随伴とはなにかというと、まあなんなのかよく分かりませんが、ここでは「与えられた関手 F: C→D の、逆向きの関手 G: D→C であってなんかいい感じのもの」だと考えます。
2017-01-08 04:18:51逆向きを考えたいので、例えば「逆関手」みたいなのがあればまあそれが一番いいんですけど、そういうのはめったに無いわけで、そこでもうちょっと条件を弱くしたのが随伴なわけです。
2017-01-08 04:19:46ここで「F」として想定しているのは次のような関手です: 「忘却関手 Grp→Set」「忘却関手 Ab→Set」「忘却関手 Top→Set」「包含関手 CptHaus→Top」「包含関手 Ring→Rng」……
2017-01-08 04:22:06ここでCptHaus⊂TopはコンパクトHausdorff空間がなす部分圏で、Ringは単位的環の圏、Rngは単位的とは限らない環の圏です。
2017-01-08 04:24:02これらの「F」の逆向きを考えるというのは、例えば「Grp→Set」であれば、関手G: Set→Grpを考えるということですから、つまり「集合Xに対して群GXを作ることができるか?」ということになります。
2017-01-08 04:25:35普遍射の定義です(「コンマ圏c↓Gの始対象を~」の文は知ってる人向けの説明なので、知らない人は無視してください) pic.twitter.com/HrUiwbJrLb
2017-01-08 04:29:43すみませんがこの定義から記号が逆になります。どういうことかというと、今からやるのはG: D→C が与えられたときに逆向きの F: C→D を構成したい、という話です。
2017-01-08 04:30:47G: Grp→Set を忘却関手として X∈Set としたとき、XからGへの普遍射とは<FX, i>のことです。ここで「FXはXで生成される自由群」「iは包含写像 i: X→FX」です。
2017-01-08 04:34:20G: Ab→Set を忘却関手として X∈Set としたとき、XからGへの普遍射とは<FX, i>のことです。ここで「FXはXで生成される自由アーベル群」「iは包含写像 i: X→FX」です。
2017-01-08 04:34:57G: Top→Set を忘却関手として X∈Set としたとき、XからGへの普遍射とは<FX, id>のことです。ここで「FXはXに離散位相を入れた空間」です。
2017-01-08 04:36:16G: CptHaus→Top を包含関手として X∈Top としたとき、XからGへの普遍射とは<FX, i>のことです。ここで「FXはXのStone-Cechコンパクト化」「iは包含写像 i: X→FX」です。
2017-01-08 04:37:30G: Ring→Rng を包含関手として R∈Rng としたとき、RからGへの普遍射とは<FR, i>のことです。ここで「FRはRに単位元を加えた単位的環」「iは包含写像 i: R→FR」です。
2017-01-08 04:40:26ここで 【定理】C, Dを圏,G: D→Cを関手として,任意の c∈C に対してcからGへの普遍射<d_c, η_c> が存在するとする. このとき関手 F: C→D で「Fc = d_c」を満たすものが存在する.
2017-01-08 04:52:03特に「集合Xで生成される自由群を与える」「集合Xで生成される自由アーベル群を与える」「Xに離散位相を入れる」「Stone-Cechコンパクト化」「単位元を加える」は「逆向きの関手」になっていることが分かります。
2017-01-08 04:52:25