編集部イチオシ

作家業を事業として見た場合の打ち切りの辛さ

事業としての収支を考えると、短期打ち切りは赤字である、という考え方について自分(@Sheol0x01)の発言をまとめました。
93
西上 柾 @Sheol0x01

ライトノベルで時々みられる「2巻打ち切り」が作家にとってどのくらいキツイかというと、新しいシリーズを準備するにはどうしても準備期間が必要で、その間無給になるあたり。準備に3ヶ月、一冊あたりの執筆に3ヶ月として、重版なしだと9ヶ月分の収入が108万とかになってしまう。月12万。

2017-02-01 10:30:29
西上 柾 @Sheol0x01

1部600円として印税10%、1巻初刷り1万部で60万円。2巻目は8千くらいに引き下げられて48万円。合計108万円。これが2回も続くと、生活費はなんとかなっても「次の取材費を捻出する」のが厳しくなる。地獄の悪循環の始まり。

2017-02-01 10:34:23

ちなみに単巻打ち切りの場合、この試算だと半年で60万円になるので月10万円。単巻打ち切りになるような作家だと最初から初刷りを減らされて8千部からスタートということも。

西上 柾 @Sheol0x01

短期打ち切りが続くと作家は「傷む」。健康を維持するのも、取材をするのも、インプットを増やすのもすべてはお金。打ち切りが続くとどれかを諦めなくてはならなくなり、自信もなくなる。そして余計に次作を出しにくくなる……。

2017-02-01 10:54:31
西上 柾 @Sheol0x01

事業として見た場合、作家の人件費を月20万円とすると、2巻打ち切りは月8万円の『赤字』になる。この状態が18ヶ月続けば負債は144万円に膨らむ。多くの作家がこの負債に耐えながら執筆を続けている。

2017-02-01 11:04:50
西上 柾 @Sheol0x01

かといって、この負債を出版社が肩代わりするというのはできない相談だ。もしそのようにした場合、出版社はこれまで以上に売れる作家の作品しか出さなくなる。作家の数は数十分の1に激減するだろう。

2017-02-01 11:11:31

では、作家側から見て、事業リスクを減らすにはどういうアプローチがあるだろうか?

西上 柾 @Sheol0x01

小説投稿サイトの効能のひとつは、準備期間中に無給であるという点は変わらないものの、「このネタは受けそうにない」と分かった時点で撤退できる点にある。プロの作家が観測気球を打ち上げる場としては有効に機能するのではなかろうか。

2017-02-01 11:17:26
西上 柾 @Sheol0x01

同様に、クラウドファンディングも「成功を期待して募集する」よりは「失敗を見極めるために募集する」ことで作家側の赤字リスクを圧縮する役に立つものと思われる。

2017-02-01 11:20:48

いったい誰が作家のための社会保障費を負担しているのかというと、国家の負担である訳で。

西上 柾 @Sheol0x01

作家が個人事業者であり、かつ多くの作家が最低賃金以下の労働生産性で働いていることを考えると、出版業界は作家に支払うべき社会保障をただ食いしていることになる。まあだからといって出版業界に「払ってくれ」と言っても状況は悪化するだけなので、不均衡を是正するには国に動いて貰うしかない。

2017-02-01 22:21:27
西上 柾 @Sheol0x01

一番良いのはもちろんベーシック・インカムで、作家に支給されるBIの分を法人税や外形標準課税等で出版社から徴収すれば不均衡は是正される。同時に解雇規制を大幅緩和すれば、作家は自分のスタイルに合わせて副業でも専業でも無理のないやり方を選べるようになる。

2017-02-01 22:27:31
西上 柾 @Sheol0x01

現状では、解雇規制は作家にとって重荷でしかなく、いつでも作家を辞めて元の仕事に戻れるルートを確保する(そしていつでも作家に戻れるようにする)ことが急務である。

2017-02-01 22:28:59
西上 柾 @Sheol0x01

作家が低収入だと、結局それは社会全体にとって負担になるので、社会全体でどげんかせんといかんことになる。まあ、もちろん「作家の数そのものを減らすべき」というのはひとつの見解です。

2017-02-02 01:55:37

念のため。まとめ人個人の努力不足や責任を問うのはご自由にしていただいて結構です。

西上 柾 @Sheol0x01

「好んで作家の道を選んだのだから、子供が作れないくらい低収入でも当然だ」となるとそれはまた別の話でしょう、と思う訳です。

2017-02-03 02:32:55