱歩のパーソナリティーから生じた手法であることをないがしろにし過ぎてきたのではないか? 自戒も込めて考え直す時期に来ている。
2016-11-26 19:51:08